PASSTOマガジン vol.1 | 代官山という街から広がる循環の輪
代官山駅の改札を出てすぐ目の前。取材に訪れたのは、まだ街が動き出す前の9時頃。その場所は朝の光が優しく差し込み、心地良い風が吹き抜けていた。緑に囲まれた敷地内はゆったりとした時間が流れていた。
昨年10月にグランドオープンしたフォレストゲート代官山のTENOHA棟(TENOHA代官山)で1月25日からPASSTOによる不要品回収がスタートした。今回はPASSTO導入に至った経緯、施設や担当者の思いなどをご紹介。TENOHA代官山の運営・管理を担当するRGB株式会社の安井 香央里さんに、PASSTO PR担当&PASSTOマガジン編集長の加藤学(ガク)が話を聞いた。
すべての写真:小澤 彩聖
フォレストゲート代官山とTENOHAという理念
東急不動産が手掛けるフォレストゲート代官山は次世代の複合施設として、「サステナブル」をテーマに「暮らす」「働く」「遊ぶ」の3つのシーンを融合した新しいライフスタイルを提案している。建築家の隈 研吾氏がMAIN棟のデザイン設計を行いレジデンス、商業施設、シェアオフィスで構成される。
敷地内で大きな存在感を放つMAIN棟と対をなすのが駅側の入り口に位置し、オープンスペースやカフェがあるTENOHA棟。
「東急不動産は地域の課題解決や活性化に取り組んでおり、その活動拠点となる施設に『TENOHA』の名を冠しています。『TENOHA(テノハ)』とは”手のひら"と”葉”を合わせた造語で、手と手を繋いで新しいライフスタイルが育っていく場所を表します。」
CIRTY(サーティ)とは?
TENOHA代官山の敷地内には、「CIRTY」の名前がついたカフェ、フラワー販売、量り売り店舗、セレクトショップなどが並ぶ。
施設は岡山県西粟倉村の間伐材を活用した木造建築で、いつか建物が役割を終えた時には建材を捨てずに再利用できるデザインになっている。
「CIRTY CAFE」は地産地消ならぬ「店産店消」を掲げ、屋上菜園や店内の植物工場から収穫した野菜やハーブを店内で提供している。
食品廃棄物はコンポスト、バイオマス発電に利用され、カフェで提供する野菜の肥料としても使われる。規格外の野菜も積極的に使用し、循環しやすい食材として野菜中心のメニューになっている。
カフェの向かいにある「CIRTY BIOSK」は、量り売りを軸に日本初のゴミが出ないスーパーマーケットを運営する「斗々屋」が運営するゼロウェイストをコンセプトにした店舗。斗々屋のこれまでの店舗とは異なり、サイズ、販売方法などは都市部にあった形を追求している。
その他にも、さまざまな理由で廃棄される花をドライフラワーにして販売する「CIRTY FLOWERS」や、ガラス製品の製造過程で出る端材をアップサイクルした花瓶販売なども行なっている。
ここまでで様々な循環への取り組みを紹介したが、CIRTYとは一体何なのだろうか?安井さんに聞いてみた。
「CIRTYは施設名ではなく、活動そのものを指します。CIRCULAR、CITY、COMMUNITYの3つのワード合わせた造語で、2030年をターゲットにサーキュラーエコノミーを推進するコミュニティを作ることを目標に掲げ、それに関わる活動体の総称がCIRTYです」
捨てない施設運営を目指して
CIRTY CAFE店内にはもともとゴミ箱を設置していたが、予想よりもゴミの量が少ないことから資源を循環させるための「リサイクルスタンド」としてその場所を活用するアイデアが生まれた。ゴミ箱を撤去したことについて、スタッフ内での反応を尋ねてみた。
「もともと循環をテーマに運営している店舗なので反対意見はなく、むしろみんなで一致団結してやっていこうと、全員がとてもポジティブに捉えていました。コミュニティを通じて地域での循環を盛り上げていけたら良いねと話しています」
PASSTOとの出会い
もともとリサイクルスタンドでは衣料回収をメインに想定しており、当初は他の回収ボックスの設置を考えていたという。
そんな中、CIRTY BIOSKを運営する斗々屋の社長である梅田 温子さんの紹介でPASSTOに出会った。
「まず最初に良いと思ったのは、衣料品だけでなく多品目回収ができること。123種類もの品目がPASSTOで回収できるのはとても驚きました。
また、個人的に1番の決め手になったのはリユースを優先的に取り組んでいることでした。リサイクルも大事だけど、その前にリユースできた方がCO2の排出量も抑えられるし、気持ち良いですよね。」
PASSTOに決めた理由はそれだけではないと続けて話してくれた。
「ここは駅前でとても立地が良い場所です。利用者や地域住民にとってここでの購買活動や施設の利用が生活の一部になると良いなと思っていて、気軽に循環アクションに参加できるPASSTOはピッタリだと思いました。
コンセプトへの共感だけでなく、誰もが簡単に参加できる仕組みとしてPASSTOをリサイクルスタンドに導入することにしました」
『人間も地球の一部である』
ここまでサーキュラリティをテーマに色々と語ってくれた安井さんだが、もともとその領域に詳しい訳ではなかったという。
「CIRTYを通じて循環や環境について学んでいますが、もともとはどうやったら社会が良くなるかということに興味がありました。学生時代はNGO活動でフィリピンのスラム街で英語を教えたり、孤児院で子どもたちのお世話をしていましたが、社会を考えた時に地球に対する危機感を見て見ぬふりができなくなっていきました。
ありがたいことに、今は環境に対して情熱を持つ仲間に囲まれて仕事ができているおかげで私自身の刺激や学びになっています。
その過程で仲間たちから必ず出る共通の言葉に気づいたんです。『人間も地球の一部である』。つまり、地球を大切にすることはゆくゆくは自分たちに帰ってくる。だから、物を買って捨てるまでの流れをしっかりと考えていくと、1つ1つの選択や行動が変わってくると思っています。」
人が集まる場所 × 気軽できる循環アクション
最後に、TENOHA代官山やPASSTOをどのように利用して欲しいかを聞いてみた。
「環境意識が高い方はもちろんですが、むしろそうでない方にもたくさん利用して欲しいと思っています。サーキュラリティに関するコンセプトはしっかりと持ちつつも、まずは気持ちの良い場所作り、サービス提供を心がけてます。
人が集まる場所になれば、そこから自然とPASSTOなどの取り組みを通じて循環アクションに触れて、感じてもらえることがあるのではないかと。
簡単に循環アクションに参加できるPASSTOをみなさんに知ってもらい、ぜひ参加してもらえたらと思います」
PASSTO実施概要
実施日
2024年1月25日(木)〜
実施内容
「PASSTO(パスト)」を設置し、不要品(衣類・ファッション雑貨・ホビー用品)を回収します。回収した不要品は、ECOMMITにより 国内外でリユース品として再流通させるほか、リユースが難しいものに関してはリサイクルパートナーを通じて再資源化を行います。
実施場所
フォレストゲート代官山 TENOHA棟(TENOHA代官山) CIRTY CAFE内
(東京都渋谷区代官山町20番12号)
回収内容
「PASSTO(パスト)」設置による衣類・ファッション雑貨・ホビー用品の回収
PASSTOについて
不要品の回収・選別・再流通を一気通貫で行うオリジナルブランド「PASSTO(パスト)」
PASSTOは、持ち込まれた不要品を受け取り、ECOMMITが不要品の回収・選別・再流通を一気通貫で行うオリジナルブランドのサービスです。 PASS TOを短縮した造語で、「次の人に渡す、未来に渡す」を意味しています。人々の暮らしに一番身近な資源循環の入口となることで、人々がより気軽に資源循環へ参加できる場を創出することにより、サーキュラーエコノミーの実現を目指します。
https://www.passto.jp/
CIRTYについて
CIRTY(サーティ)
サーキュラーに関するひと・もの・アイデアが集まるリアルな場と情報発信メディアを軸とした活動体の総称です。「CIRCULAR(サーキュラー/循環)」「CITY(都市)」「COMMUNITY(コミュニティ)」「2030」を組み合わせた造語で、TENOHA代官山を拠点にサーキュラーコミュニティ活動を実践しています。普段の暮らしにある、身近な体験からサーキュラーコミュニティを育てていきます。https://cirty.jp/
ECOMMITについて
PASSTOを提供するECOMMITは「捨てない社会をかなえる」ために、ものが循環するインフラをビジネスで実現する循環商社です。全国7箇所に自社の循環センターを持ち、不要になったものを回収・選別・再流通しています。さらに、"ものの流れ"をデータ化する自社開発のトレーサビリティシステムにより、リユース・リサイクル率の算出や、CO2削減量のレポーティングまで行うことで、企業や自治体のサステナビリティ推進に向けたサービスを包括的に提供しています。
https://www.ecommit.jp/
RGB株式会社について
RGB Inc.は「地球的視点に立ち、〈ネイチャー〉という選択肢で人の心を動かす」をスローガンに活動するネイチャー・コレクティブです。持続可能性を重視した場づくりやブランディング・事業構築の支援、メディア構築などの情報戦略を手がけます。グリーンのランドスケープ設計・施工、セレクトショップ運営を手がける株式会社DAISHIZENの関連会社。
https://www.redgreenblue.jp/