メンバーシップ執筆者紹介 #3 藤本透

略歴
心理学研究(博士課程単位取得退学)の後、シナリオライターとして2013年デビュー。アプリゲーム『ラブライブ! スクールアイドルフェスティバル』、小説『花咲くいろは~いつか咲く場所~』『true tears 小説版』など、ゲームシナリオ、ライトノベル、アニメノベライズ、漫画原作、YouTube漫画動画シナリオなど幅広く手がける。

シナリオライターの藤本透と申します。私は、石川県輪島市町野町出身で、2歳から18歳までを町野町で過ごし、上京後も地域の祭りなどに密接に関わってきました。

私は、2007年の能登半島地震で、実家の半分を失いました。地震が起きたのは、奇しくも私自身の大学院修士課程の卒業式の日でした。その後、災害枠での奨学金を受けて博士課程へと進み、GWに倒壊を免れた実家を片付けに戻り、年末も半分になってしまった実家で年越しをしました。
玄関に冷蔵庫、廊下に簡易的なキッチンを作り、お風呂は中庭にという状態でしたが、真冬はさすがに寒く、近隣の宿泊施設のお世話になりました。

こんなことはもうたくさんだと思っていたのに、2024年1月に、令和6年能登半島地震が起きました。緊急地震速報とともに、映し出されたライブカメラの映像は、忘れることができません。
直前の地震で家族と安否確認は取れていましたが、その後は深夜まで連絡が取れない状態が続きました。
SNSでは同じように情報を求める人の声で溢れており、なんとかしたいという思いだけが募りました。そんななかで、私の背中を押してくれたのは、「花咲くいろは」の松前緒花ちゃんでした。7年後の「いま」を描く続編小説を担当した私は、「こんなとき、緒花ちゃんならどうするだろう」と考えました。考えた時点でもう答えは出ていたように思います。「やるしかない」と。

何事にも真っ直ぐに、自分がやるべきことに向かっていく緒花ちゃんに背中を押され、私は、能登半島地震発災直後から、現地の方の協力を得て、安否確認や情報の発信を行い、日々、情報発信や、各種相談ごとへの問い合わせ、炊き出し・物資支援の調整等、遠隔地にいても出来ることを実施し続けております。

現地には一度も行けていませんが、遠くからでも出来る支援があるということを改めて感じております。能登半島地震をきっかけにはじめたこれらの取り組みは、「情報ボランティア」という新たなボランティアのかたちなのかもしれません。

SNSで発信した能登の情報で、たくさんの反響を受けたもののひとつに、「他県から支援に入られた方向け:能登の方言」があります。


能登地方のたくさんの方のお力を借りて、このまとめを作ることができました。方言は、その土地の人にとって、人と人の心を繋ぐ大切なものなのです。

能登半島復興支援メンバーシップ「つなぐSupport NOTO note」では、地元町野町に関わる物語を紡いでいく予定です。語り部は、「物」――地域で長く受け継がれてきた物たちを通じて、能登の文化や風習などに触れていただければと思います。

能登に息づく文化や風習は、私たち地元の人間にとっては当たり前のように受け継いできたものです。物語編と解説編の二編を通じ、私自身、その当たり前を書き綴ることで、私たちの生活のあり方、能登での暮らしなどを改めて振り返ってまいります。

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