縄文人に見る “祈りと感謝” の精神文化〜その1〜
執筆:ラボラトリオ研究員 杉山 彰
縄文人は、祈りと感謝の精神文化を頑なに守り続け、1万年もの長きにわたって自然循環型文明を築きあげてきた。
「縄文とは何か?」の始まりは、小林達雄氏が著した「縄文の思考」からの引用を始まりとしたい。
小林氏は「日本列島に人類が姿を現したのは、一体、いつのことか。人類学・考古学の最大の関心事ではあるが、依然としてその詳細を見極めることはできない。少なくとも約3万年前から1万5000年前までの、いわゆる後期石器時代に相当する遺跡は北海道から九州まで、1万ヶ所近い多数が発見されている。
旧石器人が天から降ってきたり、地から湧いてきたりするわけはないのであるから、必ず先遣隊がいたに違いない。また、約3万年以前の日本列島各地には、ナウマンゾウやオオツノジカやバイソンなどの大型獣が群をなし、北海道にはマンモスが渡ってきていた。それは日本列島各地で発見されている多くの化石が当時の状況が物語っている通りである。
あれだけの図体の大型獣が入り込んできているからには、同時代に生きた敏捷な人類はチャンスさえあれば、当然、容易に日本列島に渡来できたはずである」と述べている。
事実、我が国でふんだんに発掘される打製石器、細石刃、黒曜石等を検証すれば、約3万年以前に、いわゆる旧石器人が住みついていたことはあきらかであり、さらにその旧石器人が旧石器文化を謳歌していたことは明白な事実なのだ。
つまり日本人はどこからやってきたかという問題は、そもそも日本列島には、日本人の祖先ともいえる旧石器人が住みついていて、そこにユーラシア大陸からはもちろん、南洋諸島から、さまざまな人類が渡り歩いてきたり、漂着したりしてきて、人種的に混血・融合していったのではないかと考えるのが自然なのではないだろうか。
これは日本語の起源説においても、同様なことが言えるのではないだろうか。日本語の起源はどこにあるという起源を追い求めるのではなく、ユーラシア大陸の極東の地であり、環太平洋圏の臍(へそ)とも言える日本列島そのものに、さまざまな人類が集まり、さまざまな言語が渾然一体となり、あたかも融合言語ともいえる言語が日本語の母胎となったのではないか。膠着言語としての<むすひあわせる>の言語特性に由来しているのではないだろうか。
『世界言語のなかの日本語』を著した松本克己氏の<日本語系統論の新たな地平>説によれば「日本語の歴史は、これまで考えられてきたよりもはるかに遠い過去を、この日本列島自身の中に持っていることに思いを致すべきである。それは<新人>と呼ばれる現生人類が、日本列島とその周辺地域に到来した後期旧石器時代まで遡るものであり、その後さらに、1万年に及ぶ縄文時代を通じ、この地域で培われてきた。少なくともこの地域は、後期旧石器時代のある時期、アメリカ大陸への移住の一つの拠点となった可能性もあり、縄文時代は、おそらく当時のユーラシア大陸でもっとも先進的な土器文化を生み出した」と述べている。
松本克己氏の説を前提とするならば、南太平洋のバヌアツ共和国をはじめ、南米アンデス・エクアドルで発掘された数多くの縄文土器が、青森で発掘された約5000年前の縄文土器と同じものであったという検証の事実も、なんの躊躇もなく受け入れることができるだろう。それにしても、なんとロマン溢れる縄文の史実ではないだろうか。(つづく)
・・・・・・・・・・
【杉山 彰(すぎやま あきら)プロフィール】
◎立命館大学 産業社会学部卒
1974年、(株)タイムにコピーライターとして入社。
以後(株)タイムに10年間勤務した後、杉山彰事務所を主宰。
1990年、株式会社 JCN研究所を設立
1993年、株式会社CSK関連会社
日本レジホンシステムズ(ナレッジモデリング株式会社の前身)と
マーケティング顧問契約を締結
※この時期に、七沢先生との知遇を得て、現在に至る。
1995年、松下電器産業(株)開発本部・映像音響情報研究所の
コンセプトメーカーとして顧問契約(技術支援業務契約)を締結。
2010年、株式会社 JCN研究所を休眠、現在に至る。
◎〈作成論文&レポート〉
・「マトリックス・マネージメント」
・「オープンマインド・ヒューマン・ネットワーキング」
・「コンピュータの中の日本語」
・「新・遺伝的アルゴリズム論」
・「知識社会におけるヒューマンネットワーキング経営の在り方」
・「人間と夢」 等
◎〈開発システム〉
・コンピュータにおける日本語処理機能としての
カナ漢字置換装置・JCN〈愛(ai)〉
・置換アルゴリズムの応用システム「TAO/TIME認証システム」
・TAO時計装置
◎〈出願特許〉
・「カナ漢字自動置換システム」
・「新・遺伝的アルゴリズムによる、漢字混じり文章生成装置」
・「アナログ計時とディジタル計時と絶対時間を同時共時に
計測表示できるTAO時計装置」
・「音符システムを活用した、新・中間言語アルゴリズム」
・「時間軸をキーデータとする、システム辞書の生成方法」
・「利用履歴データをID化した、新・ファイル管理システム」等
◎〈取得特許〉
「TAO時計装置」(米国特許)、
「TAO・TIME認証システム」(国際特許) 等