休薬という選択肢
3か月ぶりの乳腺外科主治医の診察日。
土曜日の診察はいつも混んでいる。
火曜日に放射線科主治医の診察を受けた際、以前からお世話になっている看護師さんから土曜日はかなりお待たせしそう・・・と聞いていたので、読みかけの本も持ち込んで臨んだ。
予約時間から2時間近く待ってようやく呼ばれた。どうやら私が最後の患者らしい。
「こんにちは」と先生にあいさつし、どうですか?と聞いてくださる先生にまず懸念を伝えた。2~3週間前から手術をした左側の肩から腕、腋にかけての違和感、手先のピリピリとしたしびれが出ていること。手先のしびれ自体はパクリタキセルの末梢神経障害の名残でじんわりとあるが、それとは違う感じがすること。放射線科主治医より、エコーやPET-CTの結果からも問題はないと言われたが、術側なので少し気になることも話した。
先生の表情が少し引き締まり、着衣のまま少し肩や腋の辺りに触れられた後、ちょっと見せてくださいと言われる。ベッドに腰かけた姿勢でまず確認をされ、それから横たわった状態で左腕、肩、腋の外側の部分と右側を丁寧に触診して比べられた。そして「少し左腕が腫れていて、腋にしこりのような硬い部分があるので手術の影響だと思います」と言われた。がんの再発などではなく、それは心配しなくていいとのこと。
つまり、ごく軽いリンパ浮腫のような状態。気を付けないといけないことは特になく、ヨガなどで動かすようにすればよい。センチネルリンパ節生検ではリンパ郭清はしなかったので、浮腫に関してあまり心配はしていなかったけれど、これ以上酷くならないように気を付けないといけない。
術跡についてはいつものように「きれいですね」と言って下さった。患部と健側の触診の後、必ず胸とおなかの傷の状態を確認され、褒めて下さる。
そして、今日のもうひとつの課題はアリミデックスの副作用の関節痛。
以前から膝や足首、手首や指などに影響があり、それでも大きな支障は出ていないので大丈夫ですとずっと先生に伝えていた。ただ、このところ50肩のような症状があり、50肩だと思っていたけれどどうやら副作用によるものだと思い当たった。時間とともに引いていくかと思っていたこれまでの痛みもなかなか治まらない。
そんな話を先生にすると、少し休んでみますか?と仰った。
2ヶ月ほど薬の服用を休み、症状が治まったら関節痛の出ないアロマシンという薬に変更するという案。そこで変わらなければ、アリミデックスを服用し続ける。または、消炎剤を服用しながらアリミデックスを継続する。
休薬して再発など影響は大丈夫なのですか?と伺うと、2か月ほどでは影響はない。それよりも、長く服用していく必要があるので辛ければ休むことも考えてよいと。痛みの程度は本人にしかわからないので、どうしたいか考えてみるように言われ、休薬を選択した。
こちらから申し出ようかと迷っていた休薬を、先生から先に話してくださったことで話もしやすくてありがたかった。
ホルモン療法はずっと継続するもので、薬も途切れず服用し続けないと思っていたので、長期的に治療を継続するために色んな選択肢があり、それをきちんと提示してくださった先生には感謝しかない。
当初はタモキシフェンを5年服用の予定で、再発がなければあと半年で服用が終わるはずだった。それが再発により、アリミデックスに切り替えて2年弱。最初はあまり気にならなかった関節痛がこの1年でかなり強くなってしまった。やめてしまう勇気はなく、それでもあと8年・・・と思うと、これからの先の長さに気持ちが暗くなる。でも、症状に応じて時々休んだりお薬を変えたりしながら継続していけばいいのだとやっと腑に落ちた。
そういう方法があるとは知っていたけれど、どこまで我慢してよいのかは個人差があり、ずっと迷っていた。でも、生活に支障がないから大丈夫です!と先生に言いきれない状態になり(正直なところ、夏の暑さがメンタルに影響しているかも知れないのだけれど)、休薬を受け入れてくださったことで気持ちが楽になった。これで関節痛が治まればさらに嬉しい。
半年ごとにプラリアを打っているのでカルシウム剤は継続だけれど、治療が始まって以来、薬の服用が実質的になくなる。
ちょっと嬉しいような、心もとないような。
治療に関して悩みや思うところがある方は、是非主治医の先生としっかり話をすることをお勧めします。
Twitterなどで経験者同士の情報交換も否定はしないけれど、そのひとが受けた治療がいつのものかによって全然状況が変わってくる。同じ病気だとしても病状はひとそれぞれで、いちばん情報を持っているのは主治医です。
やっぱり、医師は最前線の情報にあたっていて、これまでの経験から引き出しもたくさん持っている。それを利用しない手はない。
コミュニケーションをとること、大切だと思います。