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被災地支援のメンバーシップでなにを目指していくのか①

能登半島復興支援メンバーシップ「つなぐSupport NOTO note」始動を、第12回湯涌ぼんぼり祭りの会場で発表しました。会場で掲示したポスターには多くの方に反応いただけ、さっそくnoteアカウントのフォロー、記事への反応を寄せていただけました。皆様ありがとうございます。

実は「つなぐSupport NOTO note」という、ちょっとシャレのようなネーミングを不謹慎だと怒られないか心配しておりましたが、髙田友美さんに描いていただいたイラストの愛らしさとキャッチーさに助けられた思いです。能登半島地震や奥能登豪雨という大災害に見舞われた被災地をサポートしていくとき、そこで起こる様々な課題や問題にきっちり向き合う真摯さは必要だと思います。同時に、「創作活動で被災地を支援し続ける」という大きなテーマを掲げているメンバーシップなので、軽やかさというか、肩肘張りすぎないことも重要かなと思っています。そんな思いを込めたネーミングです。

湯涌ぼんぼり祭り会場で掲示したポスター、実は右下の日付が「2024年1月始動」と思いっきり間違っております(来場者の方にご指摘いただきました、ありがとうございました)。
日付の部分を修正して、PARUSで運営する「カフェトリアン」店内に飾っています。

「メンバーシップ」というものを初めて運営するので、先月からメンバーシップを始められた上田聡子さんに教えを請いながら準備を進めています。上田さんは開始2週間ですでに5回も更新されていて、内容もボリューミー。読んだ本の感想やそこから得られた気づき、日々のことなどを綴っておられます。すごいですね・・・無料で読める範囲をどこまでにするか、更新頻度をどうするかなど、メンバーシップを運営していくには本を作るのとは別のノウハウが必要だと感じています。上田さんは10年以上noteを続けておられる大先輩、いろいろとありがとうございます。

日頃、書籍の「はじめに」や、プロジェクトの「企画趣旨」なんかを書くことが多いので、文章が堅苦しくなりがちです。他方で、「これは何なのか」「何のためにやるのか」などを丁寧に説明するのは場数を踏ませてもらっているので得意です。ということで、このメンバーシップで何を目指していくかを、何回かに分けて考えていきたいと思います。

今回のメンバーシップは、ピーエーワークス堀川社長から「能登半島地震の復旧・復興には長い時間が必要、能登半島をテーマにした創作活動でサポートすることはできないだろうか」という提起を受けてスタートしました。創作活動でサポート、と最初に聞いたときは、正直ピンときませんでした。とりあえず検討してみようと企画メモにまとめたものの、「続けやすいようにWeb上で有料提供できるサービスにしよう」と「震災の被災地にゆかりの方に創作を発表してもらおう」以外は、まだ浮かんできませんでした。

震災以降、石川県が舞台モデルとなったアニメ『花咲くいろは』チャリティグッズの開発・販売などに奔走していましたが、私自身が何に突き動かされて行動していたのか振り返りました。そうすると、2014年3月に穴水で開催された「真名井のあかり〜ライトダウン・キャンドルナイトin穴水〜」というイベントに辿り着きました。前回も少し紹介しましたが、劇場版アニメ『花咲くいろは HOME SWEET HOME』が公開された2013年に、同作とコラボした「花いろ旅あるき」という位置情報を利用したスマートフォンアプリがリリースされました(現在は終了)。アプリを運営されていたのと鉄道さんの本社がある穴水町をアプリの来訪ポイントにすることになり、そこから話がふくらみ、「穴水でアニメを絡めたイベントが開催できないか」となり、当時南砺市の印刷会社でピーエーワークスさんの印刷物などを担当していた私がお手伝いすることになりました。

のと鉄道さんでは『花咲くいろは』ラッピング列車が運行され、好評を博していました。

しかしここで一つ課題が持ち上がりました。穴水はアニメ『花咲くいろは』に舞台モデルとして登場した場所ではなかったのです。作品と絡めたイベントを開催する理由を考えるのは大変で、企画は難航していました。そんなとき、のと鉄道から毎年8月に穴水の中心部で開催されているイベント「カフェ・ローエル」を紹介していただきました。街中を流れる真名井川沿いに手製のキャンドルを並べ、夕方からは町民お手製の屋台や、ステージなどが開催されるイベントで、2005年の開始以降、多くの町の人たちに親しまれていました。2007年に町を襲った能登半島地震以降は、被災した町民を励ますための機会にもなってきました。そのノウハウを活用できないかとなり、2024年3月に行われたのが「真名井のあかり〜ライトダウン・キャンドルナイトin穴水〜」です。

真名井川を背景にした『花咲くいろは』のイラストを描いていただきました。

キャンドルは風で消えないよう、ワンカップの空き瓶に入れて並べられます。その空き瓶を用意しキャンドルをセットするところも、現地のみなさんが段取ってくださいました。イベント当日は季節外れの寒波に見舞われ、みぞれが降る中での開催となりました。私も物販テントや販売物のチェック、「真名井のあかり」が描かれた大きな行灯の設置のために穴水に張り付いていました。キャンドル点灯のために市街地の照明をいっせい消灯する前代未聞の趣向で、イベントに関わったみなさんはいろいろと大変でした。そんな中でも、現地のみなさんが飲食テントや物販テントを出してくださり、参加者を温かい雰囲気で迎えるイベントにしてくださったことは今でも忘れられません。

無事点灯した行灯とキャンドル、みぞれでキャンドルが消えるので何度も再着火に追われました。
のと鉄道さんのご厚意で駅舎内の照明も消され、キャンドルが美しく照らし出されました。

そのイベントが行われた穴水駅前の商店街も、震災で多くの店舗が倒壊し、今年3月に震災後初めて現地を歩いたときには言葉を失いました。穴水は2007年の震災時にも多くの家屋や店舗が倒壊し、ようやく復興してきた中で再び被害を受けられました。

「真名井のあかり」のイラストで背景にした真名井川沿い、周辺の建物は被害が目立ちました。

アニメ『花咲くいろは』チャリティ商品の中の、「真名井のあかり号」ヘッドマークキーホルダーは、このイベントでのと鉄道さんが走らせてくださった列車のヘッドマークデザインをそのまま使いました。キーホルダーの袋にも由来を書き、少しでも多くのみなさんに穴水のみなさんの取り組みを知って欲しい、そんな思いから生まれたチャリティ商品です。

私は能登半島で生まれ育ってはいません。けれども、大好きなアニメを通じて能登の人たちとつながりを持つことができました。全国には能登に住んだことはなくても、旅行や帰省で能登を訪れたことがある方は結構いらっしゃるのではないでしょうか。そんな少しでも能登とつながりがある方が、能登を思い出し、思いを馳せるだけではなく、能登をテーマにした創作を楽しむことで被災地への金銭的な支援につながる。そんな緩やかなコミュニティを目指していきたいと考えています。ただ「コミュニティ」という言葉はいろんなところで聞くものの、じゃあ実際どうしたら?という疑問が湧いてきます。そのあたりは次回の記事で考えたいと思います。

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