いま、スーパーマーケットのBGM界隈がアツいらしい(西友など)
どうも。隣の芝生です。今回は普段の連載記事などとは毛色の異なる箸休め企画です。題して…
■いま、スーパーのBGM界隈がアツいらしい
一昔前ならタモリ倶楽部で扱ってそうなニッチなネタにはなりますが、スーパーマーケットや日用品店で常に掛かっている曲ってありますよね。だいたいこの店はいつもこの曲流してるなぁ…とか、そういうのです。
こういったBGMは何気なく聞き流してしまいがちですが、注意して耳を傾けていると、なかなか(私にとっては)興味深いジャンルのように思えます。ニコニコ動画とかだと、「店内放送」のタグに集約されてゾロゾロと、店内BGMがヒットしたりと、一定数この界隈の趣味人がいるようです。幅広い世代の多くの人に聞かれているという意味で、ある意味で流行りのJ-POPよりも、メジャーかも知れません。
しかし、そんな認知度が高い店内BGMの中にも、作者や曲名の情報がほぼ皆無(あるいは伝聞情報)の物や、屋号の消滅や音源の劣化、新曲の登場などによって、現在では流されなくなってしまった物が、数多く存在しています。広く名曲として認知はされているのに、この広大なネットの海を必死に捜索してもなお、情報が手に入らない。元音源で聞くことができない。なんともったいないことか。
■ここ数年で加速度的に発掘作業が進行
しかし、2020年代になってこの流れが一変します。スマホの普及によって中高年以上も多くネットに触れるようになり、企業もネットを通じて広報活動を積極的に行うようになりました。これを受けて、店内放送界隈のオールドファン、あるいは企業公式が、続々と手持ちの貴重資料を惜しみなくアップロードし始めました。
投稿者が個人の場合は、店内オリジナル音楽の権利を果たして持っているのか…という点に疑問が残りますが、とりあえず、市場流通していない上に店内でも聞けなくなった"幻の曲"が、ある日突然「いつでも聞ける」状態になる事例が急増しました。
また、音楽配信サービスにも新しい波が到来しました。それは、広告さえ見れば、全世界の曲が無料で聴き放題というスタイルのものが浸透したことです。これによって、曲の確認作業が容易になりました。作者はある程度察しが付いているものの、曲名や収録CDが不明の物、あるいは絶版(かつ中古流通がない)のCDに収録されているであろう曲は、絶版になった中古品を血眼になって探さなくても、全てここでローラーすれば良いわけですから。
この2つの流れを受けて、最近小売界隈で発掘された曲をいくつかピックアップしてご紹介したいと思います。
1.いっぱいイズミヤ(推定公式タイトル)
こちらは、関西圏を中心に中・大型スーパーを展開しているイズミヤの店内で掛かっていた曲です。つい3年くらい前までは、一般の方がニコ動に、記憶だけを頼りにギターソロや初音ミクで再現した動画が数点転がっているのみでした。当時の一般の方による再現動画の推定タイトルは、「買いに来た甲斐があった」でした。
曲の存在自体は小売りオタクに広く認知されており、おおよその構成は、ニコ動の再現で理解していたものの、原盤は既に店舗では聞けず(流しているとこあったら教えて下さい)、現在では人々の記憶にのみ留まる"幻の曲"とされておりました。
アップロード者が動画に付記している情報によると、内部の人間経由で音源を手に入れたというもの。つまり前者のパターンで、誰でも聞ける状態に持ち込まれたわけです。タイトルはこれまでの定説とな異なり、「いっぱいイズミヤ」であることが判明し、現在に至ります。ただこれも、伝聞情報であることには変わりないので、公式の見解を待ちたいところです。問い合わせる気はないので、何かの弾みに出ればいいな。
2.ギター弾きの休暇(西友エスカレーター)
こちらは、先日私がようやく自力で発掘したのでお知らせ致します。発見した時は「ようやく曲名が分かった…」と達成感を覚えたものです。ようやく探し当てました。Twitterで検索したところ、公開アカウントベースで私よりも先に2人ほど、気付いた方がいらっしゃったようです。
エスカレーターの注意喚起放送の裏で流れている名曲中の名曲で、現在でも2フロア以上西友が出店している建物では現役で使用されています。店舗数が限られていて、まだ訪問できていないLIVINでも流れるとの情報も。
私が把握してる限りで、最低でも15年くらいは曲が変更されていないので、かなり息の長い活躍。非常に綺麗な曲調が特徴的で、放送と一緒に流しても両者ともに聞き取りやすいのが特徴。
こちらについては、曲名や作者が長らく不明だったため、Youtube上に西友に直接問い合わせた方もいらっしゃったほど。その際にアップロード者は、「エスカレータ放送の音源データを貰った」と記しており、コメント欄には「原曲は石原眞治氏の「風と吟遊詩人」ではないか」と指摘されている方も何人かおりました。
私も2000年代後半か10年代頭あたりから、何回か曲の発掘に挑戦しておりました。ここまで情報が揃っていれば、どっかしらに音源が入ったCDや、動画サイトでの実装がされているだろうと普通は考えますが、そう上手くは行きません。このコメント欄で指摘されていた「風と吟遊詩人」が収録されていたのは、調査した限り00年発売のアルバムが唯一かつ最後であり、既に絶版。中古で流通した形跡も片手で数える限りです。それもプレミア付き。入手して確認するのは困難です。
また、仮にプレ値で手に入れたとて噂レベルのものであるため、実際の曲名と違っていた場合は、また調査活動は振り出しに戻ることになります。そうであるならば、作曲者として確定情報に近い石原眞治氏の曲を、公式の音楽サービスで総当たりするのが手っ取り早いことになりますよね。しかし、何度挑戦しても当該には辿り着けず。22年10月の公式音源による動画アップロードを経て、今回ようやく発掘に成功しました。
それにしてもこの動画を見るまで、「風と吟遊詩人」が正式タイトルだと思っていたのですが、令和の世の2022年になって、急に作曲者さん側が公式音源をリリースしたのが驚きでした。それもタイトルは「ギター弾きの休暇」と定説を覆す内容。果たして作成当初からこのタイトルで、2022年までCD発売や配信を一切していない秘蔵曲だったのか、元の定説通り「風と吟遊詩人」として販売していて、改題された上でリリースされたのか。真相はまだわかりません。
ただ、今回こうして発掘されて、現時点での正式なタイトルや、店内放送が被っていない良質な音源があると分かっただけでも、十分な成果です。以上、小売オタクの現場からの報告でした。
■まだまだ詳細が分かってない曲は存在する
徐々に全容が把握されつつある小売BGM界隈ですが、まだまだ未判明や音源の確認ができていない曲もいくつか存在します。
パッと思い出せるだけでも、マルエツの「(俗称)オーマイドクター元気」がフル尺で確認できてない(発売実績はあるらしい)ですし、古く遡れば80年代のダイエーのテーマソングも、いまから調べようと思うと詳細が出てきません。後者は、私が一部分だけ聞いた限り、おそらく歌唱はサーカスと推定。その他、上記の詳細をご存知の方や、音源お持ちの方、または「この店のこの曲が未だにわからない」などございましたらコメ欄にどうぞ。
(本編終了)
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