「デモ」の街アテネの「カルチェラタン」・・ヨーロッパ放浪記(3)


中央市場付近

アテネ空港から乗ったバスは、何の予告もなしに、目的地である終点のシンタグマの手前で停車した。「シンタグマはデモで完全クローズだから此処で降りろ」と叫ぶ運転手。
ギリシアに来る少し前、ラリッサで列車事故が起きた。数十人が亡くなる大惨事だった。テッサロニキ行きの列車で、テッサロニキアリストテレス大学の学生が多数犠牲になったと聞く。政府の対応に怒った労働組合が連日ストライキをしていた。
確かにアテネの大使館から警告の情報は来ていたが。
ブッキングコムでとった部屋は、シンタグマから歩いて数十分のStournari地区だった。仕方がないので、シンタグマの手前のバス停から歩いた。グーグルマップの精度が悪く、迷いながら繁華街の裏道を1時間以上歩かされた。アテネは道が悪く、ガタガタ道を重いスーツケースを押して歩くのは、かなりキツかった。
Stournari地区は、治安がよくないと警告されていたので、少し緊張した。
地区に入ると、確かに落書きもゴミも多く、「下町」だった。アテネ工科大学があり、デモのスタート地点になるらしく、あちこちに武装機動隊がたくさん配置されていた。まるでアテネのカルチェラタン・・。
武装警察官たちの間をすり抜けて、やっと目的地に着いた。
部屋のオーナからも、危険だからシンタグマ広場には行かないようにと言われた。
その地区のカフェにいたら、デモ隊列がシュプレヒコールをあげて通り過ぎたり、街宣車・オートバイデモ隊列が、がなり立てながら通った。70-80年代の日本やソウルを想起した。タイムスリップした気分。催涙弾が飛ばなかっただけよかった。カフェにも、プラカードを持ったデモ帰りの学生・労働者たちが来て、くつろいでいた。
治安を心配してくれる人もいたけれど、結構楽しい街だった。観光地でないだけに、レストランでは本物の美味しいギリシア料理を食べられたし、カフェでは、アインシュタインによく似た白髪の老紳士とも会えた。「アインシュタイン」は、ひとりで、珈琲片手に難しそうな分厚い本を静かに読んでいた。わぁ~、かっけー!


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