冬休みにTSUTAYAで読んだ漫画リスト
鬼滅の刃がどの本屋でも売り切れで古本屋に並ぶわけもなく「諦めるか〜」と思っていたらTSUTAYAで読めました。
今、唯一鬼滅を読める場所、TSUTAYA!しかもまとめて借りれば1冊88円と超安いので、話題作や買うか迷っていたものをごっそり読み漁りました。
以下が借りて読んだ漫画リストなんですが、どれも面白かったです。
ヒストリエ
バカハマった!!寄生獣の作者が描くギリシャ周辺の国争い。冒頭にアリストテレスが出てくるが、主人公は彼でなくスキタイ人のエウメネス。奴隷の血でありながらもギリシャ人の貴族に育てられ、出生がバレて奴隷として買われるも、買い主が殺されてすぐ自由の身になる。めっちゃ賢いし肝が座っているので、どの国に行っても民族関係なく悠々自適に過ごせる飄々とした感じが読んでいて気持ちいい。
勢力争いや人種差別の話も拾いながら、ストーリーの展開を軽やかに楽しく読ませる。こういった読み味はなかなか見ないので貴重。。感謝。。ただバガボンドばりに新刊が出るのが遅いようなので、沼にハマってしまった悲しみもある…。
鬼滅の刃
周りで読んでいる人たちから強く勧められたことがなかったから、流行りのものって受け流していたけど「葛藤」が描かれている超好みな漫画だった。2項対立でなく、どちらも戦いには事情を含んでいて、悪を罰するのではなく救っていく。一番グッと来たのは善逸が「自分なんて生まれなければよかった」と自身の生命を否定しながら戦うシーン。川上未映子さんが貧しかった子供時代を振り返って「自分がいなければ兄弟が食べる分が増えるのに」(的な内容)と言っていたことと重なった。自分の命を否定して、他の人の命を助けようとするってのは危ない考えなんだけど、一貫した姿勢みたいなものを感じられて良かった。
あと、絵がかっこいい!見開き2ページを使った描写が多めだと思うんだけれど、全然違和感がない。他の漫画で見かけると「よっ!見開き!」「使ったな!」って一回止まってしまうんだけれど、鬼滅は見開きが入ることが自然な流れと感じるくらいスムーズだった。1コマ単位で見てもかっこいい構図が多いので、自分が小学生だったらたくさんのページを模写していたと思う。(伊之助は年賀状に描いて送っちゃった…)
ブルーピリオド
美大受験漫画。絵めっちゃうまい。扉絵とかも眺め入っちゃう。美大がテーマだからか、他の漫画では見ないような挑戦的な構図が多く見られ、美大受験経験者が読んだらドキッとしそう。
話は超辛い。悲劇的な出来事が起きるわけではないんだけど、悶々する自分が自分の首を絞めていく。自分から生み出すものと周りの評価が繋がりがちな人間を全員串刺しにしそう。
この漫画は常に緊張した空気が張り詰めている。制作が締め切りに間に合わなかったとして、「別に死ぬわけじゃないんだからいいじゃーん!」と笑う人はひとりとしていない。そういった閉塞感がどんどん酸素を奪っていって息苦しくさせる。
大げさかもしれないけれど、私もこの閉塞感には覚えがあって、振り返れば「そんな思い込まなくても大丈夫なことだった」って思えるんだけれど、渦中にいるとやっぱり苦しむしかなかっただろうなとも思う。自分を責めがちな人はぜひ。
ちはやふる
そういえば読むの途中で止まってたなと思って20巻代をごっそり。小学生でハマったものを大人になっても楽しむのは難しい…。ここで卒業します。
1122
籍を入れている夫婦が「家の外での浮気」を公認するルールを設け、二人なりの夫婦としてやっていけるのか。答えは曖昧なまま、生活が続いていく。まず、常識はずれのルールに引き込まれ、途中では妻が女性向け風俗に行くシーンがある。そんなもの見たことがなかったので嬉しくなり「おっしゃあー!やれやれ!!」ドンドンと応援の気持ちで読んでいた。
ちょっと話がそれるけれど、学園恋愛モノの少女漫画って片思いから始まりラストは付き合ってめでたしで終わることが多いと感じていて、アラサー世代漫画になると、お付き合いから結婚することになってめでたしで終わる。イチャモンなんだけど、2人の価値観があって話が進んでいくのに最後が社会的な節目で閉ざされるっていいのか!っていうかそれ以外のラストを見てみたい!と思っていて、1122はその王道パターンにはまらない結び方だった。
約束のネバーランド
奇跡的にこちらも鬼滅の刃と同じく、鬼vs人間で純粋な2項対立とはならない構図。次の話へ引っ張るのがうまくnetflixみたいな中毒性があった。何にも阻まれることなくス〜ラスラ読めてしまう。もったいない。話の展開力とか、説明力がすごく上手なひとなのかも。何がなせる技なのかわからんくらい流れるように読んでしまった。一番ワクワクしたのは冒頭1〜3巻あたりの世界の真相を徐々に解き明かしていくところなので、これから読み始める人はぜひ噛み締めて…。
JKハルは異世界で娼婦になった
「女性にこそ読んでほしい」とポップを書いた人と語りたい。いわゆる異世界ものでドラクエみたいなRPGの世界観、かつ男尊女卑が激しい世界に転生されてしまった女子高生の話。「男尊女卑」は設定だが、日本の水商売・風俗業界と女性の扱いは全く同じだと思う。売春のシーンでは、エロ漫画ばりにセクシーに描かれていても、流れるモノローグは冷静。「面倒くさいからさっさとイケよ」みたいな。サービスセックスのキャプションが読める漫画といってもいいかも。そういった「絵」と「モノローグ」の乖離が起きている中、常に空気には疲労感が漂っている。元の世界に戻れる方法もわからず、スキルがないので体を売って生きていくことしか思いつかず、日々お客からの暴力を受け入れている。昨日も、今日も。同じ職場で働く娼婦仲間が優しくて慰めになる感じもリアルに思える。
Artist
料理漫画に飢えている人間なので、フランス料理店の厨房を描くきれいな漫画はとてもありがたかった…!
鼻と舌が良すぎるあまりに、人間関係で失敗を繰り返してきた料理人が、雇われ副料理長を務める話。といっても彼が住む「一芸入居」の変わったアパートの住人にもフォーカスがあたったりするので、大きなテーマとしては芸術に向き合う人。画家、ピアニスト、漫画家も出てくる。専門とする領域は違えど、同じ住民として交流を深めていく。
一番気になったのは、主人公の職場のなかにASDを持った人が出てくるところ。厨房内のやりとりでうまく意思疎通が出来なかったり、それによって買わなくていい怒りを買ったり…。でも彼の特性によって、物語がきれいに転換する部分があり、面白い描き方だった。
いつもぼくを見てる
山本さほさん初のストーリー漫画。舞台は小学校で、登場する人物も山本さんの子供時代にいたようなガキばっかなので、あの時代の空気感を楽しみながら読むことができる。ファンタの新作がでるから100円持って駄菓子屋に集合するところとか、晩ごはん代を全部ガチャに回せば10回もまわせるじゃん!と目を輝かせるところとか、ガキ思考がたまらん…。
結婚アフロ田中
ある日、気づいたらマンガアプリのSPポイントが42も溜まっていて、「アフロ田中が途中で読むの止まってたな」と思い出し、漫画を開いて、結局全部アフロ田中にSPをつぎ込んだのでした…。その後も仕事で疲れたときは課金してまで読んでいた。脳のオアシス!頭を使わず、感覚で読める!コロナ禍でアホになった人間のテンションにピッタリマッチ!男性側の下事情をどんどん学習できるが、その成果を人に話すと嫌がられる。友人に「変なことばっかり詳しくなるんだから!」と文句を言われた。
きのう何食べた?
15巻まではもっているので、最新巻あたりを借りて読んだ。シロさんは弁護士事務所のボスに、ケンちゃんは美容院の店長に昇進。島耕作のようにタイトルには現れなくても、水面下ではどんどん時が流れていく…。そして加齢により、食事制限や運動量はさらに厳しくなっているようだった。ジルベールが一週間のうちに2,3回のジム通いでは体をキープできなくなったため、毎日通うことになったという話はゾッとした…。筋トレしても筋トレしてもマイナスを0の状態に戻しただけで、あっという間にまたマイナス状態になるとは泥沼借金のよう。歳を取るのが恐い…。(料理漫画)
ここは今から倫理です。
1巻は持っているので2巻を。めちゃめちゃハマりそうなテーマなのに、どんな話だったか思い出すことが難しい。教師が、身の回りのトラブルを倫理や哲学に当てはめながら説くという点では漫画「教え子がAV女優 監督はボク」と似ている。(※ここからネタバレ)人によって出来なかったりする待遇は、誰に対してもするべきでないと考える先生が、ギリギリの生徒から「ハグしてほしい」と要求され、躊躇してしまう。その一瞬の顔が、生徒のことを「気持ち悪い」と思っているようにも見え、生徒は泣いてしまう。泣いてしまった生徒を見て、思わずハグしてしまう。先生は要求に答えた、というよりかは、人を傷つけた自分を取り繕うよう。それは生徒の方にも伝わっているようで…。道徳に着地するのではなく、道徳がフラグとして扱われるのが面白い。
まるごと腐女子のつづ井さん
TSUTAYAって表紙カバーを外した状態で借りるんですが、これ文庫本なのでカバー取ると普通に名作の文庫本かなって見た目になる。本棚に飾りたい!!つってポチってる友人がいた。
これはつづ井さんシリーズの中でも初期の話のため、今よりももっと絵が適当で、大学生時代の原始的な遊びをワイワイやっていて、読むと創作意欲が刺激される。クリエイティビティがすごい。それで楽しそうにやっているから、自分もやりたい!!ってやる気スイッチ押される。大学生のときはほぼ毎日日記を書いていたんだけれど、社会人になってからサボっていて「だって書くことないし」とか言い訳してたけど、これ見て「想像すればいいんだ…!」って天啓をもらいました。まじで本棚に1冊あると良いんじゃないかな。
以上
が、冬休みに読んでいた漫画たちです。楽しいお休みになりました。すべての作者に感謝…!そして、気になっていた漫画を全部読み終わって、今ストックが0なので、よければおすすめ漫画教えて下さい。チェンソーマン最終巻はもう少し覚悟が固まってから読みます。ありがとうございました。