「よいライター」は「いなくない」

 やばい。非常にやばい。今月締切もしくは公開しなければいけない案件が6本…。本日中に2本は目処がつかないと、土俵際に追い込まれる。三戸なつめちゃんの曲調で「原稿を持ちすぎた~♪」とリフレインしている。ほんとうに、まずい。まずいのでちょっと現実逃避。

 最近、というか、もう何年も「良いライターはいませんか?」といろいろな人に聞かれる状態が続いている。

 相手は紙・ネット媒体の編集部だったり、ライター同士の会話だったり、さまざまなシチュエーションがあるのだけれど、前者の場合は「媒体に合った」という枕詞がつくので乏しい僕の人脈ではなかなか合致する人材が思いつかなかったりするし、後者の場合「よく読む記事の書き手」はだんだん固定されていくので、「世に知られていないけれど腕のある書き手」という意味になる。こちらも乏しい僕の交遊歴や低いアンテナではなかなかすぐに名前は出てこない。なので、「いやぁ…」とお茶を濁すことになる。

 とはいえ、僕はいち書き手としてだけでなく、『ガジェット通信』( http://getnews.jp/ )では「デスク」という立場でもあるので、より「編集」に近い振る舞いを求められることもある。そういう立ち位置でものを考えた時に「よいライターがいない」と言うのは、ちょっと怠慢なのではないか、と思うようになった。

 『ガジェット通信』には、『連載jp』( http://rensai.jp/ )というサテライトサイトがあって、応募して審査に通ったライターにアカウントを渡して記事を寄稿してもらう「ウェブライター」という制度がある。

 http://getnews.jp/anews

 「ウェブライター」の段階では原稿料なしでお書き頂くのだが、希望者でクオリティの高い記事を書ける方には「リモートライター」として原稿料を支払うライターさんになってもらう、というライターファームとしての機能も担っている。

 僕は、このウェブライターさんやリモートライターさんの記事を見る役割もあるのだけれど、彼らのスキルはさまざまで、また得意分野もそれぞれ異なる。そういった方々の記事を、内容を確認しつつコミュニケーションしながら、『ガジェット通信』で配信できるコンテンツにまでしていく、ということが、メディアとしての多様性を担保していく、と思っている。

 多くの人の場合、ライターは「兼業」でバックボーンをお持ちなので、それを活かしつつ、新しいジャンルにも挑戦してもらう、というのが理想なのだけど、言うは易しで簡単ではない。ライターさん自身の資質や志望もあるし、「編集」としての僕の力不足もある。

 だから、2016年に入っていくつかの目標を立てた時に、「よいライターがいない」と言うのはやめよう、と思った。それはメディアあるいは編集部が、人材を活かしきれてないからだ。アンテナを高くして、今あるリソースを大事にするところからはじめようと気持ちを律しつつ、「編集」としてのスキルを勉強させてもらっている、ということを忘れないようにしよう、と肝に銘じることにした。

 だから、今年は「よいライターはいませんか?」と言われた時に、「『ガジェ通』にはスキルのあるライターがたくさんいます」と返せるようにしたい。そのためにどうすればいいのかも、考え続ける一年にしたいと思う。


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