メキシコの中野ブロードウェイ!?中南米アニメ人気事情
Hola! メキシコからのレポート第2弾!
前回はメキシコで開かれたコスプレ大会についてのレポートをメインに書きましたが、今回はメキシコでのアニメビジネスに関わっている方々への取材やフィールドワークから見えてきた、メキシコのアニメ事情についてお伝えします。
メキシコ版中野ブロードウェイ!? Friki Plaza!
じゃん!
じゃじゃん!!
じゃじゃじゃじゃん!!!
この建物はどこの国のものでしょう?
はい、タイトルでバレバレですね!
メキシコです!
ここはメキシコシティ中心部にある、Friki plazaというビル。なんと地下一階から地上四階までの五階分がぶっ通しで全てアニメとゲームに捧げられた、いわばメキシコの中野ブロードウェイ。
場所はラテンアメリカタワーにもほど近いメキシコシティ中心部のセントラル・ラザロ・カルデナス通り沿い。
私はここに向かう際、例によって道に迷ってしまったのですが、そこらへんにいたピカチュウの被り物してるメキシコ人に尋ねたらすぐに場所を教えてもらえました! (ちなみに、メキシコシティを歩いていると、アニメ関連のTシャツやアクセサリーをした人の多さにびっくりします。日本では推しキャラのストラップをつけた女性達を沢山見ますが、あれと同じ勢いで、アニメのTシャツ着ている人がいるイメージです。)
メキシコの若きアニメファン達は、皆ここに集まって自分のアニメへのあくなき欲求を満たすわけです。
1st Floor: アキバを彷彿とさせる、携帯電話を主にした電気製品売り場!
2nd floor: アニメグッズ売り場!
3rd floor: 遊戯王を初めとしたカードゲーマーのための対戦コーナー!
4nd floor: ゲームセンター!やたら人気の高いダンレボもどき。
4階はフロア丸ごとゲームセンターとして使われています。
フロア中央に大量に配されていたのは、こちら、DDR(Dance Dance Revolution)を彷彿とさせる筐体。
しかしダンレボとは踏む場所が違う、別のゲームです。 これは、Pump-it-Upという韓国発のリズムゲーム。 Wikipediaの記事を参照して頂けると分かるように、DDRの半値以下という価格差を武器に世界各地でシェアを拡大、メキシコ初め中南米ではDDRを駆逐しマーケットを独占しています。
(ちなみにDDRとの類似性について、意匠権の侵害でコナミが訴えを起こし、コナミが勝訴。Pump it Upの制作元であるアンダミロ社が和解金を支払う事で収まったそうです。)
フロアの外周にはずらりとTVスクリーン+ソファが並びます。 プレイ出来るのはアーケードゲームではなく、スマブラなどの家庭用コンソールゲーム。1ゲームごとにお金を払ってプレイします。 料金は時間帯によって異なるらしく、私が行った平日夕方には、1プレイ25ペソ=約150円でした。
写真撮ろうとしたら何故か警備員にNGと言われてしまったのですが、地下一階にもアニメグッズ売り場が広がっていました。
いかがでしたでしょうかFriki Plaza。
現状では海賊版が氾濫してしまっていますが、ここにもし公式製品が参入出来れば、ファンのニーズを上手く収益源に繋げられると思います。
メキシコのメイドカフェ
これはニュースになったりと結構有名なようですが、メキシコシティにはメイドカフェもあります!
自分は残念ながら今回時間がなくて行けなかったのですが、チェキとかゲームでお金とる上、外国特有のチップ文化もしっかりあるため結構高くつくようです……!
中南米では聖闘士星矢など、一昔前の戦闘ものアニメが大人気!
メキシコでは、最近のアニメ作品よりも、犬夜叉や聖闘士星矢、ドラゴンボール等、昔の作品の人気が高いです。
この理由として、現地でのヒアリングから、以下の事情が可能性として浮かび上がってきました。
①現在メキシコ国内のテレビ局ではアニメの放送を行っていない。 以前アニメのコンテンツがPTAで問題になり、放映が禁じられてしまったため。現在人気の作品は、アニメが放送禁止になる前の、スペイン語吹き替えの状態でテレビ放映されていた作品が多い。
②メキシコはスペインのコンキスタドーレスの時代より、数多の国々に侵略され、それに立ち向かった歴史を持っている。 そのため、勧善懲悪的な、敵に対して皆で力を合わせて戦う、といった比較的古いアニメのストーリーが人気が出やすい。
同様の傾向はメキシコ以外のブラジルやペルーでも見られます。 特に聖闘士星矢の南米での人気は眼を見張るものが! こちらの記事でも、南米での聖闘士星矢人気について述べられています。星の名前を冠している点などが、マヤ・アステカ文明の時代まで遡った彼等のルーツに通じる部分があるとか。
アニメ視聴方法:メキシコではNetflixの人気上昇!海賊版パッケージも未だ根強い
メキシコでのアニメ視聴方法としては、まずNetflixでのオンラインストリーミングが多いそうです。 Netflixはアニメ専門メディアではありませんが、上記のように、最近のニッチ番組よりも昔放送された人気タイトルの視聴者が多いため、十分事足りるようです。 他のストリーミングサイトとして、アメリカで人気のCrunchyrollはスペイン語字幕のクオリティが低いことが原因で人気低調、日本発のDAISUKI.netはそもそもスペイン語字幕が少ないためこれまた利用者は少ないとのこと。
一方、ネット回線に繋がっていない人々も多く、ストリーミングではなくパッケージ(安価な海賊版DVD)での視聴も未だに多く、これらのディスクは、一部の人気作品は露店で、他の多くの作品も、上記のfriki plazaなどで売られています。
メキシコの漫画雑誌
単行本は複数の出版社が出しています。書店は勿論、路上のKIOSKのようなところでも沢山売られています。価格は日本と同じか少し高い位なので、現地の人々にとっては高価格製品です。
下は現地のアニメ情報誌。値段は約250円/冊ほど。 中には表紙が明らかに複数のアニメのキャラクターを合成したと分かるものも。 ライセンスはおそらく取っていないと思われます。
アニメ情報誌だけでなく、漫画の描き方について書かれた雑誌もありました。
ファン活動:5000人が参加する超大型オタクマーチ!
メキシコでの有名なアニメファン活動として、Otaku Marchというものが毎年5月に開かれており、約5000人ものオタク達がデモ隊のごとく「オタク最高!」等と叫びながら行進するそうです。
うおおおおおこれは参加してみたい!
※2025/1/11 移行時追記:元々こちらにはマーチの実録動画のリンクを貼っていたのですが、削除されてしまったようで、現在まだこうしたイベントが継続されているとの情報も見つけられませんでした……。
メキシコで同人誌だと思って買ったBL本が公式漫画だった
メキシコは、印刷会社が希少なため同人誌文化は盛んではありません。 しかしイラストを描く人は多く、Tumblrなどにはメキシコのアーティストの二次創作作品等が沢山アップロードされています。
なお、一部の人気アーティストのオリジナル作品はメキシコの出版社によって公式に出版されています。 イベントでも、こんなR18ヤオイ本が売られていました。
これ見かけた私は「同人誌!?」とはしゃいでいたのですが、どうやらLit社という出版社から公式で出版されたオリジナルBLだそうです。
日本での歌い手並の人気を誇るスペイン語圏YouTuber達
そしてまた、メキシコ含むラテンアメリカ圏では、今、アニメを題材としたYouTuberが大人気! 今回自分が参加したイベントTNTでも、複数のYouTuberが、スペインやペルーといったスペイン語圏からゲストとして呼ばれていました。 なんと、犬夜叉の現地声優よりも観客が多く集まったとの事……!
以下の二人が今回のゲストとしても呼ばれた人気YouTuber達。
Bl3sSuR
Richardotaku
特に若年層に人気が高いそうです。
身近な感じがやはり受けるのでしょうか。
さて、これにてメキシコからのアニメレポートは終了です!
膨大なアニメファン層を抱えるメキシコ、これからの更なる公式での展開が望まれます。
読んで下さり有難うございました。