intel arcで安くて小さいpcを組んでみた話
はじめに
どうもぱるちゃんです。
先日、色々あって人にパソコンを組むことになりました。
intel arcのGPUが以前から気になっており、これはいい機会だ!というわけでintel arcで組んでみたわけです。
自分が確認した範囲では(難点はあれど)巷で言われているほど悪くないのでは?と感じたので記事にしてみました。
※写真・文量やや多めです(いつものことでは?)。
※この記事を参考にして何か問題が生じても当方一切責任負いません。
自作することとなった経緯
一言でいえば従弟向けで、従弟と私のニーズが合致したためです。
〇従弟サイド
・従弟(受験生)は大学に入ったらゲームしたい(多分そんなに重くないゲームだと思われる)。
・予算はそんなにないので、安くて最低限遊べるゲーミングpcを買いたい。
・買いたいけどpcを選ぶ知識はないので一緒に探してほしいorお金を出すので組んでほしい。
〇私サイド
・私はOSなどを持て余している。ちょっと邪魔。
・intel arcが気になって仕方がないが、メインPCは4070Ti Superを使用しており、買う動機は全く無い。
・またPC二台持ちなため新規に組む動機もないが、めちゃくちゃ自作したい気持ち。
⇒pc組みたい気分だから、”本当にお任せでいいなら”タダであげるよ…!
(タダやし何か不具合あっても許せ)(私も無駄遣いしている罪悪感をどうにかできるし)
となったわけです。
組む際のコンセプト
・なるべく安く
⇒従弟とはいえ、そんなに大盤振る舞いはしてあげられない。
安くとはいえ中古渡すのもアレなので、全部新品で組む。
そのほうが何かあった時の保証の面でもよさそう。
・なるべくコンパクトに
⇒小さいPC組んでみたい。でもMini-ITXサイズはパーツが高いのでMicro-ATXで切り詰めてみたい。
あと組んでから渡すまでに時間差がかなりあるので(受験終わるまで渡せない)、でかいと私が困る。
・でもその割には性能ある
⇒いくらタダとはいえ、話にならないスペックはかわいそう。
安さと性能のバランスはとりたい。
というコンセプトで組みました。
購入したパーツたち
◯CPU
Intel Core i3 12100F
世代はちょっと落ちるが、この価格帯でゲーム用CPUを選ぶことを考えたらこれかRyzenの下位というところ。
intel arcはintel cpuと組んだほうが強いとの噂を聞いたので、実質これ一択。
性能は前世代のi5(以前のメインPC)より強いらしいので安PCには十分かな、といったところ。
懸念点としてはF付きなので、グラボが故障した際はどうしようもないこと。
知識のない人に渡すにはその点で微妙なチョイスだったかもしれない。
◯GPU
SPARKLE Intel Arc A380
今回の目玉、intel arcのグラボ。
安さとスペックのちょうどいいところを取ったつもりなのと、ロープロで組む必要があったので、ロープロかつintel arcだとこれが最大性能。
この価格帯だと少し値段足して1650とかがライバルだろうか。
VRAMがちょっと多くて、補助電源不要。このあたりがこのグラボの強みだと思います。
intel arcといえばエンコードというワードをセットで見かけますが、私は動画編集しないのでそこは不明。
ちなみにもう少しケース・電源・お金の面で制限が緩いのであれば、最上位モデルA770の16GBがとてもよさそう。
最上位のスペック(とはいえ3060より微妙に良い程度?)とVRAM16GBが40000円で買えます。
◯マザーボード
ASRock H610M-HVS/M.2 R2.0
もう全くこだわりがない。各種パーツに対応していて一番安いやつを買ったってだけです。
本当に最低限のマザーボードって感じなので、今後拡張考えている人は別のをチョイスするのが良いかも。
◯メモリ
G.SKILL F4-3200C16D-16GIS (DDR4 PC4-25600 8GB 2枚組)
これもこだわりなし。
まぁ最低限16GBでデュアルな中で一番安いやつを選んだだけです。
いやしかしDDR4メモリ安くなりましたね…。
◯M.2 SSD(家に転がっていたのを転用)
Fikwot FN501 Pro 250GB
以前ノートでChromeOS Flexとのデュアルブート環境テストに使っていたもの。
M.2でまともに動けばいいのであまりこだわりなし。
◯ケース&電源
SCYTHE サイズ 300W SFX電源搭載
小型で電源がついてこの値段、安すぎて怖い。
しかし比較的有名なメーカーですし、品質はそこまで悪くなさそう。
エアフローも悪くなさそうですし。
最安構成なら候補に上がるんじゃないでしょうか。
事務用スリムpcみたいな感じなので、グラボはロープロのみ対応。
◯OS (家に転がっていたのを転用)
Windows11 Home
今回は買ってませんが、これが余っていて使いたかった。
(新規に買うときは正規品買いましょうね、私はパッケージ版派です)
◯その他消耗品(この構成なら本来は必要なし)
◯グリス(余っていたのを転用)
親和産業 シミオシ OC Master SMZ-01R
◯サーマルパッド(余っていたのを転用)
ADWITS 9パック3種類の厚さ0.5mm、1.0mm 、1.5 mm熱伝導性シリコンパッド、6.0 W/mk熱伝導率
OS・その他消耗品を除いて5万円台!(OS込みで7万円以内,執筆当時価格)
まぁゲーミングPCという観点では相当安く収まっているんじゃないでしょうか。
組み込み
まずグラボのブラケットが標準のものがついているのでロープロ用に交換しました。
が、ここで大きなトラップ。
なんとブラケットのネジが奥まったところにあり、グラボをバラさないとブラケット交換不可という仕様でした。
つまり、ヒートシンクなど外すことになりますので、グリスなんかも塗り直しです。えぇ…?
なんとか外さず無理やり頑張ろうと思いましたが、無理そうでした。
仕方ないので分解。裏面のネジを外します。
外したらサーマルパッドがちぎれてました…。
こちらも新しいものに交換します…。
(その他消耗品が本来不要と書いたのはこのためですね)
グリスの塗りなおしとサーマルパッドを交換して、ブラケットを付け替え、ネジを締めてロープロ化完了です。
次はマザーボード。
CPUとメモリを装着します。
次にCPUクーラーを装着。
intelのリテールクーラーは予めグリスがついており、グリス購入の必要がありません。初心者にもやさしい。
なのでもう一度言いますが、先ほどのグラボの件がなければグリスも不要なのです。
装着も4か所カチッとするだけ。
その他、SSDやら電源コネクタなどをさしました。
次にケースに収めていくのですが、ケースが小さいのでマザーボードをケースに固定した後ではグラボを装着できません。
なのでマザーボードにグラボを取り付けてからケースに収めます。
収めるとこんな感じ。
このコンパクトさでケース増設できるので、家に転がっていた80mmファンを取り付けてみたのですが、CHA_FANのコネクタが一つしかないので電源取れませんでした。
なので元々ケース付属のファンしか動かせません。
分岐買えばいいのですが、面倒なので放置。
各種コネクタを差し込みました。
恐らくDVDドライブを取り付けるであろう空間に電源ケーブルやらなんやらを束ねて突っ込みました。
概ね完成。
ケース蓋を閉じてからトラブル発生すると面倒なので、開けた状態で試運転。
BIOSも動いてるし、Windowsのインストールもちゃんと進んでるし問題なし。
ということで蓋を閉じる。
その他画像とり忘れましたが、各種ドライバ(特にグラボ)や必要なソフトを入れてセッティング完了です。
ひとまずはこれでPCとして機能する状態になりました。
部屋の端に置いて、Parsec(リモートアプリ)で操作することに。
メインPCと画面をシェアするのも面倒なので…。
性能など
ひとまず色々使ってみて性能を把握してきたいと思います。
〇FF15ベンチ
intel arcと相性が悪いと言われていますが、やってみます。
…そして噂通り何回か試したのですが途中で落ちてしまいました。
なるほど、これが相性が悪いということか…。
大体戦闘シーンあたりで落ちることが多かったです。
これについてはグラボの性能不足というよりは、本当に相性という感じがします。
Ryzen7 5700U(サブPCに搭載)のようなノート用低電力CPUのオンボードでも完走自体はできるからです。
途中までの感覚としては、軽量品質・戦闘シーン入る前でスコア4000くらいなので、最後まで行ければ6000~7000くらい(になりそう)でそこそこ快適そう。
まぁ動作しきらないことにはどうしようもないのですが。
〇VRChat
私は普段VRChat以外にゲーム殆どしないので、ゲームで確認となるとこれが一番感覚的にわかりやすいので確認してみます。
とはいえこのゲームは最適化が非常に困難とされておりますので、自分以外誰もいないプライベートな空間・デスクトップモードでFPSを確認してみます。
まずは設定から。
アンチエイリアス4倍、その他MAXの条件で、FPSは144キャップ。
弊ワールドのFPSをいくつかみてみる。
一部重い表現があるワールドでFPSが落ちていますが、それでもまぁ60FPSを維持できている場合が多いです。
VRはかなり厳しそうなものの、デスクトップモードなら大きな問題はなさそう。
もう少し負荷のかかる環境ではどうなのか確認してみます。
HANI氏のワールド「夕焼けの帰り道」で検証してみます。
(以前本人に許可取ってます)
この時グラボの使用率が100%に。
とはいえCPU温度60度前後、グラボ温度70度くらいなので熱で性能が落ちるとかはなさそうです。
またその後負荷を上げてみましたが、温度はこれ以上変化なしでした。
なのでケースのエアフローもそこまで悪くなさそう。
次にアンチエイリアスを切って、影・LODを落としてみます。
とはいえこの検証で影・LODは関係なかったので、単純にアンチエイリアスの有無が現れた結果と思ってください。
アンチエイリアスの有無でFPSが10以上向上しています。
まぁこのグラボに関わらず、アンチエイリアスの影響大きそうです。
続いてもう少し抗ってみます。
インテルドライバーのほう「GPUパフォーマンスブースト」を50%くらいにしてみます。
…があんまりFPS向上せず。
というのも負荷のあるケースではそもそも使用率が100%張り付きになっているためと思われます。
ちなみにパフォーマンスブーストを100%にしたらクラッシュしました。
最終的な設定としては、
・グラフィックドライバ→デフォルト値
・ゲーム内設定→アンチエイリアスオフ、FPS60キャップ
で余裕を持たせる運用としました。
〇Blender
他に私が行うグラボを使う作業といえばBlender。
intel arcでレンダリングしてみます。
intel arcでレンダリングする場合は、「oneAPI」を選択します。
これはNvidiaでいうところのCUDAみたいなもんです。
…時間とかレンダリング画像を取得し忘れました。
流石に4070Ti Superと比べるのは酷なのですが、重たいシーンでない限り、intel arcでも十分速いと感じました。
簡単なシーンではサンプリング数4096でもすぐ終わります。
ここまでの内容を総評すると、明らかに苦手とするケースはあるが、価格の割に性能出ており、5万円台PCのパフォーマンスとしては十分じゃないでしょうか。
なお生成AIは今回試していませんが、最近ではintel arc用のセットがあるらしく、上位モデルなら十分可能性ありそうです。
また上位モデルを買えばVRや重たいシーンのレンダリングもいけそうですね。
自分がよく使うソフト・よくやるゲームとの相性がどうか次第では検討候補に入れてもよさそうです。
(理論上の)コスパは高いので。
その他所見
〇結構うるさい
グラボがロープロ二連ファンなせいもあり、音がうるさいです。
またローエンドで性能が低めなので、キャパオーバーになりやすいのでそれも原因かと思われます。
一方でCPUや電源からの音はそんなにないです。
〇USBポート・wifi問題
ケース・マザボをけちったのでしょうがないのですが、typeCポートなどはついておりません。
USB3.0はあるものの、すべてtypeAです。
あとwifiなんかもついていませんので、無線環境で使われる方は、別のマザボを選ぶか、USB式のものを買うかすると幸せになれます。
〇グラボのポート問題
とりあえず今回はHDMIで試しましたので特に問題ではないのですが…。
このグラボ、HDMIが1発、"miniDisplayport"が2発で計3発という構成です。
環境や使用方法によっては変換コネクタなど必要でしょう。
個人的にはHDMIと普通サイズのDisplayportが1発ずつがよかったかな。
〇今後の拡張性は低い
コスト重視で組んだこともあり、今後の拡張性に乏しいです。
例えばグラボを強化しようとした場合、ケースの都合上ロープログラボを選択する必要があります。
ロープログラボは種類が少なく、選択の余地もあまりありません。
そして電源容量の問題もありますので、それらを加味すると3050 LPが強化限界となります。
しかし性能はそれほど劇的に変わらないと思われます。
ロープログラボでいうと4060もあるのですが、恐らく電力が厳しいと思われます。
またCPUもボトルネックになる可能性があります。
となるとケースを変え、電源を変え、グラボを変え、CPUも変えて…となりそこまで来ると丸ごと買い替え(or 組みなおし)になりそうです。
今回組んだPCのまとめ
〇良い点
・価格の割に性能出ている印象
・ケース付属の300W電源で十分動作、省エネ寄り
・ITXほどではないが、十分省スペース
〇微妙/悪い点
・明らかに苦手な場面がある
・ドライバーが成熟していないかも
・うるさい
・拡張性が低い
・ポートが限られていて不便
おわりに
いかがだったでしょうか。
今回は大義名分のもと、気になっていたグラボを使ってPCを自作してみました。
思ったより性能悪くなく、intel arc上位モデルも気になってきた次第です。
割り切って使うなら、こういう構成も悪くないと思います。
それではまた。