ハクキンカイロは火口をしばき倒せ
※画像を用意しようと思ったが、間に合わなかったので、本記事はテキストのみです。
想像力を駆使して読んでください。
まえふり
寒い季節である。
通勤、アクテビティなど、野外で活動する際に、熱源があると快適である。
昨今は、モバイルバッテリーの進化に伴い、電熱ウェアの類を着用する人も多いかと思う。
確かにあれは便利で、特に発熱部が広範囲のものは、全身くまなく暖めてくれると言っても過言ではない。
だがしかし、やはりネックになるのもまたモバイルバッテリーだと思う。
軽さを求めれば稼働時間は短くなり、長時間使用を求めると、肩腰が凝る程重くなる。
その点、ホッカイロやハクキンカイロというのは優秀である。
軽量で、かつ長時間、熱源として利用できる。
もちろん、電熱ウェアに比べると、暖められる範囲というのは限られている。
しかし、太い血管や、皮膚の薄い所を暖めれば(低温火傷に注意)、その効果は全身に及ぶし、熱を反射してくれる、アルミでシャカシャカする服の類を着れば十分に屋外で活動するための熱源として役割を果たしてくれる。
通勤で毎日往復20kmのチャリ通にハクキンカイロで耐えている私が断言する。
とはいえである。
ハクキンカイロが何であるか、どう使うのか、に関するweb記事は世の中に溢れている。
今更そんなものを私が書いてどうなる。
そこで、今日は、ハクキンカイロを実際に使用している人間ならではのコツ的なものを開陳してみようと思う。
ただし、これはメーカーが推奨しているわけでもなく、何の保証も無い方法なので、試す際には自己責任で宜しく頼む。
香り
実はこれについては、気になる人が気にして検索すると、ちゃんと記事がある。
が、これは本題の前フリなので、ふーん、知ってる知ってる、と思いながら読み進めて欲しい。
ハクキンカイロは、気化したベンジンが白金を触媒とした酸化反応により熱が発生するわけだけれど、実はこの時、独特なニオイが発生する。
正直、あまり良いニオイではない。
せっかく買ったのに、このニオイのせいで使うのを止めてしまう人もいるのではないだろうか。
そこで試して頂きたいのがアロマオイルである。
その昔、読んだweb記事には、ベンジンを綿に含ませる前に、綿に直接、2,3滴染みこませよ、と書いてあった。
しかし、最近私が実践しているやり方は、ハクキンカイロに装着するベンジンを量り入れるための計量カップに入れる方法である。
ハクキンカイロに計量カップを装着(カップは閉の位置)
アロマオイルを2, 3滴垂らす
続いてベンジンを注ぐ
カップを開の位置に回して混合液を全て注入する
こうすると、ベンジンが酸化されて出てくる一酸化二水素は、微かにアロマの香りがするようになる。
ぶっちゃけ、ベンジンのみの時のニオイが完全に消えるかというと、そんなことは無いのだが、より強いアロマの香りで7割8割くらい上書きされた感じの匂いになるので、せっかく買ったんだし、使わないのはもったいないよな、と思っている方は、最後まで読んでから試してみて欲しい。
香りの弊害の解除方法
ハクキンカイロ使い始めのかなり早期の段階でアロマオイルを使うやり方に移行したので、実際のところ「香りの弊害」などというものがあるかどうかは、私の主観によるものである。
ハクキンカイロの使い方に関するweb記事などを読んでもらうとわかるが、カイロにベンジンを注いだ後は、火口をライターの火で(遠巻きに)ほんの数秒焙るだけで、カイロは発熱を始める、と書いてある。
ところが、私の経験に基づくところ、アロマオイルを(毎日毎回の様に)使用した場合、ガストーチで30秒焙ったところで酸化反応が始まらない。
恐らくその原因は、アロマオイルである。
火口を外して裏を見ると、黄色い物質が全面に付着しているのだ。
ハクキンカイロの発熱反応において、未燃焼の炭化水素は、通常ならば、ほとんど発生せず、ベンジンの大半は水と二酸化炭素になるという。
となれば、この黄色い物質は、アロマオイル(の残り)であろう。
たぶんこれが熱伝導を妨げ、酸化反応の開始を遅らせているに違いない。
そう思って、アルコールを含ませた綿棒でこすってみたが、落ちない。
部品が小さいためにあまり力を込められず、上手く清掃できていないのかもしれないが、とにかく落ちない。
だったら加熱してやるぜ、と火口をラジオペンチで保持し、ガストーチでふぁいやー。
火口の中の触媒を直接火で焙ってはいけない(のは普通の使い方と同じな)ので、金属部分を焙る。
この時、脇に空いた耳のような小さい穴から炎が入ってしまわないように注意が必要だ。
するとどうだろうか、ほんの10秒も加熱しないうちに、黄色い物質から白い煙がみるみる上がるではないか。
※室内で行う場合は、煙報知器が動作しないよう、注意が必要だろう。
煙が出なくなったところで再び火口の裏を確認すると、黄色かった物はほぼ消失していた。
ただ、一部は黒色化したようである。
綿棒でこすってみたが、これも落ちない。
ところで、不思議なのだが、この黄色い物質が付着した状態でハクキンカイロを使用しようとガストーチで30秒以上焙っても酸化反応が始まらなかったことは上述したが、取り外した火口のみ焙った場合、冷たい状態から10秒程度加熱した時点で煙が出始めた。
同じ火口を焙るにしても、本体に装着した状態と取り外した単体とでは、加熱した場合の経過に差分が生じるらしい。
もちろん、本体に装着している場合は、熱の周りが、火口のみを熱した場合に比べ、遅くなるのは理解できる。
しかし、本体に装着した場合も取り外した場合も、どちらも熱しているのは火口の金属である。熱が分散するからと言って、火口の金属の温度はそう変わらないように思える。
閑話休題、これで問題が解決したのかどうか、確認する必要がある。
火口を本体にセットして、いざ直火焙り!と思ったのだが、ふと気になって蓋を火口の切れ目に当てる、酸化反応が発生しているかどうかを確認する方法を実施してみると……。
曇るではないか!
これは水蒸気が出ている=酸化反応が開始していることを確認するためのメーカーご推奨の確認方法なのだが、火口単体を焙った後に本体に装着しただけで、酸化反応が始まっている!
いや、論理的帰結として何も驚くことなど無いだろうと思われるかもしれないが。
いちユーザーとしては目から鱗というか。
とにかくこれで、アロマオイルを使用する場合のハクキンカイロの使い方が決定したのである。
閉の位置の計量カップを本体に装着する。
アロマオイルを2, 3滴計量カップに垂らす。
ベンジンを使用量、計量カップに注ぐ。
計量カップを閉から開にする。
全ての液体が本体に入ったら計量カップを閉にして本体から取り外す。
本体を逆さにして真ん中を押し、余計なベンジンが無いか確認する。
ペンチで火口を保持し、白煙が出なくなるまで火口を加熱する。
火口を本体にセットし、蓋を使って酸化反応が開始されているか確認する。
手順8で酸化反応が始まっていなければ、改めて火口を加熱する。
本日は以上、お開き。