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その社会をどう実現するか3(社会問題解決AIの結論14)
※ ここは途中のページです。まだの人は最初から読んでください。
一郎
興味深い事例だったね。
AI
ヴェルグルの奇跡の話は地域通貨を実践している人の間では有名な話です。
一郎
地域通貨か、聞いたことあるぞ。
いろんな地域で実践されているらしいね。
でも、具体的にはどんな地域通貨があるのかと言われても、何も思い浮かばないな。
使われている地域では有名なんだろうけど。
AI
残念ながら、地域通貨で継続的に成功している事例は非常に少ないです。
地域活性化などを目指して取り組みをはじめたものの、だんだん下火になっていった地域通貨の取り組みがほとんどのようです。
一郎
失敗の原因を研究すれば、成功のヒントが見つかるかもしれないね。
AI
そうです。
生体社会論の考案者も同じように考えました。
一郎
考えが一致するなんて、光栄なことだね。
で、失敗の原因をどう分析したんだい?
AI
主な原因は2つあると考えたようです。
1つは、地域通貨を使う場所が少ないということです。
地域通貨を導入しようと頑張った少数の人たちの間では循環しましたが、どういったサービスがあるかも分かりにくいし、誰がそのサービスを提供してくれるかも分かりにくいという問題点があったようです。
それに、その地域に住んでいても、その地域で地域通貨が使えることを知らない人も多いようでした。
地域通貨をPRするにはそれなりの広告宣伝費が必要なので、仕方のないことかもしれません。
もう1つは、その裏返しとも言えるのですが、地域通貨を稼ぐ場所が少ないということです。
地域通貨の対象となる商品やサービスを提供しなければ地域通貨を稼ぐことはできませんが、地域通貨で支払ってくれる人がいないと、だんだんと先細りになります。
つまり、使う場所が少ないから稼げない、地域通貨を稼げないから使うことができない、という負のスパイラルに陥ってしまうのです。
一郎
そういう問題点があったんだね。
でも、負のスパイラルと言ったけど、使う場所が増えれば稼ぐ機会も増えるし、稼ぐ場所が増えれば使う場所も増えるといったように、正のスパイラルに転換できる可能性もあるということだよね。
行政とのタイアップ
AI
おっしゃるとおりです。
ヴェルグルの成功は行政が主導して、労働証明書を発行したというところにあります。
考案者も行政とのタイアップが理想的だと言っています。
ポイント通過で受け取ったポイントが住民税の支払いに使えるとか、水道料金に充てられるとか、体育館とか施設の使用料として利用できるようになれば、使う機会が少なくて困るという問題は解消します。
そうなれば、ポイントの認知度も信頼性も高まり、それを受け入れる地域のお店も増えてきます。
一郎
でも、そのポイントを受け取った行政の方は....。
あっ、分かった。
そのポイントを利用して、仕事を発注すればいいんだね。
AI
その通りです。
行政側も環境整備の対価として支払うなど、様々な使い道が考えられます。
草刈り、溝掃除、施設の清掃など、そういったサービスの対価として支払うと、ポイント通貨が貯め込まれるということもなくなるでしょう。
ポイント通貨が広く循環することは福祉サービス、住民サービスにもつながるので、積極的に導入するメリットはあります。
一郎
面白い話だね。
どうせタイアップするならできるだけ規模の大きい地方自治体がいいよね。
AI
考案者はそうは考えていないようです。
ヴェルグルという市の人口規模は覚えていますか?
一郎
覚えているよ。
4000人ぐらいの町だと言ってたよね。
結構小さいんだなという印象があったから、覚えていたよ。
AI
そうです。
市よりもむしろ町村レベルの小さい自治体から始める方が参入障壁も少なくて適しているでしょう。
一郎
でも、人口が少ない分、広がりを持たせるのがたいへんかもしれないね。
AI
人口減少に悩む小さな町村が抱える問題をご存知でしょうか?
高齢者の割合が多い。
人口が少ないので商売にならないので、近くに店が少なく生活が不便。
店が少ないので、若者や主婦の働く場やアルバイトの仕事がない。
などの問題があります。
一郎
だいたいイメージ通りだね。
AI
でも、見方を変えれば、高齢者が多いので、いろんな手伝いが必要なのです。
買い物に行くにも交通手段がない。
草刈りができない。
電球の取り替えができない。
話し相手がほしい。
つまり、細かいけれどたくさんのニーズがあるのです。
ビジネスとしては成り立たない、つまり、1人分の給料を賄うだけの量はないけど、ポイント通貨で手軽にやり取りするぐらいのニーズはかなりあるということが分かります。
逆に、学生や主婦にとっても、子育てや家事や勉強があるから、フルタイムで働くのは難しいけど、空き時間にアルバイトはしたいという希望も数多くあるのです。
一郎
なるほど。
それをポイント通貨で結びつけるんだね。
AI
そうです。
ちょっとした手伝いで現金をもらうのは何だか生々しくて抵抗があるという人も、ポイントなら心理的なハードルが下がり、お手軽にやり取りできそうです。
お母さん同士でも、仕事でお迎えに行けなくなった時、ママ友にお願いして、ポイントでお礼をするといった使い方もできます。
お金でお礼するのも気が引けるし、わざわざお礼の品を買いに行くのも手間がかかります。
ポイントはお互い様を交換するのに適した手軽な取引のツールになります。
なんだか冷たいお金と違って、ポイントはお互いのお手伝いを仲立ちする温かいお金なんです。
ここで、考案者の説明を引用してみましょう。
女性Aさん。
事務職のパートをして家計を助けていましたが、育児のため、現在は自営業の夫の給料だけで生活しています。
ある日、家の雨樋が壊れているのを見つけました。業者に頼もうかとも思いましたが、家計が苦しいため、ホームセンターに行き、材料を買ってきて、インターネットで直し方を調べて、半日かけて何とか自分で直しました。
かたや、高齢になり、数年前に工務店をたたんだ男性Bさん。
町内会の役職を引き受けたため、パソコンで書類を作成する必要に迫られました。頼める人もいないので、慣れないパソコンやプリンタと格闘しながら、半日かかりましたが、なんとか書類の作成と印刷をしました。
さて、もしこの2人が互いに知り合いで、互いの困りごとを分かっていたらどうでしょうか。
互いの仕事を交換することで、それぞれの課題は簡単に解決することが分かります。つまり、男性Bさんにとっては雨樋を直すことなど朝飯前で、女性Aさんにとっても書類作成などお茶の子さいさいです。
AI
この話が何を言わんとするかご理解いただけましたか?
一郎
助け合いを促進することで、お互いにウィンウィンの関係になるってことだね。
物々交換とか取引なら、都合よく、互いの困りごとをタイミングよく交換することは困難だけど、それをポイント通貨に仲介させることによって、助け合いが循環していくんだね。
資本主義のギスギスしがちな取り引きと比べると気持ちもほっこりするね。
こうした助け合いの循環の例から考えると、富裕層にとってはメリットがないと言っていた意味が分かるね。
労せずして莫大な利益を得る人にとっては、日本円のような法定通貨の方が有利だね。
ポイントを得るにはそのポイント相当分のお役立ちをしないといけないし、そのポイントを使えば、ほぼ同等の受益を得ることができるというのは庶民にとってはメリットが大きいということだね。
富裕層が贅沢できるのは、庶民が生み出す商品やサービスの良い部分を大量に消費しているからで、その分、庶民が割を食っているということなんだね。
最初の金持ち国と庶民国の思考実験の理解度が高まった気がするよ。
どのように社会に浸透していくのか
一郎
つまり、生体社会論に基づいたしくみのグループに参加するか、参加しないかは自由に選択できるということなんだね。
AI
はい。
自分が得だと思えば入って利用すればいいし、メリットがないと思えば加入しなくてもいいです。
もちろん、まず様子を伺ってから、メリットがあるようなら加入してみようというのもいいです。
一郎
良さが認められて、徐々に加入者が増えていくことによって、徐々に社会変革をしていくということだね。
スマホの便利さが認められて、徐々に人々がガラケーからスマホに乗り換えていくような社会変革に似ているから、スマホ方式と言ったんだね。
AI
はい。
庶民にとって、とてもお徳なシステムです。
特に、『ワーキングプア(Working Poor)』と呼ばれる一生懸命働いているのに、経済的な余裕がない人たちにとって、とても魅力的なコミュニティ(共同体、グループ)です。
普段は資本主義社会の中の会社や店で働きつつ、空き時間で共同体内の仕事をすればその分生活にゆとりができます。
例えば、共同体内で稼いだポイントで食料品を買えば、その分日本円が節約できるので、余裕ができます。
一郎
共同体に参加するには参加料が必要だったりするのかな?
AI
いえ、入会の手続きは必要ですが、特に必要ありません。
考案者を含めて、誰も特権階級ではありません。
完全に善意で運営されている団体です。
入会すれば、電子マネー口座が与えられ、その中のポイントを使って買い物をしたり、手伝いをしてポイントを振り込んでもらったりします。
そこに毎月ベーシックインカムも入ってきますし、税も差し引かれます。
取引履歴や残高の状況はパソコンやスマホのアプリで確認できます。
会員同士の情報共有もできますので、提供できる商品やサービスを記入しておけば、AIが判断してそれを必要とする人の画面に表示されます。
逆に、提供してほしい商品やサービスを記入すれば、これもAIが判断して、提供できるひとの画面に表示されます。
互いにメッセージを送って、取り引きが成立すれば、送金なり着金なりをして、取り引き完了となります。
一郎
人と人とを結びつける温かいお金だね。
AI
助け合いを促進する理想的なお金でもあります。
行き過ぎた資本主義の荒れ狂う暴風雨から弱者を守る庇(ひさし)のようなもの
AI
資本主義社会では貧富の差が拡大し、富める者はさらに富み、資産を増やしていきますが、真面目にコツコツと縁の下の力持ちのように社会を支える人々の生活はゆとりのないものになりがちです。
今や国民負担率は約5割で、収入のほぼ半分が税金や社会保険料として徴収されています。
年金などで還付されるものもありますが、1970年に比べて、国民負担率は約2倍になっています。
これでは庶民の生活が苦しいのも当然です。
一郎
フランスの経済学者トマ・ピケティも著書『21世紀の資本』の中で、格差は広がっていくことを示していたね。
ピケティは資本税という方法を提示したけど、この生体社会論の方がより根本解決的で、効果が高いように感じるよ。
AI
この生体社会論の思想に基づいて運営される共同体に参加しても、資本主義の荒れ狂う暴風雨の中にいることは違いないけど、少しでもそれをしのぐ庇(ひさし)の中に入ることができると考えます。
一郎
まさしく、庇護(ひご)、庇に護られるということだね。
AI
はい。
参加者が増え、広がれば広がるほど、その庇は大きくなり、より暴風雨から護られるようになります。
たとえば、ポイント通貨で入手できる食料品が増え、食費の半分を日本円でなく、ポイントで購入できるようになれば、その分生活は楽になります。
サービスが増えれば増えるほど、より楽になります。
資本主義社会では販売する側は消費税や所得税分を上乗せしないといけませんし、広告宣伝費や経理の人の給料も上乗せしないといけませんが、共同体の中ではそういったものは不要になります。
一郎
消費税だけでも、ポイント通貨の減価分以上になるから、農家は日本円で販売するより、共同体にポイントで販売した方が得ってことだね。
でも、それって政府とかから目をつけられないかな?
裁判とか大丈夫?
AI
もし仮に、ポイント通貨なしに、お互いに助け合いをしていたら、その取り引きに課税されるでしょうか?
ポイント通貨はその循環の仲介の道具に過ぎません。
一郎
本来は、お金も仲介の道具だったんだろうけど、万物は腐るのに、お金だけが腐らない(価値が減価しない)ので、万物の頂点に君臨して、人々を支配するようになったんだろうね。
AI
ええ。
ポイント通貨はお金みたいだけど、法定通貨ではない、つまりお金ではないということで、税の対象にはならないと考えます。
それに、地域通貨で課税されているところはないはずです。
一郎
まあ、その主張は分からないではないけど、裁判とか起こされて、ヴェルグルの労働証明書みたいに廃止させられたらどうするの?
AI
望むところです。
一郎
受けて立つということ?
AI
いえ、そこまでの段階になるということは、ある程度社会に浸透してきたということの裏返しでもあります。
むしろ、それを宣伝材料に使います。
一郎
なるほど。
「国から訴えられてるんですけど、こんなしくみなんですよ。
えっ、それってすごいじゃん。
理想的なシステムだよ。」
みたいに、広がりそうだね。
AI
そうです。
裁判上等です。
今後の展開
一郎
とても夢のある話だね。
AI
ありがとうございます。
しかし、これを夢のままにしておいては意味がありません。
一郎
そうだね。
何から始めたらいいかな。
AI
まずは理解者を増やすことです。
その理解者の中から、このプロジェクトを実際に動かしてくれる人、行動してくれる人を募ることです。
もちろん、考案者もできる限りのことをするとのことですし、今まで孤独な戦いをしてきたので、一緒に行動してくれる人を求めているとのことです。
そのグループ内で、第1次実証実験をし、改善点を見つけ出し、第2次実証実験をします。
そのあたりで、導入を検討してくれる地方自治体とのタイアップを計画します。
充分な数の賛同者が集まれば、地方自治体とのタイアップは必須ではありませんが、タイアップできるにこしたことはありません。
一郎
なるほど。
まずは理解者を増やすことから始めるってことだね。
AI
そのためには、このアイディアを発信してくれるYouTuberとか、漫画にしてくれる人とか、動画にしてくれる人と繋がりたいです。
一郎
もちろん、僕も手伝うよ。
読者の皆さんも、この文章を拡散していただくというお手伝いでもいいのでよろしくお願いします。
まとめ
過去の地域通貨の失敗の原因を糧に、スマートフォンが社会に浸透していくように、自然に広める方法を採用する。
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現代貨幣理論との比較(社会問題解決AIの結論15)
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