メキシコのコスプレ大会TNTのクオリティが高すぎる!!ので地球の裏側からレポートしてみた
去る3月5日と6日、片道20時間以上かけて、はるばるメキシコシティで開かれたコスプレ大会、TNT GT10を観戦してきました!
「メキシコ?コスプレ?」 と首を傾げられる方もいらっしゃるかもしれませんが、実はメキシコは超がつく程のコスプレ大国。 昨年の世界コスプレサミット2015の優勝国でもあるのです。
現地では、イベント参加の他、運営者の方や、現地でアニメやゲーム等日本のコンテンツのローカライズを行っている方、在メキシコ日本大使館にもお話伺わせて頂きました。そこで得た知見も交えつつ、二回に分けて、メキシコのコスプレ大会の模様と、同国のアニメ事情について、書いてみたいと思います!
TNT GTとは〜What is TNT GT?
今回参加したイベントはExpo TNT GT 10。
メキシコの二大アニメイベントはExpo TNTとJ-Festのふたつ。 双方共に毎年数回行われています。 TNTは開催される月ごとにテーマが決まっていて、各月のテーマと参加者(2015年)は以下のとおりです。
ところで、このTNT、コスプレ大会の名称が「TNT GT 10」となっているのですが、このGTとは一体なんのことなのでしょう?
実はこれ、GT=Grando Tourismo=Great Tourism、つまり「偉大なる旅路」の意味なのです。 では一体何が偉大なる旅路なのか。主催の方によると、これは、このTNT GTのコスプレ大会の優勝者が、日本で行われる世界コスプレサミットへの渡航参加権を手に入れる、ということに由来した名前だとのこと。 日本のコスプレ大会参加にかけるメキシコのアニメファンの方の熱意が伝わってきます。
コスプレ大会の仕組み〜How the cosplay contest works in Mexico
メキシコ国内には、地域ごとに約22のアニメイベント、およびコスプレ大会に向けての予選選考会があります。
こうして各地から集まった二人一組のチームが、5分間のパフォーマンスと衣装のクオリティ、各50%の配点比率でジャッジされ、優勝チームが決定されます。ジャッジのメンバーは、以前のメキシコ大会優勝者のコスプレイヤー、日本大使館、それからロシアとウクライナから招聘された有名コスプレイヤーなどとなっています。 (海外で有名なコスプレイヤーというと、日本人の麗華さんを除き、ほとんどが外国のコスプレイヤーです。 これにはコスプレ文化の違いがおそらく関わっていて、 例えば日本人がTwitterやCosplayers Archiveなど、比較的閉じた媒体で、日本語にて情報発信を行うのに対し、海外レイヤーはfacebokや独自ウェブサイトで、英語で情報発信を行います。 また、日本人のレイヤーは、衣装がシンプルでも好きなキャラクターの衣装を着たり、合わせを行う事を好む事に対し、海外レイヤーはよりクラフトマンシップを重視。ディテールに富んだ衣装の作成に力を注ぎ、また衣装や武器の完成度をお互いに評価する傾向があるようです。)
パフォーマンスは、演技だけでなく、そのストーリー性、舞台装置、演出なども評価の対象です。
「コスプレ大会って、ただ衣装着てポーズ取ったりランウェイ歩いたりするだけでしょ?美人が勝つに決まってんじゃん」
とんでもない。
イメージとしては、日本でも昔人気のあった番組「仮装大賞」のアニメ版とでも言いましょうか。 コスプレの魅力は、元々の外見を、メイク、立ち居振る舞い、衣装、舞台設定、ストーリーによって、完全に別の世界のキャラクターへと作り替え、生み出した世界観を観客と共有するところにある(と私は思っている)のですが、それを如実に体現しているのがこのコスプレ大会とも言えます。
とにかく百聞は一見に如かず。
今回のメキシコTNT GT10の優勝チームのパフォーマンスをご覧下さい!
そして昨年度世界王者に輝いたメキシコのコスプレユニット、Twin Cosplayのパフォーマンスが以下の動画。私昨年これ会場で生で見てましたが、凄かった!
メキシコは壁画が文化遺産として有名なのですが、舞台装置がどこかアステカ・マヤ文明の装飾や壁画を思わせる風なのが、メキシコらしくて面白いと思います。
参加チームのパフォーマンスは、こちらのイベント公式チャンネルから視聴出来ます。 お世辞でも誇張でもなく、全てのチームがチャンピオンとなってもおかしくないクオリティを誇っています。
これは今年の世界コスプレサミット、メキシコ二連覇もあり得るかも!?
観覧席の観客の方も、自分の推しチームを熱狂的に応援したり、パフォーマンスのストーリーに泣いたり笑ったりと、非常に情熱的な方が多かったです。 そんな観客の皆さんの中から素敵レイヤーさんを何人かパチリ。
もうね、コスプレ大会見ていたら、レイヤーの皆さんの愛と情熱に何だか感極まってしまって、目から鼻水、鼻から涙状態でした。 現地のオーガナイザーさんに、「ダイジョウブ?」と聞かれてしまった。
コスプレだけではない!TNTの見所
TNT GTはテーマがコスプレとある通り、WCSに向けたコスプレ大会がメインのアトラクションとなっていますが、他にも、
・Dealers Room(企業ブース)
・K-POPダンスステージ
・Artist Alley
・日本食ブース
などがありました。
なお、現在メキシコではK-POP人気が急速に高まっているらしく、イベントでも、ブースやダンスステージ等で存在感を増していました。 例えば、日本食ブースで売られているカップラーメンとか、お菓子の三割程は、韓国のものでした。
日本ではよくクールJAPAN戦略が語られる際に、「韓国は政府の支援が手厚いためコンテンツの海外展開が進んだ」といった論調が目立つように思いますが、実際にはそれは重要なファクターではなく、 むしろ、韓国のエンタメ企業が海外展開に対して積極的であり、ビジネス契約などもスピーディに締結、ローカライズも上手く行っているというところに強みがあるようです。勿論、コンテンツ自体が海外志向である、ということも大きいです。
K-POP人気はメキシコだけでなく現在全世界的に広まっており、 これまで日本アニメオンリーだったイベントが、徐々に「アジア文化」全体を対象にしたイベントに変わりつつあるようです。
次回はそうしたメキシコにおけるアニメ・コンテンツの現状について、詳しく紹介してみたいと思います。