ニュースサイトがマンガを記事で紹介する意味
『ガジェット通信』の姉妹サイトで、女子向けの情報を扱っている『オタ女』が設立された当初から関わっていることもあって、Twitterで投稿されている漫画家さんや絵師さんの作品を紹介する記事を出させて頂くことも自分のお仕事のうち(まぁ、趣味の領域でもあるのだけど)。商業誌掲載作品なら『コミックナタリー』『ダ・ビンチニュース』あたりが強いし、紹介している本数や幅でいえば『マグミクス』が網羅されている。話題性のある作品への瞬発力となると『ねとらぼ』が断然だろう。今では『スマートニュース』の「マンガ」タブでも直接読める。いずれにしても、いろいろなニュースサイトがTwitterの漫画を記事として取り上げているという現状がある。
ここでは、「それのどこが“ニュース”なの?」という人に向けて、ネットメディアが漫画を取り上げる意味について、つらつらと考えてみたい。
一番わかりやすいのは、「Twitterで拡散されているから」ということだろう。以前にRTや「いいね」は必ずしも共感ではないということを記したけれど(参照)、どういった作品が「尊い」とか「ワロタ」とされているか、といったものをリプ欄で見てみると、どのような層がマンガに触れているのか、「空気」が掴める。その層のうちの一定数は、コミック誌を買ったりマンガアプリで課金もしないけれど、マンガは好きという人。ここを可視化するというのは、「ニュース」として足り得る。
次に言えるのは、ビッグヒット作やアニメ化、ドラマ化したものだけがユーザーに響いているわけではなく、さまざまな作者さんにファン層がいて、それが偶然目にした人によってさらに広がっているというSNS的な現象は、カルチャーとして記録しておく意義がある、ということだ。自分の場合、可能な限り作者さんに漫画を描いたきっかけや作品についての質問をして記事に盛り込むように努めているのだけど、商業で打ち切られていたり、「とにかく好きで描き続けている」というパッションのあるお答えを頂いたり、いずれにしても作品のバックグラウンドが詳らかになれば、現代のマンガ文化の裾野の広さや作者さんの「想い」を後世に残すことが出来る。いずれにしても、コミック誌「だけではない」カルチャーが「ある」ということは「情報」としての価値がある。その作品単体はもちろんだけど、クリエイターの数が尋常ではないということそのものが、文化の豊かさの指標になっているということはデカいと思う。
あと、これは些細な事ではあるのだけど、Twitterの場合では画像をクリックして大きく「ページ」を表示させて閲覧するというUIになるが、『ガジェット通信』の場合では一つの記事ですべての画像が表示できるので、読者にとってはアクセスすればスクロールするだけで全てのページが見れるようになる、という面もある。これは願望も入るが、「マンガ専門サイト」ではないために、偶然目にしてその作品が気に入るというケースも多少あるのでは、という要素もあったりする。それが漫画家さんや絵師さんには一番の還元になると思うし、何らかのステップアップの機会になることができたら「嬉しいな」と思っている。できれば将来的に「あの作家さんを取り上げさせてもらったことがあるんですよ」と自慢させてほしいしね(笑)。
なんとなくとりとめなくなったけれど。Twitterやpixiv、Kindleのインディーズマンガなどは、「現代」の空気感と、ユーザーが何を指向しているのか、ある程度の目安にはなるので「ニュース」になり得るし、なによりも多くの作品に触れられるという楽しさがある。その上で、クリエイターの皆さんが「次」に進めるような機会を提供できれば最高だろう。なので、これからも自分が「良い」と思った作品は積極的にピックアップし続けていきたいし、突然メールやDMなどを送られても構えないでやさしくしてほしいな~と思う次第です。