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『第七女子会彷徨』

◾️漫画の概要
高木さんと金やんは、友達選定システムを通じてペアになった高校生。果たして高木さんは無事に単位を取りきることができるのか・・・?

◾️おすすめ
SFガジェットがふんだんに登場します。
「共有リング」「多元宇宙ボタン」「食べたつもりガム」「目覚まし君太郎」「お父さん自販機」・・・。
その結構すごい機能を持つどれもが、大した使われ方をせずに日常のうちに消費されていきます。

高木さんは超保身的で、謎の自信に満ち溢れた自称尽くす女。一方の金やんは常識人で、高木さんに付き合っているせいか許容範囲が異様に広い。二人のやり取りはユルくシュールで甘ったるく、どこか夢を見ているような気にもさせます。

世界観を構成する大きなカギとなっているのが、「デジタル天国」。心を抽出しデータ化する技術のおかげで、過去の亡者は仮想現実の住人となりました。生死の境が曖昧であり、家が理不尽に壊されようと、正体不明の生物に連れ去られようと、次の話では過ぎたことになっています。

「友達選定」「赤い糸制度」といった、選ばれた人と関係性を構築するシステムは、一見すると平和そうな裏側にディストピアの様相を呈しています。

話の形式は基本的に1話完結のオムニバス。終盤に近づくにつれ、高木さんが時折見せる不安定さと、地続き感の無い白昼夢のような雰囲気に、合理性がもたらされていきます。

唐突に未来が描かれるパート、「百年保存計画」と「悠久の百円貯金」。
話の根底にずっと流れている、どこか不安で不穏な空気はここでさらにフラストレーション。たったの2ページ、2言のひとりごと、後ろ姿の内に狂気が張り詰めます。

得体の知れない狂気は、時の流れを行き来する中で瓦解していき、日常が日常で無くなる時、はじめてのその彷徨は終わりを迎えます。

お気に入りの話は「ジプシーキングス」。

全体を通してタイトルの付け方が秀逸です。

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