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今でも月60本程度は出しているWebライターが課している「1本60分ルール」

 先週から左上の奥歯が痛くて、久々に新宿にあるかかりつけの歯医者へ。見事に虫歯でした(笑)。どうも頭痛の時に服薬していた鎮痛剤が歯にも効いていたらしく、認知が遅れたみたい。「こうなる前にもっと早くお会いしたかったです」と言われてしまいました……。

 先日、「最盛期で月に100本、現在でも60本ほどは書いている」と記したことに、「そんなに書いてるの!?」という反応を頂いたので、今回は記事を数多く書くために、自分が意識していることをざざっとまとめておこうと思う。

 正直、2015〜2016年くらいに記事を量産していた頃は、「寝食を忘れて仕事に打ち込んでいる」状態で、今から振り返るとだいぶ無茶な働き方をしていたと思うし、稼がないといけないプレッシャーと思い通りにいかないことだらけの合せ技でストレスを溜めまくっていた。
 その後、二度ほど体調を崩してダウンしていて、さすがに察しの悪い自分でも「働き方改革」の必要性に迫られることになった。

 いま、自分の中でのルールというか指標として、次の3点を心がけるようにしている。

  • 1日あたりの「仕事」はなるべく5時間に収める。

  • 週に2日は「仕事」をしない日をなるべく作る。

  • 1記事あたりにかける時間は60分を基準にする。

 まず、働く時間を5時間(300分)というのは、記事の執筆や編集、画像選定や加工、ネタ出しや情報収集、メールやメッセンジャーでのやり取りの総計で、だいたいそれくらいになればいいや、というゆるい基準になっている。取材が絡むとどうしても超過してしまったりするのだけど、それを「残業」と捉えて、他の日に「仕事」の時間を調整したり、多めに昼寝をすることでチャラにする程度に考えておく。
 週に2日は「仕事をしない」と決めるのは、なかなかに勇気が必要だった。ただ、前述のメールなどのやり取りに関しては例外にしている。あくまで執筆などの「成果物」を出さない日、という位置づけ。その分、DAZNでサッカーやF1番組を視聴したり、映画やアニメやプロレスを観たり、読書に当てたりしている。

 さて。一番重要に捉えているのは、「1記事あたり60分」という設定。これはネタの選定から取材、執筆、修正などにかかる時間として、60分を基準にして、それより短く済むか、余計にかかるかを想定しながら作業するという意味で捉えて頂ければと思う。

 例えば、先日にさいたま市消防局が「救急隊に食事の時間を!」という告知を出した件について記事にした際にかかった時間は40分になる。

https://getnews.jp/archives/3319560

 これ、「コタツ記事」に見えるかもしれないし、実際のところ一歩も動かずに仕上げているのだけど、さいたま市消防局に電話取材をしている。
 実際、自分の手を離れるまでにかかった時間を切り分けてみると、だいたい次のようになる。

  • ネタ選定:3分

  • 電話取材:10分

  • 執筆/編集:25分

  • 各所連絡:2分

 まず、ネタに関しては公益性と話題性の双方で記事にするに足るので迷う余地はない。ただ、ツイートへの反応を見ると「クレームがあったのでは」と疑う向きがあったので、ここをクリアにする必要があると考えた。それで、電話取材で「出動件数が増えている要因」「現状の1日あたりの出動件数」「クレームの有無」を確認することにした。
 執筆にかかった時間に関しては、だいたい700字程度で画像1点なのでこんなものだろう。あとは、編集部内でのやり取りにかかった時間で、計40分。これが純粋な「こたつ記事」であれば、20分以内を狙いたかったところだ。一方で、通常の出動件数との比較や、他自治体の救急隊の増加の状況などの内容を加えると、記事としての厚みが増してより望ましかったかもしれない。

 逆に、取材をまったくしていていない「こたつ記事」でも、60分を大幅に超過してしまうケースもある。最近だと、チャット小説サイト『テラーノベル』が無断転載や過激な二次創作が横行している問題を記事にした時などは、ざっくり100分程度かかった。

https://getnews.jp/archives/3314443

 これも記事化に至るまでを分解してみると、以下のようになる。

  • ネタ選定:3分

  • 事実確認:60分

  • 執筆/編集:35分

  • 各所連絡:2分

 ネタに関しては、媒体特性の観点からもピックアップすべき。ただ、Twitterなどでの告発が事実なのか、まずサイトのコンテンツと約款、プライバシーポリシーをざざっと見てみることにした。すると、ヤバい内容の作品がまぁ出るわ出るわ……。そして、違反作品の通報体制に関して、問題視されていたことが事実だと自分で確認。また、『テラーノベル』の評判について遡ってみてみると、違反した事例を取り下げまでをまとめた記事がいくつか出てきた。これが興味深くてついつい読みふけってしまったのも、時間を取られた理由だったりする。
 その上で、『テラーノベル』の企業風土について盛り込むとより良いと考えた。その過程で「ん?いつの間に社名と代表が変わっている?」と気付いて、過去のプレスリリースを掘ってみて、エンジニアサイドの取材記事などを参照して、「これは入れた方が良いな」と判断した。ここまでで約1時間。
 執筆に関しては、『テラーノベル』に言及したツイートや評判を引用しつつ、二次創作への表現への配慮(「夢小説」というワードを使うべきか否か、など)を気をつけつつ、書きながら数度見直すことに。自分的には「これで大丈夫かな」と納得できたところで、各所に連絡して手離れさせた。
 『テラーノベル』に関して、掘ろうと思えばいくらでも掘れただろう。いきなり違反作品を公開しているアカウントにコンタクトを取ってみるとか、関係者への取材を申し込んでみるとか、さまざまに想定できる。ただ、まず速報性を優先させるべきだという理由と、何より「60分ルール」をすでに過ぎているということで、とりあえずはFIXにした。今後の『テラーノベル』の動向次第では、再度取り上げるかもしれないが、そうなった場合にはもう少し踏み込んだ記事にする方向に動くことになるだろう。いずれにしても、心理的コストの高い案件だといえる。

 このように、取材をしてすぐに記事化できるケースもあるし、「こたつ記事」でも手間がかかる場合もある。そのために、「60分」という「ものさし」で時間の使い方とパフォーマンス(これは自分自身と、コンテンツ自体の双方が含まれる)を測ることを意識して作業するようになると、不思議と余裕も生まれてきた。実際、以前よりこの『note』を書けるようになったしね!

 とりわけネットメディアでお仕事をしていると、オンとオフの切れ目が曖昧になりがちだ。今でもプライベートの時間でも基本的に来たメールやメッセージに対しては即レスするようにしているし、ぼんやりとニュースを見ている時に突然ネタが振ってくることもある。
 ただ、「執筆/編集」の時間と自分の方からメッセージを投げるなどの「アクション」は、「1日に5時間まで」にしようと努めていることで、夜は前よりもちゃんと眠れるようになって、だいぶ規則正しい生活を送れるようになった。

 あとは、以前のように「目標月100本!」みたいな色気を出さなければそれでいいかな? むしろ月40本程度のパフォーマンスしか出せなくても「まぁいいか」みたいに割り切れるようになるのが、次のフェイズになるだろうか。それには「極端に収入が落ちない」という但し書きが付くけれど!

 そんなこんなで。これからJリーグとF1ハンガリー予選を観たいのでこの辺で。

 

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