ウイルスから学ぶ〜2020年4月14日 はふりめく〜
講 話:一般社団法人 白川学館代表理事 七沢賢治
要約編集:Parole編集部 文責 大野靖志
【こちらの記事は全文を無料公開させていただいています】
Q.
ネットでは今、コロナの件で国の対応や医療制度の問題などで、さまざまな批判的な言葉が飛び交っているが、こちらについて先生のお考えをお伺いしたい。
A.
辛い、苦しい、悲しい、といったさまざまな言葉が今、ネット上で散見されるが、これは今のこの状況に不安を抱える人々の率直な思いであり、ストレートな感情の吐露であるように思う。ただ、私はネットで目にするこのようなネガティブな言葉や表現を、これまで「批判」と捉えたことは殆どない。それよりも「今の辛い気持ちや思いを表現しているんだ」と受け止めている。ずいぶんと辛かろうと。
このコロナウイルスは、人から人へ感染していくプロセスで変異していく特質があり一筋縄ではいかないため、「へそまがりなウイルス」ともいえる。
またそのような正体不明のウイルスの特性ゆえに、善悪が混在した情報が、フェイクニュースとして報道されることも、昨今の動きとして顕著であろう。
しかしその一方で、このウイルスがもたらしてくれる人的資産や恩恵といった側面も大いにある。人類は今、そのことにこそ気づかなければならない。
このコロナウイルスは一筋縄ではいかない働きをもっているからこそ、それに必死に対応するために、経済、医療、軍事といった分野の研究がかつてないほどスピーディーに、また大きく変化してることは間違いない。これは、かつての人類史、疫病の歴史を見ても明らかである。
要するに、私たちは「このウイルスから学ぶ」という観点で、この災禍をむしろプラスに捉えた方がよい、ということである。
その時に、真っ先に問わてくるのが、私たちは人としてより良い生き方、人として恥ずかしくない生き方をするとはどういうことか?といった「倫理の問題」であろう。
医療、経済、軍事と問題は山積しているが、最終的には「人としていかに生きるか?」という倫理感、人類共通の指針となるような普遍的な生き方の道を探り、そのことを全体で解決することができなければ、やがて必ず限界がやってきてしまう。
そのようななかで我々は一昨年、病を網羅しデジタルで発信できるシステムを構築し、世界中にあるすべての病に離れていただく、というプロジェクトをいち早く立ち上げ、すでに始動している。この他にも我々のグループの長年の研究の成果として、ギリシア哲学の叡智を単なる方程式としてではなく、多くの人々に役立つことができる、真に使える実体レベルまで高めてきた概念、装置、モノを「統合」し、いよいよ世のために出していく時がきたと感じている。
塗炭の苦しみを世界中の人々が訴えるなかで、それをどう解決していくのか?ということが、我々の最大の使命である。
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【七沢賢治プロフィール】
1947年 山梨県甲府市生まれ。早稲田大学卒業。大正大学大学院文学研究科博士課程修了。伝統医療研究、哲学研究、知識の模式化を土台とした情報処理システムの開発者、宗教学研究者。
言語エネルギーのデジタル化による次世代システムの開発に携わる一方、平安中期より幕末まで白川伯王家によって執り行われた宮中祭祀や神祇文化継承のための研究機関である一般社団法人白川学館を再建。現在、同学館代表理事、株式会社ラボラトリオ 代表取締役などを務めている。
『なぜ、日本人はうまくいくのか? 日本語と日本文化に内在された知識模式化技術』(文芸社)、『神道から観たヘブライ研究三部書』(小笠原孝次著/七沢賢治監修)、『龍宮の乙姫と浦島太郎』(小笠原孝次・七沢賢治共著)など、監修書・著書多数。