サカナクションを釣る 一匹目
好きな音楽
僕は音楽を聴くことが好きです。音楽鑑賞といえるほど大層なものではないですが。最近は一日一曲以上新しい曲を聴くことを心がけています。そうしないと耳が錆びついて既知のものしか愛せなくなってしまいそうですので、毎日潤滑油で耳を錆びないようにしております。
好きな曲はたくさんあるのですが、アーティストで一番好きなのは『サカナクション』です。父親が聞いていたのもあって幼いころから知っていたのですが2018年にリリースされたベストアルバム「魚図鑑」を皮切りにさらによりサカナクションを知り、より好きになりました。最近はアニメ「チ。」の主題歌なんかも担当していますね。(主題歌のフルバージョンは未完成なようです。聴き始めるなら最高のタイミングですよ。)
サカナクションを好きな理由はたくさんあるのですがやっぱり一つ上げられるのは内省的で詩的な歌詞だと思います。
僕が紹介したい曲は何個もあって挙げきれないのですがちょっとだけ紹介したいと思います。
1.『GO TO THE FUTURE』
アルバム「GO TO THE FUTURE」の曲の一つです。メジャーデビュー前にリリースされた曲ですが歌詞が一番好きな曲です。ティーンエイジャーを感じさせる哀愁的な歌詞と続く旅を感じさせるようなメロディーが特徴的な曲です。(※未来へ進む、という意味が込められた曲なのでこれを歌い続けることは未来に進んだことにはならないのではないか、ということでどうやらライブではもう歌うことはないそうです。残念ですが、かっこいいですね。)
『心の最先端 待ち焦がれていた涙は タバコの煙のせいだった 霧のような未来への動き』
という歌詞から曲が始まります。あまりにもかっこよすぎますね。「心の最先端」というフレーズは後にも先にないものだと思います。「待ち焦がれていた涙はタバコの煙のせいだった」というのも何度も待っていた感動は誰かに作られたり、自分で作りだしていたものだったり、はたまた安っぽくて何だかやるせない。そんな気持ちが込められているのでは無いかと、学生ながらに思いました。霧と煙という不確定性が高く前を遮るようなものが並べられているのも良いですね。また、
『そう僕は迷う 服を引っ張ったりして 君を呼び止めたのは 疲れた日々の気まぐれだった』
という歌詞は音楽やほかの人と違うことをやり続けるということへの不安を的確に表していると思います。「時には全部終わらせようと思うときもあるけれど、それは振り子みたいに揺れる気持ちの中でそうなっただけなのかも。」
何かに挑戦する人にはとても響く歌詞ですね。
『やはり僕は動く 動く 指さす先に君 淋しいけど
なのに行くしかないのさ 通り過ぎる対向車と目が合った』
これで曲が締めくくられます。『散々迷った末、それでもやはり、進むことを決意した。でも淋しいこともあったり、誰かとすれ違うたびに焦りや不安を持ったりもする。』こんな風に感じられますね。かっこいい。
言葉では伝わらないこともあると思うのでぜひ聞いてみてください。
2.『ネプトゥーヌス』
サカナクションの6枚目のシングル『僕と花』とアルバム『懐かしい月は新しい月 〜Coupling & Remix works〜』に収録されている曲です。
この曲はファンの中でも人気曲でマイナーの中のメジャーといった印象があります。
「僕と花」はドラマの主題歌でもあり、サカナクションが勢いづいていた時期だったのですが、このネプトゥーヌスという曲はスローテンポで冷たさを感じるようなものです。
『あと少しだけ 僕は眠らずに
床を深い海だとして 泳いだ 泳いだ』
ネプトゥーヌスは「海の神」のことだそうです。そのため、この曲も海を舞台、というか海を妄想しているような曲です。
床を泳ぐ、ということは実際できませんので、「眠らずに、部屋が海だとしたらどんなに良いだろう。」と思いを馳せているのが感じられますね。深い海、というのも周りが暗い夜だということもあるでしょうが、己の心の暗さや「暗い場所や人が好きだ!」ということを表しているような感じがしますね。
『痛いのは まだ まだ 慣れてないからかな
僕は砂 深く 深く 埋もれてしまったんだ』
サビです。痛いのはまだ慣れてない。この歌詞すごくいいですよね。痛みや苦しみを感じるのはまだこの環境に慣れてないからだ、慣れればきっと痛みも感じないだろう、希望的観測のようにも聞こえます。また「痛い」を「居たい」に変えても面白いかもしれません。この暗い海に居たいのはまだ周りになれてないからかな。そんな思いが感じ取れそうです。(別の曲「ナイロンの糸にも『この海に居たい』という歌詞があるので海に居るというのはサカナクションの作詞担当である山口さんの一つのお気に入りフレーズなのかもしれません。少し前のライブではこの二曲が続いて演奏されました。)
僕は砂。先ほどは海を泳いでいたのに次は深く埋もれてしまっています。
これの前に「潜り込んだ布団の砂でほら 明日を見ないようにしていた」という歌詞があるのですが僕は砂というのは海の底にあるような状態と、自身が布団の砂のようになって何も見ない、感じないようにしているということを表しているんじゃないかなと思いました。
『あと少しで 僕は眠るだろう 部屋に滑り込んできた光が
まるで何かを言うようだ』
美しい表現です。部屋に光が滑り込む。日常で使ってやりたいです。
まるで何かを言う、とはどんなことを言ったのでしょうか。
暗い場所が好きな人ですから光は対を為していますし、悪い言葉でしょうか。それとも暗闇に刺す一筋の希望のような明るい言葉でしょうか。これはもう聞き手の想像によると思います。ただ、この後の歌詞で「痛みにまだまだ 慣れてない僕だから今は 明日の砂 深く深く埋もれて眠るんだ」という歌詞が有ります。「明日の砂」。これは難しいですが、布団の砂というものと似ているような気がします。でも、これは深く埋もれて眠る、と言っていますね。やっぱりこれは安心があるからだと思います。不安感があると眠れないときって多いですから。だから明日の砂は何かを内包するような温かいものなんじゃないかと思います。痛みに慣れていないから明日に希望を込めて眠るとか、明日という未確定なものに身をゆだねてみる、とか。だから滑り込む光、というのも明るい言葉を言ったんじゃないかな、と思います。
もしかしたら滑り込む光、とはこの曲のこと自体を言ってるのかもしれません。これはまだまだ考えられる空白がありそうですね。
最後に「僕は砂 僕は砂」と言って終わります。
「砂」という単語が沢山出てきますがこれは何を指してるんでしょうか。深い海のさらに底のことで、最も暗い場所のコトなのか、それとも何かを内包する温かいもののことなのか、それとも「一粒一粒はとても小さいから自分もそんな存在だ。」ということを言いたいのでしょうか。色々意味はあると思いますが全部正解な気がします。
それに、そんなことを考えながら眠れるのはとっても幸せですよね。不安とか恐怖とかを考えるんじゃなくてちょっとした歌詞の意味とかを考えなら眠れたらいいですよね。
好きな音楽について語るつもりがただサカナクションを語る記事になっちゃいました。あと、これを書いてる途中にサカナクションのライブのチケット(SS指定席っていう一番いい席)が当たってました。やったね! 終わり
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