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言霊よもやま話 Vol.5〈主基(すき)と悠紀(ゆき)〉其の三

原典:『世界維新への進発』(小笠原孝次 著)
編集:新谷 喜輪子 / 監修:杉山 彰

たとえ、どんなに零落しても、不死鳥のごとくに起ち上がる菩薩神人とは?

三千年来、抗争し、死斗を続けているのは此の月と星の世界であって、 金木の主基悠紀の両翼である。この対立斗争は全人類の宿業であって、しかも此の宿業は偶然にあるいは 「忽然念起」(起信論)によっ て発生したものではなく、日の国高天原の天津日嗣の経綸 によって計画的に然あらしめられたものである。世界の淆乱(バベル)は、神エホバ自らの意志と計画によって招来したものであるからには、またその淆乱を収拾することが出来る者は、またそのエホバ自らでなければならない。対立する月と星 、月読 、須佐之男の両世界は、元々唯一の調和した日の世界の内容であったものが、ある時期に高天原から計画的に分離して行ったものであって、その高天原の計画経綸の目的である人類の第二文明である科学が、人間同志の対立抗争、生存競争をその方便、培養基として創造され発達した暁において、二つの世界がその歴史的経営の全収穫を携えて、再び元の日の国高天原の調和の世界に揚棄摂取されることがその経綸の予定である。しかしこの時、その高天原の日の国とは、形而上の生命国家日の本であって、それは眼の辺り見る現在現実の日本のことではない。 現実の日本は第二次世界大戦以来、世界の思想界から蹴り落とされて、現在は政治的に思想的に感情的に全くユダヤ米国の傘下にあり、属国である。

世界の二律背反を解決する、日本に有るはずの鍵である三種の神器の法の存在場所は、現実の日本政府や議会や大学や神社や宗派神道ではない。彼らはその任務使命を持たず、これに気づこうとしない。また、自らの神性、すなわち神勅と神器と高御座とを放棄した以後、憲法の規定によって単なる国家の儀礼的機関に換骨脱胎された天皇家でさえもない。

こうした現在の日本の機構は神武変革以来、崇神朝の和光同塵策以来、精神的霊的に自己閉鎖された、二千年間の天の岩戸隠れの時代における、世を忍んでいる、いわば仮の姿の日本であって、文明の指導経綸者、世界の救世主 天津日嗣が知食す精神的完全国家 、高天原日本の正規の姿ではない。この現 在の霊的にみすぼらしい侘び住まいの日本の中に、人類の文明解決の鍵である三種の神器を尋ねても見出し得ない。

かくして急速に歴史が黄昏(たそが)れて、仮初(かりそ)めの日本の寿命が尽きて精神的に零落しても、天津日嗣の予定が来れば、本来の日本が霊の廃墟の中から不死鳥(フェニックス)のごとく起ち上がる。その本来の日本 人を法華経は従地涌出品(じゅうじゅじゅつほん)の菩薩と呼ぶ。自己の矛盾に狂乱する天津金 木の解決を索(もと)めようとする世界の宗教と科学とそして世界の権力統一の責任者は、その本来の公の日本に涌出する菩薩神人たちをやがて日本の社会のどこかに探し当てることだろう。(つづく)

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【小笠原孝次(おがさわらこうじ)略歴】
1903年 東京都にて生誕。
1922年 東京商科大学(現在の一橋大学)にて、
吹田順助氏よりドイツ文学、ドイツ哲学を学ぶ。
1924年 一灯園の西田天香氏に師事し托鉢奉仕を学ぶ。
1932年 元海軍大佐、矢野祐太郎氏および矢野シン氏と共に
『神霊密書』(神霊正典)を編纂。
1933年 大本教の行者、西原敬昌氏の下、テレパシー、鎮魂の修業を行う。
1936年 陸軍少佐、山越明將氏が主催する秘密結社「明生会」の門下生となる。明治天皇、昭憲皇太后が宮中で研究していた「言霊学」について学ぶ。
1954年 「皇学研究所」を設立。
1961年 「日本開顕同盟」(発起人:葦津珍彦氏、岡本天明氏ほか)のメンバーとして活動。
1963年 「ヘブライ研究会」を設立。
1965年 「ヘブライ研究会」を「第三文明会」に発展。
1975年 「言霊学」の継承者となる七沢賢治(当時、大学院生)と出会う。
1981年 「布斗麻邇の法」を封印するため七沢賢治に「言霊神社」創設を命ずる。
七沢賢治との連盟で山梨県甲府市に「言霊神社」創設する。
1982年 79歳にて他界。

【著書】
『第三文明への通路』(第三文明会 1964年)
『無門関解義』(第三文明会 1967年)
『歎異抄講義』(第三文明会 1968年)
『言霊百神』(東洋館出版社 1969年)
『大祓祝詞講義』(第三文明会 1970年)
『世界維新への進発』(第三文明会 1975年)
『言霊精義』(第三文明会 1977年)
『言霊開眼』(第三文明会 1980年)


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