ナレッジ憲章から “情報憲章” へ〜2020年4月28日 はふりめく〜
講 話:一般社団法人 白川学館代表理事 七沢賢治
要約編集:Parole編集部 文責 大野靖志
【こちらの記事は全文を無料公開させていただいています】
Q.
今回のGコードは祝殿と受講生の皆さんをネットでつなぎ、オンラインで講義をおこなったが、最近の情報化社会のことや新型コロナウイルスに関することなどお伝えでき、良かったと思う。またオンライン講義をおこなってみて、受講者の皆さんのお顔をリアルタイムで拝見しながら、「みんなわかっているのだろう」と感じた。もともと無意識でわかっていることを、改めて確認しているといったような。その中で、これからは情報の伝わるスピードがますます早くなるということも実感でき、非常に有意義な時間であった。
A.
今回Gコードをやらせていただいて、イベントをおこなうと必ず恩恵があるということを改めて感じた。ともかく「一度情報を出してみる」ということが重要で、出してみてはじめてわかることや見えてくることがあるからだ。またそのことによって進化も起こり、確実に何かが変わるということも実感できる。
変わるという意味でいうと、今世界は、一気に”大変化”へと向かっている。
我々は、ITの完成が知識時代の変革という意味で、情報を扱う際のひとつの明確な指針として、今から20年ほど前に「ナレッジ憲章」というものをお出しした。しかし十年一昔というように、あっという間に時が経ってしまったので、今はこれから本格的な情報化社会を迎えるにあたっての、新たな指針を立てることが急務であると考えている。
具体的には、アナログからデジタルの社会に本格的に移行する際に、人々がどのように情報を扱い、どのように発信するのか?といったことを定義するための、いわば、情報憲章のようなものが必要であると。
そういった意味でも、今回のGコードではひとつの大きな成果を得ることができたと思う。大野さんも「私がお伝えした情報は、すでに受講者の皆さんも無意識のレベルで知っていたのではないか」という印象を受けたといっていたように、それはひとつの象徴的な例であると思う。
要するにこれからの時代は「情報が瞬時に伝わる」ということが、ごく当たり前に起こってくるということだ。またこのことは、先生から生徒へ情報が届けられるという一方向の学びを超えて、発信者と受信者のあいだで同時共時に通信が起こり、双方向の情報伝達のあり方に変わる、ということを示唆するものでもある。
そしてこのように、より良い情報伝達のあり方が問われるなかで、さらにその先には、その学びのなかから導き出される人の生き方や姿が喜ばしいことであり、なおかつ美しいものでもあると。さらに、ともに高め合うことによって、一人一人が「真・智・善・喜・美」の世界をありありと感じられるような社会のあり方というものを、我々は目指さなければならないと思う。
この2〜3年の大変革の時を乗り越えた先、2023年くらいからはいよいよ「自分たちはどのように生きるか?」という命題を一人一人が真剣に考え、決めなければならない時がやってくる。その時に、我々が構想している銀河運動装置ではないけれども、やはりITや装置というものが、単に便利で効率がよく、使い勝手のよいものを追求するのではなく、それを使うことで真の美しさや心地よさ、また喜びといったものを感じられるようなものをお届けするということが、非常に大切なテーマになってくると思う。
その時のためにもやはり、全体を鳥瞰するような情報憲章のようなものをしっかりと整えて、明確な指針として示すことが必要であろう。
Gコードはまだ始まったばかりであるが、「統合」の学びのなかでしっかりと足元を固めつつ、同時に我々は、一歩先の未来を見据えて今やるべきことをしっかりとおこなっていく、ということが大切である。
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【七沢賢治プロフィール】
1947年 山梨県甲府市生まれ。早稲田大学卒業。大正大学大学院文学研究科博士課程修了。伝統医療研究、哲学研究、知識の模式化を土台とした情報処理システムの開発者、宗教学研究者。
言語エネルギーのデジタル化による次世代システムの開発に携わる一方、平安中期より幕末まで白川伯王家によって執り行われた宮中祭祀や神祇文化継承のための研究機関である一般社団法人白川学館を再建。現在、同学館代表理事、株式会社ラボラトリオ 代表取締役などを務めている。
『なぜ、日本人はうまくいくのか? 日本語と日本文化に内在された知識模式化技術』(文芸社)、『神道から観たヘブライ研究三部書』(小笠原孝次著/七沢賢治監修)、『龍宮の乙姫と浦島太郎』(小笠原孝次・七沢賢治共著)など、監修書・著書多数。
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