家事と労働の境界線 #科学系ポッドキャストの日【考える農みそ】
#科学系ポッドキャストの日
共通テーマ「境界」
農家って、お給料をもらっているわけではありません。だから、給料に差が出るわけではない。でも、草取りは女性がやるし、トラクターは男性が乗る。この違いはなんだろう…。
そんな疑問から、男女の仕事の境界線について考察してみました!
【トーク内容】
・科学系ポッドキャストに参加します!
・博士論文を成仏させます
・家事労働論争っていうのがありました。
・農村に注目する理由
・都市部と農村部を別ける理由
・北海道の農業は専業農家が多い
・北海道の農風景を想像してみる
・労働の境界線は機械作業ではないか?仮説
・仮説を変えて考える。
・集落営農と個人経営の境界線が違うことを発見
・お便り紹介 アメゴー:ワラちゃん
・センシティブな内容でも取り上げる理由
【台本】
■家事労働論争
女性学やフェミニズムとして、家事労働論争というものがおきたことは知っていますか?
日本では「なぜ家事には給料が発生しないのか?」という疑問に答える形で発展しました。
世界的にも、そして日本でもその論争は起きました。
ということで!
本日は、それに触れませんww
なぜなら、このテーマはある程度議論され尽くされているからです。ただ、私はその発展編として農村を研究してきました。
私は、農家の仕事と家事労働について言及したい!
そして、これは私の博士論文の一つのテーマでもあります。
30分で話しきれる内容ではないので、説明不足になる点ご容赦願います…
■はじめに
広い農地を想像してみてください。トラクターが走っています。そのトラクターは、ポテトハーベスターを引っ張っていて、馬鈴薯の収穫の真っ最中です。ポテトハーベスターの上ではジャガイモの選別をしている人が1人います。
想像できましたか?
では、トラクターを運転している人の性別はどちらでしたか?
そして選別作業をしている人の性別はどちらでしたか?
なぜそうなるのかについて研究しました。
■機械作業=男性 ?
確かにトラクターに乗るのは男性が多いです。しかし、女性がトラクターに乗る例も多く見られます。
ただ、ある地域だけ、女性が一切トラクターやトラックに乗らない地域がありました。
それは、集落営農が発達している地域です。
私はこれをヒントに境界線を見出そうとしました。
■社会との関わり
アンケートを取りました。
どんな作業であれば、自分が担当するか。どんな作業には口出しをしないのか項目ごとに分けて聞きました。
すると、農協との営農計画書の作成やトラクターの購入には、女性は関与しないことがわかりました。
つまり、農協や業者とやり取りが発生する仕事に女性が介入しないということがわかりました。
そこから、集落営農の女性たちはなぜトラクターに乗らないのかを考察します。
■集落営農の女性はなぜトラクターに乗れないのか
それは、トラクターは集落営農で所有しているものだからです。
集落で所有しているということは、家族以外の他者が介入しなければトラクターを使えません。
農協や組合というのは、営農の効率化の反対で農家の女性を排除する仕組みでもあるわけです。
トラクターに乗っている女性は、皆さま集落営農ではなく、個人経営をされている方でした。特に、お婿さんを迎えた農家女性は、トラクターに乗る傾向があります。
男系、社会との断絶することとなる分業体制
このようにして、農家女性は農業に対して無知になっていくと考察しました。
【参考文献】
原口智江『農業経営における女性の自立に関する調査研究―北海道畑作地帯の家族農業経営を中心として―』東京農業大学院学位論文,2022年3月.
https://nodai.repo.nii.ac.jp/records/923
上野千鶴子『家父長制と資本制:マルクスフェミニズムの地平』岩波現代文庫,2009年5月.