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映画観た:地上の星たち

原題:Teere Zemeen Par / Like Stars On Earth
監督:アーミル・カーン / アモール・グプテ
出演者:ダルシャーン・ザファリー / アーミル・カーン

本当は今日の昼ごろ、話題のRRRを見に行く予定だったんですが、もう土日はレイトショーしかやらないみたいで予定を諦め、急遽一人インド映画祭を決行することにしました。

結論から言うと全人類に観て欲しい映画過ぎてもう何から感想を書けばいいか…!

ストーリーとしては、失読症のイシャーンが寄宿学校へ編入し、そこで美術教師のニクンブと出会い、自信を取り戻していく話。

正直に告白すると、ニクンブ先生が出てくるまで観るのが苦痛で仕方がなかった。
学校の先生、近所の人、あまつさえ両親ですらイシャーンのことを「問題児」としか見てなくて、イシャーンの味方がお兄ちゃんや転入先で出会ったラージャンくらいしかいなかったから。

お前は本当にダメな子、という言葉ばかりであまり肯定されていないから、イシャーンもしんどいし、こっちもずっとしんどい。
イシャーンも文字が読めない、ということをいうわけではないし(恐らく行っても周りに伝わらないと思っていたんだろうと思うけど)、ずっと叱られていて、寄宿学校でも完全に否定されて完全に自信をなくした上に何にも興味がなくなるまでに追い込まれてしまう。

本来は活発な男の子のはずなんだけど、周りからの抑圧と自分ができない事による絶望感やら、イシャーンにとっては「親の罰」で無理やり寄宿学校に入れられているからずっと落ち込んでいるし、初日に詩の解釈を教師に全否定されてしまった後に隣の席になったラージャンから「君の解釈が合っているとおもうよ」とフォローされても響かないし、だんだんと好きだった空想もなく、とにかくボーッとしていることが多くなって鬱状態みたいになっている。

子供が抑圧される姿を丁寧に描かれ過ぎてて本当にキツくて、ニクンブ先生出てくるまでまじで救いがない。
だってニクンブ先生が陽気に笛吹きながら踊りながら出てきたときにクラスメイト全員がはしゃいでるのにイシャーンはずっと下向いて塞ぎこむレベルでメンタルやられてんだぜ!?

ニクンブ先生が元々支援学校の先生であることもあり、イシャーンのことにすぐ気づいて、いつも一緒にいるラージャンにイシャーンの話をヒアリングしたり、彼が書いた文章を見て失読症であることに気付いてくれて本当によかったなと思う。子供の可能性を信じ、とにかく愛を注いでくれる存在だったことが大きく、イシャーンにとって本当にいい人に巡り会えたなと思った。
家族への説明であったり、校長に対しての教育の直談判であったりをきちんとしてくれて、その上でイシャーンに読み書きを教えたり、勉強を教えてくれたり、彼が好きだったことを再び出来るように自信をつけられるように持っていってくれるって本当にすごい。

それが恩着せがましくなく、さりげなく真摯にやってくれて、こういう気の回し方ができる大人になりたいな、と思った。
本当にとにかく彼の発言や態度が愛情深くてちょこちょこ泣いた。
失読症であったと言われる人物を上手にイシャーンと絡めて(もちろん直接的な発言を避けて)伝えて、「少し周りの人と脳の構造が違うので、独自の視点を持っている。けれど周りからはそれが変だと誤解されてしまうこともある」とフォローを入れてくれるの本当に上手だなと思った。

映画のテーマとしては、すべての子供は<地上にある輝く素晴らしい星>であり、素晴らしい可能性を秘めており、その才能を活かせるようにしていくのは大人の仕事だ、というものなんだと思うけど、子供に限らず、これは全人類に対して言えることだよな、と思った。

途中で「ソロモン諸島の木の切り方」の話が出たけど、それは子供だろうが大人だろうが関係ない話。
人の可能性を、罵倒や悪口、陰口が潰す。
けど、思いやりを持って、相手のことを信じてフォローしたりし合うことで可能性が広がるんだよなって。そう思うと、自分の今の態度ってどうだろうって立ち直るきっかけにもなれるなと思った。

ニクンブ先生の話でちょこちょこ泣いたし、彼のおかげでガラッと変わったイシャーンの笑顔も眩しくて本当に感動したいい映画だった。
3時間近くある長めの映画だけど、3時間かけて観る価値のある映画だと思う。全人類におすすめです。

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