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雲の旅

飛行機から見る空の景色が大好きで、いつも窓から青い地球を覗き込む。久しぶりの海外旅行、行く先はスリランカ。上海経由で行くスリランカまでの空路は様々な雲模様を見せてくれた。

日本から上海空港へ向かう途中、雲を抜けた上空には、踏み固められた雪のような層雲が広がり、その下には銀箔のように輝く海が続いていた。海面に落ちる雲の影は、地球そのものの深い色彩で、眩しくも目が離せないほど心を惹きつける光だった。

東京時刻 10:00
東京時刻 10:07

高度が高くなるにつれて、層雲は大きな雲の大陸へと姿を変える。銀色は消え、純粋な青と白の世界が広がった。上海空港からコロンボ空港へ。昼時のフライトにも関わらず、機内は早々に消灯され、窓も閉められた。次に窓を開けたのは東京時刻21時ごろ。スリランカ時刻では、ちょうど日没間際の6時ごろ。黄昏だと思って窓の外を見ると、目に入ってきたのはピンク色に照らされた美しい積雲。まるでギリシャ神話を描く西洋絵画のような、神々しい雰囲気を帯びていた。

東京時刻 2100
東京時刻 21:18
東京時刻 21:20


時折、雲は柔らかく、不安な様相を見せる。その変化がまた飽きさせない。時間が経つと、高度違いの様々な雲が層を成し、広がっていった。一面を覆い尽くすような、雲の世界が広がった。まるで御伽話のような、そんな光景だった。

東京時刻 21:22
東京時刻 21:22
東京時刻 21:23
東京時刻 21:27


余談:
芸術系の高校生に進学した当時の僕も、この雲の風景や青色の色彩に強く惹かれていた。卒業制作の油彩画では、長年通学でお世話になった近鉄電車の車内を描いた。構図は、まるで広角カメラで撮影したかのように歪みのない、堂々とした視点。例えるなら、ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」のような分かりやすくも重厚な構成を意識した。

色調は、盛期ルネサンス絵画のような鮮やかで深みのあるものに決めた。絵の中央には、ドアの前に立ち、外を眺める僕を描く。逆光に包まれた車窓の外は、眩しく白く輝く光の世界。そして、深い青の積雲だけを映し出した。車内には、その神秘的な光と影が差し込み、ウルトラマリンブルーの静寂が満ちる――そんな世界を描いた。

今でも、あの頃の感情は消えていない。美しく輝く、どこか遠い世界を眺めながら、能動的に感動を探し続ける自分。

今回のスリランカ旅では、どんな景色と出会えるだろうか。

#雲の世界  #雲の大陸  #雲  #雲海  #青の世界

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