幾層にも織りなす日本語
執筆:ラボラトリオ研究員 宮西
日本語とは面白いもので、知れば知るほど発見があり、面白味が増します。
例えば、仮名文字を一回ずつ使った誦文(ずもん)。
・いろは歌
色は匂へど 散りぬるを
我が世誰ぞ 常ならむ
有為の奥山 今日越えて
浅き夢見じ 酔ひもせず
・鳥啼歌(とりなく)歌
鳥啼く声す 夢覚ませ
見よ明け渡る 東(ひんかし)を
空色栄えて 沖つ辺に
帆舟群れゐぬ 靄の中
(その他「大為爾(たゐに)の歌」や「天地(あめつち)の詞」など)
このように、多数の仮名をパズルのように組み合わせて文章を作れる面もあれば、たった一文字・二文字だけで、複数な意味を持つという側面もあり、それがまた、日本語の奥ゆきや魅力につながっています。
う=兎、鵜、卯
あわ=阿波、粟、泡
回文(前から読んでも、後ろから読んでも、同じ文章)で言葉遊びも出来ますし、文章も作ることができます。
宝船回文:
なかきよの とおのねふりの みなめさめ なみのりふねの おとのよきかな
(長き夜の 遠の睡ねむりの 皆目醒めざめ 波乗り船の 音の良きかな)
「名前」での分類は、とても細やかな印象を受けます。
例えば、色の和名や、月の満ち欠けの名前などです。
浅葱色、山吹色、菖蒲色、鴇色、若菜色、桔梗色…
参考:『和の名前と色見本』
新月、繊月、三日月、若月、蛾眉、上弦の月…
他にも、
オノマトペでは、「しーん」など、音なき音まで表現されていたり、
同じ日本語でも地域ごとに言い方の違う方言があったりと、
日本語に関する面白さは本当にたくさんあって、興味が尽きません。
日本語は、一字を分解すると、父韻と母音に分けることが出来ます。
例えば「か」は、「K」という父韻と「A」という母音に分けられるのです。
また、ひらがな、カタカナ、漢字の3種類があることも特徴的です。
臨機応変に、数字や英文字も入れられて、
縦書きにも横書きにもできる、自由自在の日本語。
「言霊の幸ふ国」(ことだまのさきわうくに)
と云われるだけあって、
日本語のことを知るほどに、面白くて本当に奥が深いです。
ふだん当たり前のように存在している言葉ですが、
このようにして見てみると、日本語は、深みもありつつ、
多方面から幾層にも織り重ねられているようにも感じられます。
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【宮西 プロフィール】
ラボラトリオ研究員。
2015年に『和の成功法則 ザ・ワープ』を受講し、日本語の奥深さや凄さを改めて知る。
その後、前の会社を辞めてから七沢研究所とご縁があり、現在ショッピングサイトの運営や販売サポートを担当している。