副産物いろいろ
残り物、余り物、あるいは失敗作から、新しい発見、これまで知らなかった美味を見つけるということはしばしばあって、料理を作っていてこのときほどわくわくすることはないように思う。
炙った鶏と白菜のくたくた煮
鶏もも肉を焼いて冷やしておいたものを削ぎ身にして、白菜と一緒に薄口の出汁でくたくたになるまで煮る。
地鶏の塩焼きのあまりを活用した副産物なのだが、これを作る過程でもう一つ、妙にクオリティの高い副産物を得ることに成功した。後述。
炙った地鶏を冷やして削ぎ身にしたもの
塩をした地鶏のもも肉を一枚のまま炙り、冷蔵庫で冷やした状態で削ぎ切りにしてつまみにする。いい具合に表面を炙り余熱で全体に火が通る程度にしてあるので、皮の香ばしさと食感、身のしっとりした旨味があって、上等の鶏ハムような印象を受ける。
これは、くたくた煮を作る過程で味見した地鶏が美味しすぎて、一品として独立させたもの。手の込んだことは一切していないのに、もしかすると他のどの地鶏料理よりも美味いかもしれない。嬉しい発見であるが、なんとなく悔しくもある。
鯛のあら炊き
焼き物にした鯛の残り、あらの部分を、やや薄めに味をつけたたっぷりの煮汁で炊いておく。
ある程度作り置きを前提にする場合、こういうふうにしておいて、温め直す際に汁を少し煮詰めて絡めると良いようである。
煮こごり
あら炊きを薄めに作っておくと、煮汁をそのまま煮こごりとして活用できるという点でもありがたい。
暖かい白飯の上にジュレ状の煮こごりをのせて、刻んだ海苔、山葵。半分溶けかけているそれを急いで掻き込むときの美味さといえば、あら炊きよりもむしろこちらが主役に思えて来る。寄せどうふに乗せても美味しかろう。