負の感情に囚われるとき
ひと月ほど前のこと。
同じ頃に同じ病を得て、同時期に辛い治療を経験し、励まし合ってきた仲間が、来年1月には治療が終わる予定!とSNSで発信していた。
そうか…5年服用が終わるんだね。
最初は私もその予定だった。
薬の服用が始まったとき、5年後って2021年の1月!東京オリンピックも終わってますね?と先生と笑って話したものだった。でも再発したので計画変更。
いやはや、なぜかオリンピックも終わってないのだけど…薬の服用期間も伸びた。再発のオペ後、違う薬に変わって10年…。あと8年以上…先は長い。私もあと3ヶ月で終わるハズだったのに。
ちょっとネガティブな気持ちになってしまった。
同じ時期、辛い治療を共に駆け抜け、励まし合った友達のことを素直に喜べない自分にちょっと驚きもした。イヤな人間だ。
でも、ひとはいつもポリコレではいられない。心の中でごめんねと彼女に謝った。そして、かつて再発組と初発組には深くて超えられない溝がある・・・と聞いたことがあって、それをちょっと思い浮かべたりもした。
病気であることをひた隠しにしたり、一切認めず同病のひと達との関りを持たなかったりするひともいる。人の考えって実に様々だ。
がんという病を得て、どう思うかどう振舞うかも本当にひとそれぞれ。
私は元々、あまり大騒ぎしたり泣き叫んだりするのが苦手なのと、病気になった自分を自分でも他人からも可哀想だと思われたくないので、大げさにせずそっとしておいて・・・と思うタイプ。
病気がわかって治療の方向性を決め、治療が始まる前に集まってくれた同級生の一人に、”キアラは自分でしっかり考えて、泣き言も言わずに強いね”と言われた。強いわけではないんだけどね・・・と内心思っていたら、もう一人が、”強いんじゃなくて、キアラはひとにそういうところを見せないだけ。辛くないはずはないよね”と言ってくれた。わかってくれる友達がいるってありがたいなと思った。
パートナーには、がん検診で引っ掛かり、要精密検査になったことは話してあった。検査して悪くなることはないのだから、しっかり検査してもらっておいでと言われ、次に会った時にその結果を伝えた。冷静に淡々と伝えたいと思っていたけれど、初めてひとの前で泣いた。全身のCTを撮る前で転移の有無はわかっていないタイミング。その日の彼の言葉を今も覚えている。
「何があっても、どんと引き受ける」
辛い治療、再発、その途中経過のすべてを共有してくれた存在に、今も深く感謝している。
だから、治療がちょっとくらい伸びたくらいでネガティブになっている場合ではないんだよね。
というわけで、今はポジティブに戻っています。エイエイオー!