見出し画像

PASSTOマガジン VOL.14 リユースファッション最前線!SPINNS VINTAGEが語る古着の魅力

こんにちは。
PASSTOマガジン編集部のマイです。

2025年最初のPASSTOマガジンですね!
今年もますますPASSTOの回収拠点が増え、今まで以上に皆さんの生活の中で目にしていただくこと、そしてよりPASSTOを身近に感じパストしてもらえる一年にしたいと思っています。

PASSTOは「回収」、「選別」、「再流通」の循環をつくり、捨てない社会を作ります。その中で今回はこの「再流通」の部分を深掘りしていきたいと思います。

私たちは回収したものを販売する取引先も厳選しています。なぜなら、その価値を次の人に大切に届けてくれるパートナーにお渡ししたいからです。
今回は、皆さんがパストしてくれたお洋服たちの”その先のゆくえの一つ”である取引先のSPINNS VINTAGEを取材しました。

リユースを単なる「モノの再利用」ではなく、リユースを通してファッションの楽しさを伝え、ライフスタイルの一部としてお客様に提供するSPINNS VINTAGE。PASSTOだけでは完結できない”捨てない社会”を作る大切なパートナーにお話を伺いました。

写真:澤圭太


SPINNS VINTAGE 高岸亮さん

今回お話を伺ったのは、SPINNS VINTAGEで主に古着を使った洋服のリメイク企画や生産を担当し、また古着バイヤーとして国内での古着仕入れも行っている高岸亮さん。
始めは古着とは関係のない部署(セレクトショップ)に配属され、自身もブランド志向であったことから最初は古着に抵抗があったそう。
SPINS VINTAGEを運営する会社、㈱ヒューマンフォーラムは、もともとワゴンで古着を販売するところからスタートしており、会社として古着を強化するタイミングでセレクトショップがなくなり、古着のリメイクを担当する部署に異動し、現在の職種としてのキャリアがスタート。

「最初は古着に抵抗がありましたが、だんだんと古着が馴染んできて、ダメージさえも魅力的に感じるようになりました。着ていくうちに抵抗がなくなり、今では完全に古着のスタイルに変わりました」

今ではすっかり古着の魅力に引き込まれている高岸さんにお話を聞いていく。

同じアイテムでも年齢や性別に関係なく楽しめるのが古着の魅力であり、SPINNS VINTAGEの特徴

SPINNS VINTAGEは、全体の7割が古着、残りの3割が新品を取り扱っている。古着の定義というのは難しいが、持ち主が一回でも着用した服をSPINS VINTAGEでは古着という扱いにしている。
この全体の7割を占める古着のカテゴリーの中も細かく分類されており、PASSTOのリユース品を含む国内の古着は2-3割、アメリカを中心とした海外の古着は6-7割、そして洋服の歴史が深いヴィンテージ品は1-2割で構成されている。

「お客様の年齢層は10代から50代まで幅広く、どなたでもご利用いただいています。古着を扱っているため、特定のターゲット層を設定しているわけではありません。同じアイテムでも年齢や性別に関係なく楽しめる点が、古着の魅力の一つでもあり、SPINNS VINTAGEの特徴です。」

PASSTOとのつながり
リユースの衣類が店頭に並ぶまで

買い付けから店頭に並ぶまでの流れは、買い付け、値付け、振り分け、店頭出しの4ステップで進む。海外出張先は主にアメリカ、インド、パキスタンで、バイヤーが一枚一枚ハンドピックで選ぶ。ハンドピックをするのは、セレクトの精度が高く、販売につながりやすいためだ。

「私は国内での仕入れを担当しており、入荷した商品はすぐに店頭に出せるものを選んで買い付けています。実際に店頭に立ち、お客様がどんな服を着ているか、どんなアイテムに興味を持っているかを観察し、お客様のニーズを想像しながら買い付けを行っています。そして、できるだけ買い付けから店頭に並ぶまでを短くすることも重要です。」

SPINNS VINTAGEは2023年11月よりPASSTOでリユース品を継続的に買い付けをしてくれている。
そこでPASSTOでリユース品を仕入れる魅力を聞いてみた。

店内に設けられたPASSTOから仕入れた商品が並ぶコーナー

「カテゴリーごとにランク分けされ、選びやすさがあります。また、海外のアイテムは洗濯や手入れが必要なことが多いですが、PASSTOのものは状態が良く、そのままでも使えるものが多いです。

また、先日も仕入れに行ったばかりですが、PASSTOにはダッフルコートが多くありました。ちょうどダッフルコートがトレンドにもなっていて、集まるタイミングとトレンドのサイクルが非常に近いと感じ、ファッションが循環していることを実感しています。」

店内に一歩足を踏み入れると、ワクワクするような品揃えとディスプレイが広がる。お客様がお気に入りを見つけやすいよう、陳列にも工夫が凝らされているのだ。
フリースやスカートなど、カテゴリーで分けることで、商品をわかりやすく見せるという工夫、そしてラックごとにコーディネート提案がなされている。

PASSTOのリユース品で組まれたコーディネート提案

「ラックごとのコーディネート提案を意識的に行っています。同じカテゴリーのアイテムが並んでいるだけでは人によっては飽きられるため、さまざまな提案をすることで、お客様が立ち止まりやすく、興味を持ちやすくなると考えています。」

循環をさせながら伝えていく、古着の魅力

在庫について気になる方も多いだろう。新品を取り扱うブランドのように、新作でなくなるからといって販売できなくなるわけではないが、季節が変わると売れ残ったアイテムの行方が気になるところだ。

SPINNS VINTAGEでは、来年も売れる定番品は「キャリー」という形で倉庫に保管し、適切なシーズンに店舗に戻す。一方、翌年に販売が難しいアイテムは、セールや”詰め放題”というイベントで販売される。
「”詰め放題”の企画には、お客様に古着に触れるきっかけを作るという目的があります。近年、古着の価格が上がり手が届かないお客様も増えていますが、詰め放題を通じて、手頃な価格でたくさんの商品を手に入れ、古着でファッションを楽しむきっかけを作りたいと思っています。」

リメイク商品のコーナーに並ぶ、サッカーマフラーをリメイクした商品

「リメイクを行うことが多く、単体で着るのが難しいアイテムでも、"生地"として見ると十分に活用できるものがたくさんあります。私たちは「循環」という言葉は強調しませんが、元のデザインやリメイク後の形を接客やPOPで伝え、お客様の意識を変える取り組みもしています。」

古着の価値の定義が良い意味で広がっている

今までは年代が古いものや、ブランドのもの、US製のものが価値があるとされてきた。そこから現在は”可愛いから古着を買う”という人が増え、古着の価値の定義が広がっているように感じると、高岸さんは語る。
そして、古着の魅力は新品だと出せないシワ感や元々持ってた人のダメージがいい味になるのが魅力。使い込まれた洋服も、それが価値となっていくのだ。

「レザーにはシワや使い込んだ感じ、デニムにはひげや履き込んだ感が魅力です。少し破れていても、リペアやデザインを加えて価値として感じていただけるお客様もいます。」

プロに聞く、リユースファッションの楽しみ方

SPINNS VINTAGEが特に大事にしているのが、お客様との関わり。接客というと堅苦しく感じるようなものではなく、洋服を通してコミュニケーションを取ることを大事にしている。

今回の取材をさせていただいている店舗「SPINNS VINTAGE 横浜ワールドポーターズ店」では、Instagramも有効的に活用し、お客様のスタイリングの悩みやインタビューを通してコミュニケーションを取ることもしている。

そこで今回は、Instagramで実施している”ファッションのお悩み解決”に答えていただいた。

筆者である私のファッションの悩みは「いつもシンプルなデザインや暗めな色の服ばかりを選んでしまうこと。デザイン性のある服を上手に取り入れてみたい。」という悩みに、実際に店頭でスタイリングを組んでもらった。

「色モノはアースカラーが挑戦しやすいです。キャラクターのスエットの上に羽織を重ね、その上からコートを着るのがポイントで、一枚羽織を着ていることでコートを脱いだ時もバランスを取ることができます。」

リユースファッションの市場の可能性を
より拡げるには

一方で、まだまだ古着に抵抗がある人も少なくない。それを払拭するにもやはり店頭でのお客様とのコミュニケーションが重要になってくる。

「古着に抵抗がある方は、実際に試着してその良さを体験することが大切です。新品か古着かに関係なく、自分に合うかどうか試すことで、自然と抵抗感は薄れていきます。スタッフと一緒に自分に似合うものを探し、古着の魅力を感じていただきたいです。」

古着を買うということで洋服を捨てるのではなく循環させることに繋がっている。だが古着を買うだけではなく、着終った服を捨てるのではなくリユースさせていく選択ももっと増やしていきたい。その中でできることも、お客様とのコミュニケーションに繋がる。

「一着の洋服に愛着を持ってもらうことが大切だと考えています。そうすれば、その服を手放す際に『捨てる』選択を避けるようになるはずです。お客様との関わりを通じて、そのきっかけを作りたいので、セルフ購入ではなく、接客を大切にしています。」

大事にしたい一着に出会うきっかけを作る

自分が本当に大事にしたい一着を選ぶことに一生懸命になりたいと思っています。そして、そうした人が増えれば、洋服の価値やそれに対する考え方が変わるのではないかと思っています。
洋服は消費するものではありますが、思い入れを持って選ぶことで、その一着が自分の思い出として残ります。私たちは古着を通して、その価値や想いを世の中に発信していきたいと考えています。」

皆さんがパストしてくれたお洋服はこのように、お洋服を愛しそして古着の魅力を伝えたいという想いを持って、次の持ち主へ届けるSPINNS VINTAGEのようなパートナーと共に循環することができています。

皆さんの大切にしていたお洋服も、安心してパストしてください。

SPINNS VINTAGEでは2023年11月より、PASSTOの専用コーナーも設置されています。ぜひパストするだけでなく、本当に着たいと思う思い入れのある一着をSPINNS VINTAGEで見つけてみてください。

売る?捨てる?パストする!