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今日から7年生
6年前の3月16日、乳がんの告知を受けた。
前月の乳がん検診の際、触診をした医師に渋い顔をされ、2週間後に結果が来るところを3日後に届いた封書を見て、開ける前から内容の見当がついた。案の定、要再検査だった。
さて、どこで検査してもらおう?と思案し、母の知人の紹介でクリニックを予約するも、日取りは最短で3週間後。そんなに先でいいの?至急なのに…と思ったが取れないものは仕方がない。検診を受けた病院からは、どこか再検査の予約はしたか?とご丁寧に電話までかかってきた。再検査を受ける前から、結果が透けて見える気がした。
思い返せば、ここから告知を受けるまでがいちばん気持ちがしんどかったかも知れない。ただ、表向きは淡々と日々を過ごしていた。年度末で忙しかったのは、ある意味で幸いした。
再検査になったことをごく内輪につぶやくと「結果が出たら教えて、少しは情報を持ってるから」と言ってくれた友達がいた。
告知を受けてすぐに連絡。私は知らなかったのだが、彼女もサバイバーだった。これから確定診断までの流れ、ステージの決まり方、読むべき本など的確にアドバイスしてくれた。
このとき、彼女が差し出してくれたその手を掴んだことで、私は治療において路頭に迷わずに済んだのだと思う。さながらチャンスの女神。
治療に向かうにあたり「少し先に楽しみを見つけてそれを目標にするといいらしいよ」とも教えてくれた。そこで、治療が終わったら、大好きなイタリアへ行く!そう決めた。それが抗がん剤治療を乗り越える大きなモチベーションとなった。
彼女には深く感謝している。
当初の予定では、今頃は集中的な治療終了から5年が経ち薬の服用を終えるはずだったが、残念ながら3年を待たずして局所再発したため、今も治療は続いている。当初、治療が終わるころには東京オリンピックが終わってますねと腫瘍内科の先生と話したけれど、いまだ東京オリンピックは開催されず、私の治療も継続、その先生も病院を移られてしまった。予期せぬことは誰にも起こりうる。
今に至るまで様々なことがあり、色んなことを思った。将来が見通せない不安、安定しない気持ち、そして体調。ときおり不意に泣きそうになることも、もちろん涙を流したこともあった。みんな様々な思いや葛藤を抱えながら、治療と向き合っているのだと思う。
それでも家族や友達の温かい支えと励ましがあり、信頼出来るドクター達や医療スタッフの方々に出逢えたこと、真摯に向き合って下さったおかげでここまで来ることが出来た。
そういう意味で、私は本当に恵まれている。
勝手にマイチームと命名しているほど、最高の主治医達。この病を得なければ出逢わなかったひと達なのだと考えたら、「病気になったことは不運かもしれないけれど、不幸ではない」と思う。
そしてもう一人。当時の直属の上司にも感謝の念は絶えない。
告知を受けた当時、この上司との関係は最悪だった。仕事の進め方で常にすったもんだして信頼関係はまるで成り立たず、もう病気を機に仕事をやめようかな?とも思った。
それでも、告知されたクリニックで先生が、「今は仕事を続けながら治療する時代なんですよ」という言葉に後押しされた。
乳がんが見つかったこと、これからの治療の見通し、できれば仕事を続けたいことを告げ、よろしくお願いしますと頭を下げた。内心で、まさか了承なんてしてくれないだろうと思いながら。。その思いに反して「わかりました」と短く答え、出来る限り希望に沿いたいと言ってくれたので、少し驚いたことを覚えている。
それから治療が終わるまでの間、陰に日向に上司は私を守ってくれた。この仕事は他のひとではなく私に任せたい、足らないところはみんなでカバーしますと上に強く希望してくれたのは上司だったそうだ。そして、抗がん剤の点滴のたびに休みを取る私を同僚みんながサポートしてくれた。周りから色々詮索されると困るだろうと上司の気遣いもあり、病名は明らかにしていなかったが、たぶんある程度気づいていたと思う。
今は違う職場で働いているが、私が今も仕事を続けていられるのはその上司のおかげだ。一生、足を向けては寝られない。
もし、同じ病気やがんを患い、悩んでいるひとがいたら何かお役に立ちたいなと思う。そして、病気になったことは不運かも知れないけど、不幸ではないんだよと声をかけてあげたい。
この1年はコロナ禍という、予期せぬ出来事に世の中みんなが翻弄された。そういうときでも、嘆くだけではなく、なにかできないか?打つ手はないのかと考えられるようでありたい。
【Keep calm and carry on】落ち着いて、くじけることなく闘い続けよ。
この言葉を胸に、今日から7年生です。
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