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記憶の風景

先月、仕事である街を訪れた。
遠いところではない。市内だし、まぁまぁ中心部にあるのだけれど、かなり山手にあり滅多に訪れる機会はないところ。

そこへは小学生の頃、ピアノのレッスンへ通っていた。
電車に乗って、更にバスに乗る。路線バスではなく、その地区の住民専用の巡回バスに特別なパスを発行してもらい、乗せてもらっていた。その他に交通手段がなかったので苦肉の策だったのだと思う。

その日はタクシーを使うつもりが、少し時間に余裕があったので歩いてみる気になった。グーグルマップによると徒歩15分。子供の足では無理だったけれど今ならどうかしら?そんな気持ちもあった。
結論から言うと、次からはタクシーにする。途中からものすごい坂、道幅も狭いところがある。付近は高級住宅街と言われるところだし、邸宅と言ってよいお宅もあるエリアだけど、この道路付けは無理・・・。住民ではなさそうなBMWのSUVが苦労して通って行った。自分の車で来たくはない、素直にそう思った。

さて、懐かしのエリア。通っていたお宅は、古びていたけれどここだ!とすぐにわかった。低学年だったこともあり、レッスンのお部屋の様子は覚えていない。
決まった日の決まった時間に行き帰り、おじさんが運転する住民送迎用のマイクロバスに乗ってレッスンへ通ったこと。ある寒い日、アンゴラの真っ白なミトンの片方をなくしてとても悲しかったこと。買ったばかりの回数券を落として母に怒られたこと。
そんな断片的な記憶だけが今も残っている。
ミトンはなくしたことに気づいたとき半泣きになって、阪急電車の駅の階段を何度も往復して探したんだよね・・・。

?10年前のことだけど、そんなエピソードは意外と覚えているものだと我ながら思った。
ちなみにその当時はもちろんなかった、瀟洒なマンションが2棟ほど建っていた。すごい坂の上だよ…海を望む眺望は最高!
でも、私なら買わない。もし、運転手を雇えるなら買うかも。(爆)

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