リール旅行記 その① 〜リール到着まで
実はまだ時差ぼけが全然治っておらず……仕事するので精一杯の日々を送っています。
でも早くしないと2024-25シーズンが始まってしまう!
ということで、リールでの日々を振り返ってみたいと思います。よろしければお付き合いください。
7/27までのこと
なぜ夏休み前は決まって忙しくなるんだろう。
長めのお休みに入る前にやるべきことをやっておこうというのはもちろんあるけど、休み前に限ってSSR級の想定外のことが起こったりする。たとえば、仕事帰りに両替をして掃除機をかけようと思っていた出発前日の木曜日は史上最長の残業をすることになった。
残業はとても気を遣う案件で、正直めちゃくちゃ疲弊した。
でも、これも気持ちよくリールに旅立つため。自分に言い聞かせながらなんとか仕事を終えた。もちろんTravelexは閉店しており、深夜に掃除機をかけられるわけもなく、全ては出発当日に委ねられた。
出発日当日の7月26日も忙しかった。ずっと病院の中を走り回っていた気がする。診察すべき患者さん、書くべきカルテ、書類、カンファ。永遠に終わらないんじゃないかと思ったけど、走り続けた結果、ほぼ定時までに全てをやり切ることができた。
いってらっしゃい、楽しんでと同僚に見送られてダッシュで帰路に着く。昨日行けなかったTravelexに寄り、急いで帰って掃除機をかける。
ちなみに為替レートは1ユーロ170円だった。その直前までずっと170円越えだったからお店で170円なら悪くないと思ったけれど、今1ユーロ160円であることを思うとなんとも言えない気持ちにはなる。笑
シャワーを浴びたらリラクシーニット(※下記anan参照)とGUのパンツに着替えて、重いスーツケースを引っ張りながら成田空港へ。
地下鉄に乗り、久々に開いたX(以下Twitter)でようやく事態を把握した。
TVGへの同時放火。(ニュースをご存知ない方のために↓)
全ての移動をを公共交通機関でまかなおうと思っていたわたし。当然、シャルル・ド・ゴール空港からリールの駅(Gare Lille Flandres)へはTGVで移動するつもりだった。その路線も被害を受けていた。
TGVを運営するSNCFという会社のTwitterをフォローする。そこに書かれた情報によると、いずれのTGVも当面は運休し、週明けまで復旧しないだろうとのことだった。
ここで初めて「あ、ドイツ戦間に合わないかも」と思った。
もともと厳しめのスケジュールを組んでいたのです。
予約が取れなかったら元も子もないと、日本代表の試合日程が出る随分前の去年の10月ごろには飛行機とホテルを予約してありました。
蓋を開けてみれば、日本の初戦は27日土曜日13時半から。
スーツケースは会場に持って行けないなどの制約を考えるともう少し前に到着したいところではありましたが、予定を前にずらそうにも仕事は一週間しか休めない(一週間でも結構な長さだと周囲からは思われる)。金曜日まで働いて、その夜出発して、平日5日間に前後の土日を2日ずつくっつけた9日間が取りうる一番長い休み。
直行便だとちょうどいい時間帯のものがなかったけれど、ヘルシンキ経由のフィンエアーなら夜出発して翌朝パリに着ける。ギリギリではあっても、わたしの選べる中ではこれが最善でした。
TGVが動かないとなると、バス。バスは電車の倍以上時間がかかる。そして、出発時間のちょうどいいバスがない。
ワンチャンにかけて早めのバスと、試合には絶対に間に合わないバスを二本予約しました。
予約しながらも不安でした。乗ったバスに何か起こらないとは限らない。バスだけじゃなくて、会場でだって何かが起こるかもしれない。
わたし、フランスで死ぬのかな。やだな。まだ死にたくない。
……行くのやめようかな。そんなことも頭をよぎりました。
でも、この一年間、ずっと楽しみにしてきたオリンピックなのです。
やっぱりここでやめるわけにはいかない。できるだけのことはしよう。三つの試合を見ることよりも、無事に生きて帰ることに目標をシフトしよう。
そう決めて、ラウンジでカレーを食べました。
そのあと、搭乗口前で母親に電話をしました。本当に死ぬかもしれないと思ったので。笑
どちらかというと過保護なわたしの両親。今回の単身でのフランス行きも元々かなり心配されていました。放火の件があった今、行くのを反対されるかもなあと思ったのですが、母親の反応は意外にもあっけらかんとしたものでした。
「これで警備がしっかりするといいね。くれぐれも気をつけて、楽しんできてね」
そういえば父は海外出張の多い仕事でしたし、メキシコで単身赴任していたこともありました。危険な国に家族が向かうことに、母はわたし以上に覚悟のある人だったのです。
おかげでわたしもすっきりして、覚悟が決まりました。
いよいよ搭乗です。
フィンエアーに乗るのは初めて。成田発だったので日本人のキャビンアテンダントさんもいましたが、いかにも北欧の方というような背の高い方もいらっしゃいました。海外旅行が始まるんだなあとワクワク。
十数時間のフライトもアメリカから帰国したとき以来だからウン十年ぶり、相当久しぶりです。
今回の旅のテーマは「一世一代」。
好きな選手を追っかけて海外一人旅をするなんて一大イベント、そうそうない。せっかくなら贅沢しようとビジネスクラスにしました。
ウェルカムドリンクはシャンパンかブルーベリージュースか水。ジュースにしました。さすがフィンエアー、ポーチといい紙ナプキンといい、あらゆるものがマリメッコでとてもかわいい。ちなみにグラスはiittalaだという情報を見かけました。
度々このnoteでも書いてきたように、わたしは願掛け女なのですけれども。飛行機の乗るときの願掛けとして「機内設備についてのビデオを真面目に視聴する」「安全のしおりを熟読する」というものがありまして。
今回もそれを無事に果たしましたところ、フィンエアーの安全のしおりがめちゃくちゃかわいかったです!!思わず写真を撮ってしまいました。
(ところで、JALの安全のしおりの絵柄、最近変わりましたよね……? ぷくぷくの赤ちゃんを見るのが癒しだったのでちょっと残念です。笑)
機内食はニョッキにしました。
ご存知の通り、飛行機に乗る前にラウンジでカレーを食べたのですが、北欧のご飯もやっぱり気になるじゃないですか。
左下はなんだったかな……忘れちゃいました。
ニョッキも炭水化物だろうにパンまでいただいて、炭水化物!!!みたいなお夕飯に。デザートはモンブランでした。
歯磨きして、シートをフルフラットにして、さあ寝るぞ!と横になった途端、シートベルト着用サインが出てかなり揺れる。
パリに着く前に死ぬかもな〜と思いながら寝ましたが、杞憂で済みました。(そりゃそうだ)
ふと目が覚めて、TGVの情報を集めようとしましたが、全然ネットが通じない!
北極圏を通過するときは繋がらないんですね。ロシアのことがあって、航空経路が迂回する間は繋がらない時間も長そうです。(今回も3時間以上は繋がらなかった)
(行きのフィンエアーでは特に案内はなかったのですが、帰りのJALは「Wi-Fiあるけど繋がらない時間帯があるので買う方はご了承くださいね」と事前にアナウンスしていたので親切だなと思いました)
そうこうしているうちに二度目の機内食です。
朝食のエッグベネディクト。
朝食を食べたあと、寝巻き代わりのリラクシーニットからワンピースに着替えて軽くメイク。お次はヘルシンキ空港での乗り継ぎです。
人様の旅行ブログを読んだところ、ヘルシンキ空港の乗り継ぎでは手荷物検査が大変だと書かれていました。99%の方が引っ掛かり、液体を取り出してチェックされたり、カバンの中身を探られるということだったので、かなり準備して向かいました。
機内でもらう歯磨き粉が落とし穴になりやすいということで、そちらも入念に液体入れに移したのですが……わたしの機内持ち込みバッグも結局引っ掛かり。
お姉さんにバッグの中、化粧ポーチを探られましたが、それっぽいものは一つも見当たらず。ぽいっという感じでバッグを渡され、脱力しました。バッグの中身をぐちゃぐちゃにされるだけのイベントかーい。
振り返ってみると、マスカラかなあと思います。それ以外に液体っぽいものは本当になかった。今ググったらやっぱりマスカラは液体扱いなんですね。行きの成田では引っ掛からなかったから油断してました。ぐすん。
ちょっと時間をロスしましたが、ヘルシンキ空港で絶対にやりたいことがありました。
それは、ムーミンショップに行くことです。
みなさまも記憶に新しいと思います。日本代表がヘルシンキ空港およびフィンランドでキャッキャしていたこと。
そのずっと前からヘルシンキに寄ることを決めていたわたし。思わず神に感謝しました。
ヘルシンキ着が5時過ぎだと気付いたときには行けないかなと思ったのですが、調べてみると、ムーミンショップは朝の5時から営業しているじゃないですか。
手荷物検査を超えたところで開いているお店があったので、ぶらりと入りました。アングリームーミンのお洋服を探したけどなさそうでした(店員さんに尋ねてもよくわからないと言われました)。
でも、緑のスナフキンポーチは見つかりました! 比江島さんに買ってもらった佐々木隆成くんとお揃いです!!
わーいわーい、無事に買えた〜。とるんるんで移動してたら、まだ関門があることをすっかり忘れていました。入国審査です。
手荷物検査が最難関だと思ってましたが、こっちも死ぬほど並んでやんの。やば!
列は基本全く進まず、乗り換え便の時間が迫っている人が自己申告して列を抜けるシステム。その分列が進む。逆に言うと、その分しか列は進まない。ヘルシンキが最終目的地の人は一生出られなかったんじゃないだろうかと思うほど。
わたしのシャルル・ド・ゴール行きの便はわりと迫っていたので、長蛇の列を抜けてブース列に直接並ぶことができました。
よかった、これなら間に合いそう。と思ったら、わたしの前の方が係の方と永遠に会話をしています。おそらく観光での入国ではないのでしょう。係の方はずっと険しい表情をしていて、そう簡単にはこの関所を通すまいという意思が伝わってきます。
初めの5分はまだ我慢できました。10分、15分と過ぎたところで我慢できなくなり、わたしをこのブースに案内した係員に思わず声をかけてしまいました。
「この列、20分以上進んでないんですけど!?」
「じゃあ、隣に移ってください」
ここで主張してもしょうがないことなのですが、人によってかかる時間が異なる可能性があるときは、ブースごとに並ばせるのではなく、「一列に並ばせて空いたところに行ってください」が最適解でそれ以外はありえないと思うのです……特に乗り継ぎみたいに時間制限のある場合は。
後ろに並んでいた中国?のオタクっぽい男の子三人組もわたしが移動したのをみて左右のブースに散って母国語で文句を言い合っている。わかる、気持ちはわかるよ、と苦笑まじりに見守っていたら、同じブースに並んだ男の子に英語に「何時の便ですか?」と聞かれました。20分発だよと答えたら、15分発の航空券を見せられました。わたしもかなりパニックだったので、「やばいじゃん、大変だね」と答えるのみで、順番を譲ってあげるという発想は微塵もありませんでした。笑
わたしとその子が英語で会話しているのを知り、友人たちも会話に加わります。
男子1「なんで俺らの列だけこんなに動かないんだ!」
男子2「マジで100年くらい待たされたんだけど!」
わたし「わかりみしかない」
的な会話をしました。
国境を超えて分かり合えるのって素敵なことだなと、妙なタイミングでしみじみしてしまいました。
新しく並んだブースの前の家族も観光目的ではなかったためそこそこ時間がかかりましたが、なんとかわたしの番に。(ちなみに元々のブースではまだやりとりが続いており、誰一人そこには並んでいませんでした)
フィンエアーといいヘルシンキ空港といい、相手も初めから英語だから本当にありがたかったです。もし直行便だったらパリで入国審査になってたわけで、フランス語を求められただろうことを考えると、シェーゲン協定サンキューすぎます。
わたし自身の入国審査はオリンピックを見にきましたと答えてスムーズに。競技とか聞かれるかな〜とちょっとウキウキしていたのですが、特に聞かれず。残念。
ダッシュして搭乗口へ。
ムーミンショップ先に寄っておいてよかったと思いながら荷物をしまい、やれやれと座っていたら、なんだかちょっと見覚えのある顔が搭乗してきました。
さっきの、ブースで延々と話していた人でした。同じ便だったんだ、よく間に合ったな、っていうか30分以上話してたよねこれ……
離陸してしばらくすると、機内食です。
またしても朝食。この日は1日に二度朝食を食べました。
3時間で、いよいよシャルル・ド・ゴール空港です。入国審査は済んでいるので、荷物だけ受け取ればリールに向かえる!
機内で調べたところによると、週明けまで難しそうと言われてたTGVが減便しつつも動いてるみたい! そして元々わたしが乗る予定だった便は一時間遅れになる見込みとのこと。
バスの乗車口は別のターミナルなので、移動時間や車酔いしやすいことを考えると同じターミナルから乗れるTGVの方がやっぱりいいなと思いました。一時間の遅れなら三時間のバスとあまり変わらないし、次はバスが狙われるかもしれないし。
結局、成田行きの電車で慌てて予約したバスはキャンセルしてTGVに乗ることにしました。
スーツケースを待っている間に、日本のご夫婦に話しかけられました。
「あの、日本の方ですか? なんの競技をご覧になります?」
「バスケです」
「あ、じゃあリール行かれますよね!? どうやって行かれますか?」
「予約したTGVが動いてそうなので、それで……」
お二人が乗る予定だったTGVは運行中止が発表されていたため、バスについてお伝えしました。可能であれば一本早い電車に乗りたくて慌てて説明しちゃったけど、結局乗れなかったからもっと丁寧にお伝えすればよかったと後悔。
フランス戦の会場で会えますよねとお別れしたけど、結局会えなかったなあ。
TGVのホームについたら、大声を出している人がいました。
フランス語だから全くわからないのですが、言うならば一人シュプレヒコール。なんらかの主張をしている感じがする。もしや放火再びか、現行犯か? と謎にちょっとワクワクしちゃいました。あんまり眠れてなくて頭がおかしくなっている。
同じホームながら端と端だったのでわりと冷静でいられましたが、乗客の大群がその人を刺激しないようにそろりそろりとこちらへ移動してくる様子はちょっと面白かったです。
そのうち屈強な警察官たちがのそのそとやってきて、これは大ごとになるのか!?と待ち構えていましたが、その後はずっと静かでした。きっとどこかに連れて行かれたと思うんだけど。どうなったんだろう。
何本も見送ってからようやく自分の電車がホームに!
重いスーツケースを持ってるくせに2階席を予約したのを後悔しながらえっほえっほと運ぶ。やれやれと座ったところで、2時間遅れになりますとのアナウンス。おーい!そういうことは早く言ってくれ〜〜!?
これで99%ドイツ戦は間に合わないと肩を落としました。
最初の一時間はのろのろ運転。やがて完全に止まってしまい、もはやこれまでかと思っていたところ、フランス語でのアナウンスが。2時間遅れについては英語でもアナウンスしてくれたのですが、今回は完全にフランス語のみ。何を言ってるかさっぱりわからないな〜と思っていたら、なんと、電車が逆走し始めるではないですか!!笑
しかも、それまでのどのタイミングよりもスピードが出ています。わー、これならあっという間に空港に着いちゃうなあ、もし空港に着いたらまたバス取り直さなきゃなあと遠い目をしていたのですが、ずーっと逆走し続けています。さすがにそろそろ空港では、とGoogleマップを開いたら、なんとびっくり、リールに近づいてる!?
まさかのスイッチバック。結局リールに着くまで、最後まで逆走したままでした。ほんと謎です。
車内はwi-fiがあることを売りにしていたけど、全然繋がらない。利用する人が多すぎるんだろうな。Orangeの30Gのコースにしておいてよかったと思いました。
せめてドイツ戦を配信で見られないかと奮闘しましたが、有料配信サイトしかなく、しゃーない払うかと思いましたが(フランスにとって)海外のクレカが使えず八方塞がり。日本のサイトはヨーロッパからだとTVerはもちろん、Yahoo!も見られない。Twitterでのみなさまの実況が頼りという、妙に情報が制限された世界線に飛ばされたかのようでした。笑
予定より2時間半以上遅れて、15時過ぎにリール着。日本対ドイツは第3Qが始まったところでした。ここからアリーナまで30分かかることを考えると、ドイツ戦は完全に無理だ。諦めてホテルにチェックインすることにしました。
わたしが予約したホテルはリールから30分ほど地下鉄で揺られた先のルーベという街にありました。
キャンセル料100%がほとんどの中で、キャンセル無料という貴重なホテルだったのです。とりあえず抑えといて後から近いホテルを探そうと思ってたんですけど、Bリーグが忙しくてそれどころじゃないうちにその日を迎えてしまいました。リールの中心部に取ればよかったなと思いましたが後の祭り。
チェックインは英語が使えて助かりました。
疲れ果てていたので、シャワーだけ浴びてご飯。ご飯はまさかのこちら。
ドイツ戦は全く見られなかったけれど、テロに遭うことなく無事ホテルに入れたなあとしみじみしながら就寝。
長い長い一日が終わりました。明日はきしくん(※宇都宮ブレックス#14 村岸航くん)のお誕生日と、アメリカ対セルビアが待っています。
続く!
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