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FP1級実技|直前対策ラスパーlog集③(2024年6月受検用)

前回試験向けの直前対策記事(ラスパーlog)の主要部分について、6月度試験向けに加筆・修正した4回シリーズの3回目です。

▶1回目(受検番号の数字の意味 / 設例読みで最高のパフォーマンスを得るには / 面接官の観点から試験を見てみると)

2回目(ざっと計算して判断する / 金庫株とは? 事業承継における活用シーンとリスク)


Image by Mudassar Iqbal via Pixabay

PartⅡ冒頭の「FPが確認する情報」への突っ込みに対処するために


FP1級実技面接のPart IIは、課税関係や税制特例などに「気づけるかどうか」がポイントとなることが多いように思います。

場合によっては、設例読みの15分以内に気づけないリスクがあるだけに、どのような設例であっても必ず答えられる、冒頭の「確認事項」(①Aさんから直接聞いて確認する情報、②FPであるあなた自身が調べて確認する情報)は確実に対応しなければなりません。

特に「②FPが確認する情報」は、不動産の現況、権利関係、公法上の制限の確認…と、どんなに難しい設例でも、決まり文句を列挙して答えられる「安心問題」と言えます。

的確に答えて、得点源にすると共に、スムーズに淀みなく発話することで波に乗り、その後の面接の展開を優位に進めていきたいところです。

面接官からの関連質問についても、例えば「権利関係」なら

  • Q:「法務局で確認できるものは何ですか?」

  • A:「登記事項証明書(登記簿)と公図です。」

と、概ねパターンが決まっているので、対処しやすいように思われます。

但し、ある面接体験記によると、

  • Q:「登記事項証明書(登記簿)と公図の他に、法務局で確認できるものは何ですか?」

と、やや突っ込んだ質問がなされたことがあるようです。

土地の需要や相場を調べる手だてとして、思わず「レインズ」と答えてしまう不動産業界の方ならお手のものだと思いますが、それ以外で、特にPart IIを苦手としている方は、「安心問題」への回答ををさらに確実なものとするためにも、以下「②FPが確認する情報」に関するプラスアルファの知識を仕込んでおきましょう。

登記事項証明書(登記簿)と公図の他に、法務局で確認できるものとして

  • 「地積測量図」(登記事項証明書の土地面積の算出根拠となるもの)

  • 「建物図面・各階平面図」(登記事項証明書の建物面積の算出根拠となるもの)

があります。

地積測量図は土地によってはなかったり、あっても境界が確定していない場合があります。

基本的には土地の売却時には、別に「確定測量図」(境界の確定が担保されている測量図)が必要となります。

建物図面は建物を新築・増築等した場合に、その登記申請の際に必ず添付しなければならない書類で、通常は各階平面図とセットになっています。

ついでに、「公法上の制限」については、市役所の次の課で確認を行います。
※課の名称は一般的なもので、役所により異なる場合があります。

◯ 都市計画課

  • 都市計画法上の制限の確認。

  • 「都市計画図」により、用途地域、その地域の建蔽率・容積率、防火地域、都市計画道路などの情報を確認。

◯ 建築指導課

  • 建築基準法上の制限の確認。

  • 「建築計画概要書」により、現況の土地面積・延床面積と合致しているか 、接道状況、前面道路の幅員、道路中心線などの情報の確認。

  • 「台帳記載事項証明書」により、建築確認と完了検査を済ませているか、などの情報の確認。

◯ 上下水道課

  • 「上下水道台帳」による確認(下水道は合流式か分流式か、などの確認)

◯ 資産税課

  • 「評価証明書」による確認(固定資産税課税のため役所が独自に調査した不動産の現況が分かり、所有者が申告しない限り更新されない登記上の面積や構造よりも現実に近い)

PartⅡ最後の「専門職業家」に関する意表を突く質問に対処するために


FP1級実技面接のPartⅡで、冒頭の「確認事項」と共に、確実にものにしておきたいのが最後の「専門職業家」に関する質問です。

面接終盤、タイムアップが迫る中で急ぎ足の回答が要求される局面ですが、できれば関係する専門職業家を単に羅列するだけでなく、

  • 地目変更登記と分筆登記で土地家屋調査士

  • 所有権移転登記で司法書士

  • 時価評価額の算定で不動産鑑定士

  • 売買の媒介で宅地建物取引士

  • 課税額の計算と税務申告で税理士

などと、それぞれに依頼する業務も付け加えておくと、回答内容の差別化を図ることができます。

また、関連業法については、多くの面接体験記で、「Aさんから直接、税務相談の依頼を受けた時はどうしますか?」など、税理士法に関する質問がデフォルトになっていますが、

  • 「法律に関する事務を無償で行った場合、弁護士法に抵触しますか?」

といった意表を突く質問がされたこともあります。

これについては「有償か無償か」「業としてか」「個別具体的かどうか」が判別のポイントとなります。

以下の「伏線回収シリーズ」Season3の(3)FPと関連法規で、まとめて解説しています。

事業承継税制(特例)「複数の株主から最大3人の後継者」への承継パターンについて

事業承継税制(特例措置)は、ひとりの株主からひとりの後継者への承継だけでなく、複数の株主から最大3人の後継者(親族以外もOK)への承継においても使えます。
※事業承継税制(一般措置)は複数の株主から1人の後継者への承継に限られます。

2024/2/11 PartⅠでは、「複数の株主から」の要件が問われました。

贈与者側の株主が2人の場合、特例の適用を受けるためには、

  1. 旧代表取締役で、

  2. 同族で過半数の議決権を有し、

  3. 同族内(後継者を除く)で筆頭株主である人が、まず贈与し、

  4. その後に、もうひとりが贈与する(この人には上記1.2.3の要件は不要)

という要件を満たす必要があります。

例えば、

  • 旧代表取締役Aが60%、配偶者Bが30%、その他の株主C(非同族)が10%保有している場合、

  • Aが贈与した後にBが贈与すれば、両方の贈与について特例の適用が受けられます。

  • しかし、もしBが贈与した後にAが贈与した場合は、Aの贈与についてのみ特例の適用が受けられ、Bの贈与については適用を受けられません。
    ⇒Bは上記の1.と3.の要件を満たしていません。

次に「3人の後継者へ」株式を贈与する場合を考えてみましょう。

3人の後継者が、共に贈与時において

  1. 18歳以上であり、

  2. 3年以上にわたり会社の役員であり、

  3. 代表取締役であり、

  4. 同族で過半数の議決権を有することとなり、

  5. 単独で10%以上の議決権を有し、かつ、同族内(他の後継者を除く)で筆頭株主となる

必要があります。

例えば、

  • 旧代表取締役Aが40%、配偶者Bが15%、長男C(取締役)が15%、その他の株主F(非同族)が30%保有している会社で、

  • 長男C、次男D(取締役)、三男E(取締役)の3名を代表取締役とする場合において、

  • Aが次男Dに20%、三男Eに20%贈与する。

  • その後に、Bが長男Cに15%贈与する。

  • その結果、長男Cは30%(同族内筆頭)、次男Dは20%(CとEを除き同族内筆頭)、三男Eは20%(CとDを除き同族内筆頭)となった。

という形で要件が整えば、事業承継税制(特例)を適用できることになります。

事業承継税制(特例)については、この論点の他にも、少し踏み込んだ細部の要件が問われるのが近年の傾向となっています。

例えば、2022年2月5日と2023年2月11日のPart Iでは、事業承継税制適用後、5年以上を経過した時に、M&Aによる株式買取の話が舞い込むという展開となっています。

株式を譲渡した場合、納税が猶予されている税額はどうなるのでしょうか?

「伏線回収」Season2の(5)「事業承継税制」その後に、本番応答仕様の簡潔な回答を掲げていますので参考にして下さい。


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