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新規事業の共通課題:規模の違いを超えた放送局とスタートアップの視点


はじめに

弊社代表の朝倉が登場する対談記事をお届けします。
今回は、弊社のマーケティング戦略立案を依頼しているマーケティングプロ人材の土屋様を通じて、中京テレビの工藤様とのご縁をいただきこの対談が実現しました。
土屋様にはファシリテーターとしてご参加いただき、双方の視点から新規事業の課題や解決策について深掘りしていきます。

対談者プロフィール


中京テレビ放送株式会社 ビジネスプロデュース局 ビジネス開発グループ
工藤 祐馬(クドウ ユウマ)
神奈川県出身。1988年生まれ。
早稲田大学社会科学部卒業。新卒で中京テレビ放送株式会社に入社。
番組やイベントのプロデュースを経て、現在は新規事業のプロジェクトマネージャーを担当。
メタバース研修「社員クエスト」、動画コンテンツを活用した母集団形成サービス「採用TV」など、エンタメを活用したHRサービスを開発。
マーケティングプロ人材
土屋健司(ツチヤ ケンジ)
2012年2月株式会社linK supporTersを設立し、プロ人材として20社以上の受注実績。
Webマーケティング、EC、建設業界、人材業界など多岐にわたる業界に参画。
インサイドセールス、事業開発、海外展開の分野と幅広く対応。
株式会社パースツリー 代表取締役 / CEO
朝倉 雅博(アサクラ マサヒロ)
ホテル基幹システム・価格推移・競合分析など、
ホテル・旅館向けの新規事業開発を約15年経験した後、
2016年からフリーランスエンジニアとしてスタートアップ企業の開発支援を中心に活動を開始。
2022年、株式会社パースツリーを設立し、
"0からのスタートを支援する"をコンセプトにサービス開発支援に従事。
最近では、生成AIを取り入れたシステム開発に力を入れている。

1. 新規事業立ち上げの背景

土屋様:

「早速ですが、お二人に新規事業を立ち上げた経緯をお聞きしたいと思います。まずは工藤さんからお願いします。」

工藤様:

「私たちは、自社の強みを活かして新しい市場に挑戦するために新規事業を始めました。
テレビ局は長年、『どうしたら人の心を動かせるか』を考えながらエンターテイメントを作ってきました。
今度は、そのノウハウを活かして、企業課題、ひいては社会課題を解決しようと思い、法人向けのソリューション開発を行っています。
私が着目したのは、企業が抱える社員育成や離職の問題です。
日本では多くの企業が人材難や人手不足に悩んでいますが、エンゲージメントを高めることで離職率を減少させ、生産性を向上できると信じています。
この『社員クエスト』を通じて、人材育成のと定着を推進していけると思っております。」

中京テレビの社員クエスト

土屋様:

「なるほど、工藤さんの視点からの強い意欲が伝わってきますね。では、朝倉さんはいかがでしょうか?」

朝倉:

「私も同様に、自社の強みを活かして新しい市場に挑戦しました。
新規事業を立ち上げるにあたっては、自社の理念を体現したいという強い想いがありました。
私たちが提供するサービスが社会にどう貢献できるかを考えると、今の時代には柔軟な対応力や多様性を持ったサービスが求められています。
そうしたニーズに応えることが私たちの使命です。」

パースツリーのSmallDR

2. 情熱と使命感

土屋様:

「それぞれの情熱や使命感が伺えました。新規事業を立ち上げる際に、具体的にはどのような情熱がありましたか?」

工藤様:

「私たちが提供するサービス『社員クエスト』が属する社員研修の領域には、アップデートが必要だと考えています。日本では、多くの業界や企業が人材不足に悩んでおり、エンゲージメントを高めることが離職率の低下や生産性の向上につながるという研究結果が多数存在します。
このため、私たちは『社員クエスト』を通じて、これらの社会課題を解決するお手伝いをしたいと思っています。」

朝倉:

「私たちの新規事業は、単にビジネスを拡大するためのものではなく、自社の理念を実現するための重要なステップと位置付けています。
私たちは、市場の変化や顧客のニーズに応じて柔軟に対応し、提供するサービスやプロダクトを進化させることが必要だと考えています。
このアプローチにより、顧客の期待を超える価値を提供し、結果的に社会全体にポジティブな影響を与えることを目指しています。
私たちの事業は、顧客との信頼関係を築きながら、より良い未来の実現に寄与することを念頭に置いています。」


3. 直面した課題とジレンマ

土屋様:

「新規事業を進める中で直面している課題やジレンマについて教えてください。」

工藤様:

「商談を進める中で、企業は研修の重要性を理解しているものの、現時点での行動を急いでいるわけではない状況です。
このため、研修の必要性やエンゲージメント向上の重要性を伝えることが、私たちにとって大きな課題となっています。
その一方で、課題意識の高い人事担当者には、私たちの提供するソリューションがしっかりと響く部分があります。
そのため、同業他社や同規模の企業での成功事例を示すことが非常に重要だと感じています。
しかし、依然として『メタバース』は多くの企業にとって身近な概念とは言えず、研修プログラムとの融合に対する理解や納得感を得ることが大きな課題となっています。」

朝倉:

「私たちも、初期ユーザーからのフィードバックを活かしながら柔軟に対応することと、事業ビジョンを維持することのバランスを取ることに苦心しています。
顧客ニーズは日々変化し、多様化しているため、それにどのように応えていくかが今後の大きな課題となっています。
特に、ユーザーからの意見を反映させることでサービスを進化させる一方で、私たちの理念や方向性がぶれないようにする必要があります。
この微妙な調整を行うことで、私たちの提供する価値を最大化し、持続的な成長を目指しています。」


4. 成長のための重要なポイント

土屋様:

「新規事業を成長させるために最も重要なことは何だと思いますか?」

工藤様:

「新規事業を成功させる近道は、実績の質と量だと思います。
特に、我々のサービスのコアの部分を求めているファーストユーザーをどう捕まえるか、そして、彼らからいかにホンネのフィードバックを収集するかが重要だと思っています。
なぜなら、大半のお客様は見ず知らずの商品をすぐに導入することはなく、
他社がどのような恩恵を受けたかを理解することで、ようやく食指が伸びるからです。
お客様も、自身の課題やニーズを言語化できていないことも多いので、
他者の例を知るとグッと解像度が高まり、サービスに対して深い関心を持っていただけると思っています。」

朝倉:

「私も工藤さんの考えに賛同します。
初期ユーザーからのフィードバックは、私たちの事業を進化させるために非常に貴重です。
ただし、すべての意見に対して対応する必要はないと感じています。私たちの目標は、サービスを市場に展開することですから、まずはしっかりとした基盤を築くことが最優先です。
その基盤の上で、ユーザーに実際に価値を提供し、信頼を得ることが重要です。
顧客のニーズや意見をしっかりと受け止めつつ、自社のビジョンや方向性を守りながら、持続可能な成長を目指すことが大切だと考えています。」


5. 今後の展望

土屋様:

「今後の新規事業の展望についてお聞かせください。」

工藤様:

「私たちの目標は、現在提供しているプロダクトやサービスをさらに磨き込むことです。
そのためには、ユーザーからのフィードバックを大切にし、実際の利用状況をしっかりと把握する必要があります。
市場の反応を見極めながら、私たちのサービスが真に求められているものかどうかを確認し、必要に応じて改善を続けていく考えです。
このプロセスを通じて、より多くのユーザーにご満足いただけるよう、同じ課題をもつ顧客に広げていきたいと考えています。最終的には、「社員クエスト」が社員研修のスタンダードになるような未来を夢見ています!」

朝倉:

「私たちも新たな機能やサービスを追加し、事業のさらなる拡大を図る計画を立てています。
市場のニーズは常に変化しているため、私たちのサービスもそれに応じて進化していく必要があります。
顧客の声を反映させることは非常に重要であり、特に初期ユーザーからのフィードバックは、我々の製品開発にとって貴重なインサイトを提供してくれます。私たちは、このフィードバックを基にサービスを改善し、より魅力的な提案を市場に届けることで、顧客にとって価値ある存在となることを目指しています。」


土屋氏による総括:新規事業成功のための共通点

今回の対談から見えてきたポイントは以下の3つ。

  1. 自社の強みを活かすこと
    新規事業を立ち上げる際には、自社の強みをしっかりと理解し、それを最大限に活かすことが成功の鍵となります。両者がそれぞれの会社の特性や能力を基に市場に挑戦する姿勢は非常に印象的でした。自社の強みを把握し、それを活用することで、競争の激しい市場においても差別化を図る戦略を取っています。このようなアプローチが、新規事業において持続的な成功を収めるために不可欠であると再認識させられました。

  2. 初期ユーザーの重要性
    初期ユーザーからのフィードバックは、新規事業の成功に欠かせない要素です。ユーザーの貴重な声をしっかりと反映させることが、サービス改善において重要な役割を果たします。ただし、その一方で、自社のビジョンや理念を守ることも同様に重要です。この2つのバランスを取ることが求められます。初期ユーザーの意見を真摯に受け止めつつも、自社の目指す方向性を見失わないようにすることが、新たな価値を生み出す上での大切なポイントです。

  3. 市場の変化に柔軟に対応すること
    新規事業を進める中で、顧客ニーズの変化に対して敏感であり続けることが非常に重要です。特に、テクノロジーの進化や市場環境の変化は急速であるため、それに迅速に対応できる力が競争優位性を生む要因となります。企業は常に市場の動向を注視し、新たなチャンスを逃さないよう努める必要があります。このような柔軟性と適応力は、他の企業でも応用可能な重要な要素であり、新規事業に取り組む際にはぜひ意識して取り入れていただきたいポイントです。

これらのポイントは、新規事業に取り組む企業にとって非常に有益な洞察を提供するものです。参考にしていただければ幸いです。


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