「冷静だね」と褒められて主治医にブチ切れた【出産レポ①】
娘が我が家の仲間入りをし、3人家族となって
早7ヶ月。
暴れん坊将軍の呼び名がつくほどお転婆娘に成長しており、日々母はボロ雑巾のように疲弊していますが、ここらで出産当日を振り返ってみたいと思います。
2024年、3月某日。午後2時過ぎ。
気温は一桁。未明から降り積もった雪が昼の
日差しに照らされるも、溶けようともしない寒さの中、私は猛烈に怒っていた。
誰に?
主治医にである。
年齢はたぶん40代後半〜50代前半。
ジャムおじさんを連想させる温厚な主治医は、
いつも通り人の良い笑みを浮かべながら言い放った。
「私の話を冷静に聞けるようじゃ、まだまだ」
「今日中には産まれないかもねぇ〜」
いやいやいや。
未明に破水して、そこから10時間以上どんどん陣痛来てるんだけど。
痛みを測るメーター、朝からずっと100超えてるんだけど。すでに160いってるけど。
これって、100が最高じゃないの?私、死ぬのでは?
「そうですか…」痛みを押し殺しながらうなずく。
「一応内診しよっか…うん、4cmだね。じゃあ診察戻るからもっと痛くなったら呼んで」
ニコニコしたまま、無情にも診察に戻ってしまった。
「そんなことある!?」
閉まった陣痛室の扉を睨みながら、傍らにいる夫に八つ当たり。
夫はというと、「まだか〜痛いねぇ〜」と言いながらどこからか取り出した「御安産」と書かれたうちわを手に、怒る私をあおぐのみ。
白地に赤い字で書かれた「御安産」の3文字が、さらに怒りを倍増させる。
1日3食、どんなに体調が悪くても欠かさず、食べることが大好きな私が食欲がなく、産院の昼ごはんを食べられなかった。
せめてもと食べたデザートの杏仁豆腐は直後、
様子を見にきた助産師さんに全てぶちまけた。
それも助産師さんの顔にである。
それなのに、まだ?
「大人だから叫ばず、先生の話をちゃんと聞こうと必死で
堪えてたんだろうが!ふざけんな!!!」
(3月某日、午後2時過ぎの私)
ぶっちーん。
陣痛の波が来たタイミングで、怒りの波もやってきました。津波級。
大人だから、第一子だから、叫ばず、取り乱さず、スマートにするっと生もう。
そう思って妊娠中からYouTubeや本で情報収集を続け、年明けからは毎日欠かさずヨガと呼吸法の練習をしてきた。
陣痛中、四つん這いになったまま夫にトゲトゲボールで尻を押されるという恥ずかしすぎる体勢にも叫ばず、逃げず、耐えてきた。
その努力がすべて、水の泡。
「こんなに頑張って相槌打って話聞いてたのに、だからまだまだだね〜って何!?先生は子どもを産んだことがないからそう言えるんでしょ…」
怒りに任せて夫に八つ当たりしまくる。今考えると先生にも失礼だ。
沸騰し続けること10分、大声が止まらなくなっていることに気づく。
「うぁ〜!もお〜!まだ〜!」
まるで野獣の咆哮である。
さすがに様子がおかしいと、夫がナースコールをし、助産師さんが様子を見にくる。少し杏仁豆腐の匂いを漂わせながら。
「さっき見たばっかりだけど、一応診よっか。
…え、子宮口9センチ!!!急いで、旦那さん荷物持って、先生診察中だけど他の先生間に合うか、ちょっと電話してー!!」
急にバタバタし出す陣痛室。
「分娩室まで歩ける?」
怒りが引き金となったのか、急激に進んだ陣痛。
想像していたスマートで穏やかな出産からは程遠かった。
…【出産レポ②】に続く↓