水とエーテルと量子場脳理論 Vol.6
執筆:ラボラトリオ研究員 杉山 彰
脳における記憶の場としての「量子場脳理論」
梅沢博臣博士※1と高橋康博士※2、そしてカール・プリブラムの三人は、記憶や意識などの高度な機能の本質的な部分は量子の世界にあるという、脳と心に関する「量子場脳理論※3」を提唱した。
現在の生物学では、記憶や意識は脳のニューロンの中を行き交う電気的な信号や、化学的な信号によって生まれるとされているが、それは本質的な部分ではないという。
人の心は、脳細胞の内側と外側に広がった2種類の量子場で繰り広げられる現象により生み出されるという。神経細胞の集まりである脳には、常に電子や光子が流れているため、電磁場あるいは光子の場ができていて、記憶を蓄えた脳組織から絶え間なく生み出されるエバネッセント光子(隠れ光子/質量を有する光子)の凝集体が心だと主張している。
このエバネッセント光子は、普通の光とはまったく違う光で、重たくて、ある種の物質のまわりにまとわりついていると言う。この光が脳細胞の内外に広がる水の水分子の電気双極場のなかで活躍することで、心が生まれると主張している。
また、カール・プリブラムは、脳のプロセスが量子の水準で起こり、脳内の樹状突起ネットワークが量子コヒーレンス※4によって足並みをそろえて動作していることを示している主張している。
さらに、ハイゼンベルクの不確定性原理※5によれば、どのような粒子も完全に静止することはなく、あらゆる原子の中の物質と相互作用をし続ける基底状態のエネルギー場によって、粒子はつねに運動状態にあると言われている。これは宇宙の基本的な構造が、現在までに知られているどのような物理法則によっても消すことのできない、量子場の海であることを意味していた。
私たちの脳の中もまた、同じように電子や光子が絶え間なく運動状態にあり続けている、量子場の海といえる。絶え間なく動き続ける量子場の中で粒子が生まれ、このような粒子が集まることで物質世界ができていて、電子や光子が絶え間なくやり取りをしている脳で意識が生まれることで心ができていれば、どちらの場も運動状態のエネルギーで溢れていることになる。
宇宙全体にあまねく存在し、運動する量子場の海の中に私たちも存在していて、同じように脳の中も量子場の海であれば、相互に作用しあい共振共鳴しあう関係にあり、からみあい(量子エンタングルメント※6)があるといえる。私たちが脳で何かを考えれば、その考えは波動となって周囲の量子場に影響を与え、その波動の動きにしたがって状況が変化して、物質や肉体の波動、あるいは周囲の人の思考にも何らかの変化が起こることが予測できる。
あらゆるものは分割不可能な全体として存在するという、ホログラムがここにも観察できることになる。宇宙には、この物質世界すべてを生み出した光のエネルギーや、強い意志や法則や秩序などの情報が波動として畳み込まれている。デービット・ボーム※7が言うように、あらゆるすべてがホログラフィーであるなら、私たち自身も宇宙の断片として存在しているのだから、宇宙の情報のすべてが私たちの脳の中に畳み込まれたホログラムと言える。
プリブラムは、「我々の脳は、ある数学に則り<具体的>実存を創り出すが、それは別の次元、時空間を超越しながら、有意味でパターン化されている第一次的な実在領域からの、振動数を解釈することによってなされる」と主張している。また、プリブラムは、脳はホログラフィック(完全写像法的)な宇宙を解釈するホログラム(完全写像記録)であるとも主張している。
※1.昭和25年名古屋大学理学部助手、英国留学を経て、30年東京大学理学部助教授、35年教授。40年イタリアのナポリ大学教授に転出し、次いで米国ウイスコンシン大学、さらにカナダのアルバータ大学と転じて物理学教室キラム・メモリアル教授。論文「脳における学習と記憶のプロセスは場の量子理論で説明できる」など、脳に挑戦した量子論の大家。著書に「素粒子論」「Thermo Field Dynamics and Condensedstates」(共著)などがある(出典コトバンク)
※2.1951年(昭和26年)、名古屋大学理学部卒業。1954年(昭和29年)、フルブライト留学で渡米。ロチェスター大学へ進む。その後、アイルランド高等科学研究所を経て、1968年(昭和43年)にアルバータ大学教授に就任。「場の量子論」において対称性の原理を表現する最も基本的な関係式といわれる「Ward-高橋の恒等式」を導き出したことで知られる(この業績により、2003年日本物理学会・素粒子メダルを受賞(出典ウィキペディア)。
※3.梅沢博臣の1978年、79年の論文に起源を持つアプローチ。量子脳力学(Quantum Brain Dynamics)と呼ばれ、現在治部眞里、保江邦夫などが研究を行っている。場の量子論を使って、神経細胞の間隙にある水を巨視的凝集体としてみて、記憶の素過程などを明らかにしようとするものである。目だった哲学的な含意や理論的飛躍は特になく、量子脳理論とよばれているものの中ではおそらく最も普通である(出典ウィキペディア)。
※4.量子コヒーレンスは、量子系の主要な非古典的特徴の1つである。レゲット-ガーグ不等式(Leggett-Garg inequality:LGI)や量子トモグラフィーなどのプロトコルを用いて、所与の系における量子コヒーレンスや量子ダイナミクスの存在を検証できるが、固有の「量子性」を明確に検出することは、実験の実現可能性や効率の点で、特に複雑な系において、依然として深刻な困難に直面している。(出典Scientific Reports)
※5.量子力学における粒子と波動の二重性を古典論的な立場から理解するため,ウェルナー・カルル・ハイゼンベルクが導いた原理。たとえば一つの電子の位置 x と運動量 p を測定したとき,その不確かさをそれぞれΔx,Δp とすると,ΔxΔp≧h/4π(h はプランク定数)という不確定性関係が成り立つことが示される(出典コトバンク)。
※6.量子エンタングルメントとは、離れた系の量子力学的な相関である。量子の世界では二つの粒子が離れても繋がった関係にあることがある。エンタングルした二つの光子では片方の特徴が決まるともう一方もそれに応じて決まる。例えばエンタングルした二つの光子が遙か遠方に離れても一方の偏光方向を測定するともう一方の偏光方向も同時に決まってしまう。つまり離れていても繋がっているとしか考えざるを得ない事象である。そのつながりの強さがエンタングルメントの強さになる。いろいろな定義があって理論上の統一を見ていないが、大ざっぱに言って0%がエンタングルメント無し、100%が完全なエンタングルメントを表している。
(出典 https://www.jst.go.jp/pr/info/info112/yougo.html)
※7.理論物理学、哲学、神経心理学およびマンハッタン計画に大きな影響を及ぼした、アメリカ合衆国の物理学者。著書に「全体性と内蔵秩序」等がある(出典ウィキペディア)。
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【杉山 彰(すぎやま あきら)プロフィール】
◎立命館大学 産業社会学部卒
1974年、(株)タイムにコピーライターとして入社。
以後(株)タイムに10年間勤務した後、杉山彰事務所を主宰。
1990年、株式会社 JCN研究所を設立
1993年、株式会社CSK関連会社
日本レジホンシステムズ(ナレッジモデリング株式会社の前身)と
マーケティング顧問契約を締結
※この時期に、七沢先生との知遇を得て、現在に至る。
1995年、松下電器産業(株)開発本部・映像音響情報研究所の
コンセプトメーカーとして顧問契約(技術支援業務契約)を締結。
2010年、株式会社 JCN研究所を休眠、現在に至る。
◎〈作成論文&レポート〉
・「マトリックス・マネージメント」
・「オープンマインド・ヒューマン・ネットワーキング」
・「コンピュータの中の日本語」
・「新・遺伝的アルゴリズム論」
・「知識社会におけるヒューマンネットワーキング経営の在り方」
・「人間と夢」 等
◎〈開発システム〉
・コンピュータにおける日本語処理機能としての
カナ漢字置換装置・JCN〈愛(ai)〉
・置換アルゴリズムの応用システム「TAO/TIME認証システム」
・TAO時計装置
◎〈出願特許〉
・「カナ漢字自動置換システム」
・「新・遺伝的アルゴリズムによる、漢字混じり文章生成装置」
・「アナログ計時とディジタル計時と絶対時間を同時共時に
計測表示できるTAO時計装置」
・「音符システムを活用した、新・中間言語アルゴリズム」
・「時間軸をキーデータとする、システム辞書の生成方法」
・「利用履歴データをID化した、新・ファイル管理システム」等
◎〈取得特許〉
「TAO時計装置」(米国特許)、
「TAO・TIME認証システム」(国際特許) 等