【入社⑥年目】新入社員の育成は責任を持って。
新入社員の育成について思うことがあり、
文字に起こして整理したくなりました。
自分の後輩たち
僕は新卒で入社して、この4月に6年目を迎える若手後期の人間ですが、
自分自身は周りを見ながらある程度勝手に育つ方だったため、
結構適当に放置されながらもなんとか生き残りました。
でも、自分より下の後輩が4人いたのですが、1人が退職(転職)、
残る3人も1人が強めの黄色信号です。
他にやりたいことがあって、縁のある先が見つかるなら、
無理に今の会社に残れというつもりはありません。
ただ、意気揚々と最初に乗り込んだ会社で、有意義な学びを得られず、
逃げるように去っていってしまうのは、一緒に働きたいと思ってくれた
後輩らに対して何とも言えない気持ちになります。
そんな気持ちから、後輩が1人やめた時に、その子を全然フォロー
してあげられなかった後悔もあり、今は海外赴任中ですが、
後輩らとチャットや電話をしながら雑談したり、吐き出させたり、
真面目に相談に乗ったりと、とにかく若手が少ない部署なので、
話を聞くことに少し時間を使うようになりました。
なぜ?に答えられない思考停止の大人たち
もうすぐ1年目が満了する一番下の後輩は、僕と似ていて
「なぜ?なぜ?」と納得するまで詰めたいタイプに見えます。
そして説明や根拠が論理的でないと、それに対しても「なぜ?」が
湧いてきます。別におかしなことではないですが、会社の中には
「昔からそうだったから」とか「そういうもんだから」とか、
「それが普通だろ」みたいな、先輩も説明ができない謎事象があります。
僕も「なぜなぜ攻撃」をしてきたタチなので、意味不明な説明で
逃げられたときの苛立ちたるや、痛いほどわかります。
なので、僕は自分が人に説明できるまで追求して、聞かれたことは
必ず説明しきれるようにしています。説明がつかないことは、
詰まるところやめたっていいはずです。稟議書のカタカタは全部半角に
しないといけないとか、必ず事前に○○部の確認を取れとか、
フローとして存在する意味や目的がないものは、無駄です。
無駄なものはやめればいいです。無駄なことに関わっている作業コストを
考えれば、1つのことを追求する僕の労務コストはPayすると思います。
伝え方より伝わり方
「なんで?なんで?」と何かにつけ質問してくる後輩くんが
どうやら部内で腫れ物扱いされてますが、それはおかしいと思います。
その後輩は彼の上長に言わせると、
「何度同じことを言っても言うことを聞かない、理解しない、実行しない」らしいですが、「何度同じことを言っても」がすごく引っかかります。
つまり、(りんごを見ながら)
後輩「これはなんですか?」
上長「普通にりんごでしょ」
後輩「りんごってなんですか?」
上長「りんご」
後輩「すみません、そのりんごがわからないのですが、何でしょうか?」
上長「赤いやつ、赤い、りんご」
上長「りんご!わからない?!赤くて丸い、りんご!!常識だろ!」
後輩は「りんご」そのものを知らないのに対し、
上長は「どんな」りんごかを半ギレで説明してます。
半ギレなのはコミュニケーションが成立していない苛立ちからです。
もし相手がりんごを本当に知らないのだとしたら、
「広く食べられている果実の一種で、一般的に赤くて丸くて甘い」とか
後輩くんはロジカルな思考タイプなので、
「バラ科リンゴ属の落葉高木で、一般的にはその甘くて赤い果実を指す」
とか、そういう説明を彼は求めているわけです。
こういう上司に限って放つ一言は決まってこうです。
「何度も説明したし、何回も言ったのに、こいつが理解しない。」
ポイントは、上司は説明したわけではないというところです。
正しく言い直すと、
「何度も伝えたし、何回も伝えたけど、伝わらなかった。」です。
上長がどれだけ丁寧にりんごの見た目を形容して丁寧に伝えたとしても、
りんごを知らず、そもそも定義として分類から教えて欲しい人間からすると
何も伝わっていないことになります。指示したのにやらなかった、という場合でも、指示の意味や背景が不明だと実際に行動に移せないものもあります。資料をホッチキスで留めとけ、これは理由がわからなくてもできますが、難易度が上がるとそうはいかないことがあるということも忘れてはいけないです。(難易度も上司から見るのと後輩から見るのでは全く違います。)
もちろん、後輩も質問の仕方を変える努力は必要です。
「見た目に加えて、分類も教えてもらえますか」などです。
「りんごはりんご」と教えられてきた時代の人もいるでしょうから、
上長を責め立てるのも悪い気がしますが、我々最近の新卒からすると
知らないことだらけなのに、あたかも「普通、常識」、知ってて当然の様な前提で接してこられることほど困るものはありません。
新卒はタダじゃない
勘違いしている大人はいないと思いますが、
意識できていない人は多い気がします。
中途採用って聞くと、なんとなくコストかかってる感じしますよね。
当然給料もいいはずで、特別手当かなんかつけて他社から引き抜いてる
場合もあります。
つまり、優秀な人間ほど市場価値が高いので、コストもかかります。
一方で、新卒はどうでしょうか。現状は大卒でも20万程度の手取り月給で「優秀になりうる」人材を確保できちゃうので、割安に感じます。
但し、採用活動にかかるコストだけではなく、育てるコストもかかります。
それは先輩社員の時間を使って教えないといけないという時間的コスト、
給料は払ってるけどまだ成果に直結しない時期もあるという金銭的コスト。
当然本人のセンスも影響はしてきますが、時間的コストを惜しんだり、
新卒社員に半ギレしてるようではコスト見通しが甘かったと言わざるを得ません。そんなことなら最初から中途採用をすればいい。
なんで新卒を雇うのか?
ではそもそも、なぜ新卒を雇うのでしょうか。
スペシャリストとして即戦力になることを期待されている中途採用とは異なり、新卒の採用理由は以下が挙げられるようだ。
自分の会社の人事にも聞いてみたいと思うが、要するに企業文化を継承し、ジェネラリストとして次世代を担う経営幹部を育成するとともに、いわゆる「新しい風」を組織にもたらし企業価値向上を目指すため、といった感じ。
この場合、以下のことはとても重要なように思います。
①「伝える」側が伝える努力、伝わる努力をしないといけない。
②同時に、聴く側には、誠意を持って学び、汲み取る努力も必要。
③「企業文化」を履き違えてはいけない。悪しき文化は絶つべき。
④常に常識と前提を疑うべき。相手を自分のものさしで図らない。
①②は互いにリスペクトし合いながら進めていく必要があり、
文字通りの意味。
③は反面教師を盲信するタイプの人がいるので念のため。
上司に楯突いたらキングファイルで殴られたから、自分の部下にも
そうするタイプは、論外。(今どき希少種ですが。)
④相手がどこまでわかっているのか、わかっていないのか、
常に丁寧に確認し、細かな機微を見逃さない事が大事。
これが面倒だと思うなら新卒は取るべきじゃない。
じゃあ辞めればいいじゃん
そう思うならその組織はそれまでです。
継承したい気持ちなんてそんなもんです。
振り向いてくれた人にだけ継いで欲しい。
甘々の激甘です。自分たちの魅力を相手に伝えて、
振り向かせて、もっと知りたい、そう思わせる気概がなければ、
遅かれ早かれ店じまいでしょう。人材流出が取り沙汰されますが、
結局は自分たちが撒いた種です。どんまいって感じです。
違います。まだ働いてくれてるんです。
まだ一緒にやってくれてるんです。
一緒にいる間に何とかするんです。
自分と違うライン、自分と違う課、部、本部にいる相手の面倒は
見なくていい、むしろ見るなという上司がいますが、
上司の立場を考慮してもおかしいです。
次世代を担う人材は組織で育てるものです。
もちろんそのコミットの度合は同じ組織の人たちのほうが多いでしょう。
でも、そのコミットが不十分な場合、たとえ外野でも手を差し伸べるべき。
僕はそう思います。
立場が上の人ならば、なおさら会社全体の将来を見据えて率先して
育成に乗り出すべき。立場上とか、保身でしかないです。
育成が面倒なら、個人事業でもやればいい。
育ててもらってここまで来たなら、それ以上の後続を育成すべき。
あなた達はもうそのステージに居るでしょう。
まもなく入ってくる新卒の彼らを、責任を持って育ててください。
自戒の念も込めて整理しました。