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試験2カ月前、FP1級実技面接Part II最新の傾向と対策(2024年9月受検用)

今回の記事では、直近の2024年6月試験のPart II の出題内容を振り返りつつ、2024年9月試験に向けての対策ポイントを明らかにします。
※ 2024年9月試験の受験票発送は9/3、試験日(予定)は9/21•22•28•29、合格発表は10/25です。

▶︎Part I は以下をご覧下さい。

2024年6月 Part IIの注目点

◯ 前回は時間内の思考力、今回は細部の知識量が問われた

前回2024年2月試験のPart IIは、思考力を問う設問(2024/2/17と2024/2/18)が目につきました。

解決策を考えさせる、あるいは案に対する見解を述べさせるなど、パターン化した知識の当てはめだけでは答えられないタイプの設問です。

基礎知識を駆使して思考を巡らせ、複数の観点から検討して案や見解をまとめていくことになりますが、設例検討のために許された時間は、たった15分。

設例を超スピードで速読即解しないと、回答をまとめる時間はほとんど取れません。

一方、今回の2024年6月試験のPart IIは、同じく思考力を問う設問も一部ありましたが、むしろ前回とは打って変わって、頻出論点以外の細かい知識を尋ねる設問が多かったのが特徴的です。

近年の法改正事項である「管理不全空き家」(2024/6/9)や連帯保証に関する民法の改正(2024/6/15)。

賃料滞納トラブルの解決手段(2024/6/15)、契約の承継(2024/6/8)や中途解約(2024/6/16)について、収益不動産売却時の必要書類に関する知識(2024/6/15)などです。

◯ 未知の論点が出た場合、どう切り抜けるか?

15分間の設例検討で、全く知らない論点に遭遇した場合、「持ち帰り」を申し出るしか術がないと諦めてしまうこともあるかもしれません。

このような場合でも、

  • その未知の論点の関連や周辺で、何か知っている事はないか記憶をたぐり寄せる。

  • 全部わからなくても、一部でもわかるものがあれば、とにかく答えて部分点を拾う。

など、諦めずに徹底して粘る努力をすべきです。

例えば、「管理不全空き家」を全く知らなかったとしても、学科で習得した知識を思い出すことができれば、「空き家」のある土地は住宅用地→固定資産税の課税標準は更地の6分の1、などと類推を働かせることができるかもしれません。

あるいは、賃料滞納で退去させる手段として、「裁判」はすぐに思いつくものの、その他の手段を知らない場合でも、過去の設例を思い出して、そう言えば境界を巡るトラブル(2023/9/24 Part IIの設例)の場合、当事者間の話し合いや専門家を交えた調停などの方法があったが、賃料のトラブルでも同様の解決方法があるのではないかと気づくことができるかもしれません。

また、収益不動産売却時の必要書類については、当note記事の「FPが確認する情報」の深掘り知識を想起できれば、確定測量図や固定資産税評価証明書などに思い当たることができそうです。

◯ 学科知識の歩留まりが物を言う場合も

連帯保証に関する民法の改正については、設例解説で指摘したように、学科基礎編の過去問ですでに出題済みです。

そのかすかな記憶の断片でも残っていれば、この難問にも何とか対処することができたかもしれません。

難攻不落とも思える論点に対しても、細部にわたって知識を取り込んできた学科の勉強の経験は、必ず生きてきます。

私が受検した2022/2/19 でも、Part Iの設例でストックオプションの課税関係という多くの受検生にとって未知の論点が出題されました。

私はたまたま、学科の過去問でチラリと見かけたストックオプションについて、自分なりに調べたことがありました。

それを思い出し、必死に記憶の糸をたぐり寄せて、15分間の設例読みの時間内に、何とか正解にアプローチすることができました。

【対策ポイント】学科知識をキープし、頻出論点を確実にさらう

以下、2024年9月試験のPart IIに向けての対策ポイントを示します。

  • 学科試験のE分野(不動産)とF分野(相続・事業承継)の知識をキープする。
    →「過去問道場」の利用を継続する。

  • 頻出論点ながら、2024年6月試験では表立って出題されなかった土地の有効活用(事業用定期借地権・建設協力金・等価交換の各方式)と「共有」(解消方法、現物分割の場合の課税関係、交換の特例)は確実にさらっておく。

  • 「借地権」は、借地権と底地の交換、「土地の無償返還に関する届出書」と共に、「借地権者の地位に変更がない旨の申出書」と「借地権の使用貸借に関する確認書」の論点をよく理解しておく。

  • 「農地」は2023年2月以降は出題されておらず(※)、いつ問われてもおかしくない状況。「農地」 の論点が重点的に問われた2022/10/1 PartⅡの設例(TACの対策問題集には掲載されていない)をよく研究しておく。
    (※)2024/2/10に「特定生産緑地」が設例中に登場したものの、論点にはならなかった。

鍵を握る15分間の集中力

本番の15分間の設例読みにおいて、柔軟に思考を巡らせ、提案や見解をまとめたり、未知の論点の手掛かりを探したりする時間と余裕を確保するには、どうしたら良いでしょうか?

まず、設例をできるだけ速く読んで、内容を把握し、パターンや定石で答えられる標準的な論点への回答を手際良くまとめられるように、過去の設例でよく練習しておく必要があります。

さらに、実技面接当日のメンタル(緊張や不安)を、いかに上手くコントロールできるかも重要で、それによって、設例読みへの集中力の度合いが異なってきます。

本番での緊張や不安をやわらげるためには、あらかじめ試験当日の流れを時系列で追体験し、各場面での心構えや対策を脳内でしっかりとイメージトレーニングしておくと効果的です。

下記の特別プレミアム記事は、面接会場で展開される一つ一つの場面を詳細かつ鮮明にレポートし、さらに、各場面で留意すべきこと、やるべきこと、 ピンチの時の対処法、設例読みと面接応答で使える独自のノウハウなどを、徹底した受検生目線に立って、吟味を重ねてまとめています。

2024年6月 Part IIの出題論点まとめ

【2024年6月8日 Part II】

◆ 見落としがちな駐車場の課税関係。前回に続き「考えさせる」思考力系の設問も。

  • マンションの入居者専用駐車場の固定資産税
    当note記事

  • 2つの土地に賃料単価の差があることについてどう思うか?

  • 相続税評価額の2倍の価格での売却についてどう考えるか?

  • 賃貸借契約書の相続後の効力

【2024年6月9日 Part II】

◆「管理不全空き家」は知らないと対処が難しい論点。前回に続き権利金の認定課税が出題された(今回は個人間)。

  • 「管理不全空き家」とは?
    →2023/12/13施行

  • 土地を権利金なしで「通常の地代」で賃貸した場合の相続税評価額と課税上の問題点
    2024/2/18 Part II「(個人・法人間における)土地の無償返還に関する届出書」の関連論点

  • 小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地等、妻が相続し夫へ賃貸する場合)

【2024年6月15日 Part II】

◆ 連帯保証の民法改正は知らないと対処が難しい論点。家賃督促・退去手続き、物件売却書類は「思い当たるもの」の列挙で対応したい。

  • 極度額が示されていない場合の契約の有効性(2020/4/1施行の連帯保証に関する民法の改正)

  • アパートの家賃滞納者への督促・退去の手続き

  • 収益物件を売却する場合に揃えておくべき書類

【2024年6月16日 Part II】

◆ 土地売却の可否を問う「思考力」系の設問。税制特例は細部の要件(老人ホームに入居した場合)への理解が鍵。

  • 借地契約の中途解約の有効性

  • Aさんが老人ホームに入居後に自宅土地を売却する場合の課税関係(居住用財産の譲渡所得の3,000万円特別控除と長期譲渡所得の軽減税率の特例)

  • 老人ホームに入居したAさんが亡くなった後、相続人である子が売却する場合の課税関係(空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除の特例)

  • 甲土地と乙土地の一体地を売却するかどうかのアドバイス

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