見出し画像

映画観た:エルヴィス

原題:Elvis
製作国:アメリカ合衆国
監督:バズ・ラーマン
出演者:オースティン・バトラー / トム・ハンクス / オリヴィア・デヨング


ボヘミアンラプソディの次はプレスリーか〜!と思った第一印象。
ネトフリに来てるじゃん〜!と思って、久々に観た映画がこれなんですけど、これでよかったのかなって思うレベルでまあまあ胸糞で途中からイライラしてた。
いや、何が胸糞って大佐が胸糞なんですよね。
トム・ハンクスが名演すぎてまた腹が立つんですよね。

私の中のプレスリーって、派手なサングラスに派手なボディスーツみたいなものを着て、伝説のロッカーとして語り継がれているイメージ。
曲も「聴いたことある!」程度で知識がないけど、深くてよく響く柔らかな声で歌う人だなって思ってたし、晩年の丸々太ったおじさんで、確か薬かなんかで死んだんだよな、くらいしかよく知らなかった。

そもそも私は大佐のことを知らなかったので、彼のバックヤードでこんなに搾取をされて生きているとは思わなかった。

基本映画は大佐視点で語られてるんだけど、ほんとにほんとにこいつ、「黄金の才能を見つけてそれを隅から隅まで吸い尽くしたな」と思った。

最初はまだ、アパルトヘイトが行われている中で、音楽のルーツが黒人文化であるプレスリーが世間から支持を集める中、保守派に弾圧されてもなお、反骨精神で歌い上げ、紆余曲折あったけど、世論が変わっていって受け入れられて、みたいな内容なのかな、と思って観ていたんだけど、大佐がずーーーーーっと悪いやつすぎてもう、ほんとに、「なんで!?お前が一番安全地帯に!!!?」って気持ちになった。

大佐はプレスリーの歌う姿を見て、真新しさとか、スター性とかを見出してスカウトして、ツアーを組んだりしていたし、保守派に目をつけられたにも関わらず、プレスリーを売り出すために一旦燕尾服を着せて、みたいなところの流れまでは「スポンサーって大事だもんな」とぼんやり思っていたんだけれども。

いや、正直初期の頃から「金がなる原木かな〜」くらいの態度だったと思うし、鏡の部屋→観覧車のあたりでの交渉シーンでも「こいつは金になる」の目をしてたから、「まあビジネスはお金が絡むからそういうふうに見えるよな」くらいだったんだけども。

燕尾服を着てトラブルを歌った時の「こいつ、俺の言うことを聞かない」ってモノローグと大佐の表情で異常性を感じ始める。
「勝手にしやがって!お前を守れないだろ!」じゃなくて、本当にプレスリーのことを「大金がなる木」としか観てないし、手放したくなくなってるように見えた。
ここのトム・ハンクス、本当に顔が怖いので観て欲しい。本当に人じゃない顔してる。

とにかく大佐はプレスリーを手中に入れて、プレスリーにはアメリカンドリームを見せつつ(実際ドリームだとは思うんだけど)、契約とかギャラとか、そういうかなり重要なところは全部自分が握っている。その上でプレスリーに伝える情報は「甘い部分」だけ。挙句プレスリー一家を法人化して巻き込んで、完全にがんじがらめにしている。

まだ観てないからにわか以下の知識で言うんですけど、もしかして私「パラサイト」でも観てた??と錯覚するレベルで寄生してる。

しかも付け入るタイミングが上手で、終盤ではもう離れられなくしてるあたりが本当に地獄。

細かいことは知らないけど、恐らくプレスリーがそういったことに疎いのもあったんだろうなと思うし、実際「夢を見せてくれる」大人だったから、頭が上がらなくなっていることがそもそも原因なんだろうな…。
その上、爆発的に人気が出たのでスポットライト症候群みたいなところがあったんだろうし、母親が亡くなったりキング牧師が暗殺されたり、といったときにそばにいたのが大佐で、すぐ何かしらを提示してくれる存在だったろうから、恐らくプレスリーにとって手軽な麻薬なんだろうな…。

どこもかしこも地獄じゃないか、この映画。
私は派手な映画だと思ったから観ようと思ったんだぞ。

唯一プリシラがプレスリーにとって、地に足をつけさせてくれる女性だったんだけど、あの濁流みたいな生活で、しかもだんだんと夫が狂わされていくのを見ていたら本当に耐えられないだろうな…と少し同情してしまった。
ただでさえ不安定なところを抱えているのに、連日ステージに立たされて、ボロボロで、薬に依存するようになって、しかも本人がとにかく走り続けるので、置いてかれてしまっても仕方ないかな、と思ってしまう。

その上で大佐はプレスリーにとってプラスになる人は全て排除していくし、私利私欲のためならなんでもするので、ほぼキングボンビーだし疫病神だなと思った。
彼に目をつけられたのがもう不運の始まりだったんだろうな…。もし、彼が敏腕マネージャーに会えていたら、もっと長く生きられたんだろうか。

余談ですが、ラストの方で「彼はファンへの愛で殺されたんだ」って綺麗にしめてたけど、私は映画一通り見た限りだと大佐のせいに決まってるだろ派です。

総合的には面白かったんですが、大佐にイライラが止まらずにお気持ち長文を書いてしまった。
今年は去年よりは映画観ようと思うので、次回はお気持ちじゃなくてきちんとした感想が書けるようなすっきりとした作品を観ようと思います。

遅くなりましたが、本年もよろしくお願いします。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?