『クソったれ資本主義が倒れたあとの、もうひとつの世界』by ヤニス・バルファキス
原題は『ANOTHER NOW Dispatches from an Alternative Present』
邦題は、随分意訳したものだと思うが、まぁ雰囲気は出ている。
ヤニス・バルファキスのこの著書については、年末頃にダーリンが今読んでいるが面白いというので図書館に予約した。ただ、注目されているのか予約が集中しているようで、先に『黒い匣』を読んだらヤニス・バルファキスにすっかりハマってしまった。
その彼が書いたのは、今度は近未来の小説。
「私」の視点から始まる物語は、一人の女性アイリスの葬儀のシーンから始まる。登場人物は、他にコスタ、イヴァ、イヴァの息子トーマス、そしてパラレルワールドのもう一人の彼ら、いわば分身たち。
Amazonでの紹介文はこんな感じ。
この紹介文で、内容をうまく表しているとは思わないが、それは仕方ない。どんな物語なのか紹介するのがちょっと難しいのだ。
ギリシャの春をくぐり抜けたヤニス・バルファキスだからこその視点であり、SF的な小説でもある。
最初に読み始めたときは??と思っていたことも、パラレルワールドへ渡るかどうかの彼らの選択や、思いもかけないラストはとても面白かった。
経済的な小説というよりは、それぞれの人生観を問うもので、難しいものではなく、純粋に物語を楽しめた。
財務大臣を辞任後も国会議員を続けているバルファキス。
もうひとつの世界は、ある意味で彼の理想郷なんだろうなぁ。
おそらく、今も彼はその実現に向けて邁進し続けている。
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