
ここは粗忽な自習室-地学・地理学のカッコいい言葉を調べたい-前文
あらかじめ断っておく。この記事があなたの人生を幸福にしたり生きる道標になるということはないだろう。そうしたことは目的にしていない。これは私自身が楽しむことを目的としたものである。それをあなたがともに楽しむことは、あるかもしれないが。
私は高校で地学を履修して以来、地学に関心を抱いている。専門的に学んだことはない。センター試験を終えてはや幾年、年に1冊ほど初学者向け教養書籍を読んで満足する。これは斜め読みの読書である。もとより、高校時代の記憶はとうに風化し塵となっている。当然、知識はないに等しい。これは一方では幸福をもたらしてくれる。なんと、似たような初学者向け書籍をいつまでも新鮮な驚きで読み進めることができるのである。
しかし一方で残念な結果を作ってもいる。
私はここ半年で低山ハイクを嗜むようになった。散歩好きが高じたためである。月に1〜2回のことで、行った山も行った回数も少ないが、肥満中年インドア派にしては上等の趣味を持てたと思う。
さて、そうした低山の道中には、山の成り立ち、地質の特徴が記された案内板が立てられている。先述した通り、私は10代に地学の入り口をかじった人間である。今でも年に1冊くらいは関連本を読む程度に地学に関心がある。今ある山の多くが、大昔に起きた「造山活動」によるものであることも知っている。だから当然書いてあることが少しはわかるだろうと興味を持って眺めてみる。デボン紀…火成岩…知っている単語を見つけ、「なんだかスケールの大きな歴史」がそこにあることに感動を覚える。
が、そこまでである。具体的に何が書いてあるかについては半分も理解していない。言い訳をすれば、肥満体型が登山中に思考ににまわす酸素はないのである。ならばいったん立ち止まって呼吸を整えてから熟読し、わからなければ手の中の四角い端末で意味を調べれば良い…とおしっしゃるか。とんでもない。山は日没が早い。おまけに私は朝が遅い。私が登り始める頃、みんなが下り始めるなんてざらである。ゆえに、その場でカメラにおさめて歩き続ける。
では後日そのデータを見返してウンウン考えるのか。見ない。「こんなのもあったな〜、また調べよ〜」とにこにこスワイプするだけである。所詮は「ちょっと関心がある人」なのである。こうして、私のぬるぬるの脳みそにはぼんやりとした生半可な知識の断片が堆積していく。そして、これこそが私が自習note開室に踏み切った理由であるが…この断片の堆積は、本を1冊読み切るような達成感が得られないのである!あの山で見たあの岩石は、黒かった…デイ…デイサ…デイサイト…黒くて…でデイサイトって何だったっけ?!
思うに、書籍は著者という優秀な案内人が、理解の悪い読者にも着地点を用意してくれているのだ。海流が気温に関係するんだな、とか、地下深くなるほど密度が大きくなるんだな、という、中学理科の記憶を刺激して呼び起こしてくれる。この、教えてもらう、思い出す、が結びついて、なんだか新しいことを知ったような気になって、それ「もっと知りたい」という喜びとなる。高校地学で修学した内容など、もしかしたら私には関係なかった可能性も出てきた。そしてたまにある初めて出会う用語のかっこよさに興奮する。さらに、地学関連本の多くは、防災や地球の未来や役に立つかもしれないというプレミアムな着地をする。満足度が高いのは当然である。一方で、優れた案内人がいない「実地学習」では混乱が生じて消化不良となるのもまた、当然であった。
この消化不良を何とかしたいと思って、改めて本を読み始めた。しかし今まで通りの読み流す読書では同じことを繰り返すだけになる。今の私には学習が必要である。学習にはまとめ直しーーアウトプットが有効である。かといって図書館にこもってノートを作るほどの気力はない。幸い、大昔にアカウントだけ作成し、その後適切な活用方法を見出せずにいたnoteというサービスがある。オンラインサービスならば通勤中に四角い端末でまとめることが可能である。ゆえに、ここを私の自習室とする。
とは言っても、興味がない領域を深追いするつもりはない。私の地学への関心の根っこは「なんかスケールのでかさがカッコいい」という軟弱なものだ。己の軟弱さを忘れると学習から面白さがこぼれ落ちる。テストもない大人の趣味教養が面白さを失えば、「忙しい」「疲れた」「飽きた」と手をつなぐことは想像に難くない。そこで、このnoteでは「カッコよさ」にこだわっていく。具体的には「響きがかっこいい言葉」の意味を調べてまとめていきたい。なお、めんどくさいので地学と書いてきたが、当然ながら地理学と呼ばれる領域とも重なっていく。これまでのところから察していただけているだろうが、私は子供の頃からとんでもないめんどくさがりである。手抜きをしたり思慮が行き届かない記事も出てくるだろう。あくまでもここは粗忽者の自習室である点をご承知願いたい。
粗忽な自習室、記念すべき第1回は、毛筆でしたためたくなる4文字、「縄文海進」である。