天使と神様①
天使「あーあ、今日も終わっちゃうなあ。今日何も成し遂げられなかった」
神様「おやおや?君は天使じゃないか。ちょっと君の血肉をポークビッツにさせてよ」
天使「はて?あなた様はなにものですか?ポークビッツ?ちんちんのことですか?」
神様「僕はね、天照大神ののれん分けしてもらった、君の地元の神様だよ。よろしく(握手する)」
天使「なんだか手がしっとり濡れている……匂いがカルバンクラインだ!私より気位の高い人に違いない!」
神様「やあ、まあ座りなよ」
天使「神様は何をしにこんなカフェーに来ているのでしょう?ドトールじゃなくてシャポーなのでは?」
神様「僕はシャポーにも行くし伊藤珈琲にも行くし美美(びみ)にも行くしベローチェにもカフェドクリエにも行く。今日はたまたまドトールにいるだけ」
天使「神様ってどんな仕事なんですか。僕は一日一個いいことをしないと給料泥棒をしているようでうかばれません」
神様「僕はただ生きているだけでいいんだ。生きているだけで人々は感動し、意味を見出し、ありがたむ」
天使「そんな贅沢な暮らしがあるもんだ。きっと僕は神様に意味を見出すために仕事をしているのかもしれない」
神様「君もキャリアアップしたいなら、僕みたいに堂々とするべきだ。客観性とは何かをぐるぐる探すよりみんながよこしてくれる反応を手掛かりに舵を切るといい。こんなの、ようそろなんだ」
天使「僕はじっとしていては何も起こらないんです。僕みたいなギフテッドは家で飼い殺したらいくらでも堕落する。僕はハムスターのようにカラカラと滑車を走り切りたいのです。だけどいつまでも思想貧乏で何をしても手応えがない」
神様「だったら一つ腕試しをしよう。君が僕の広告を一本作って、その出来栄えによって君に実感をあげようじゃないか」
天使「広告ですか?コピーライター的な?僕はデザインができません」
神様「言葉だけで大丈夫さ」
天使「神様の一番の売りはなんですか」
神様「そんなの神様であることさ」
天使「天気とか司れるんですか?」
神様「そんなの気の持ちようさ」
天使「天照大神に何を授けられたんですか?」
神様「まあブランドだよね」
天使「でも天気の子じゃないんだ」
神様「アフリカの部族の長のほうがよっぽど天気やってる」
天使「神様は何について野心がありますか」
神様「それは宗教だね。僕を母体にいろいろな文化が栄えてくれるのが本望だ」
天使「わかりました。できました」
神様「そうなの。この時間だとあまり期待できないね。早速言ってごらん」
天使「神様は声が長谷川博己に似ていて、顔がゴリラみたいなので、人類のセックスシンボルと言えましょう。神様は、信者を全員愛人にして、しあわせにする義務があります」
神様「僕は結婚はしない主義なんだけど。どういうこと?」
天使「神様はじっくり手間暇かけて一人一人の信者と恋愛を育んで、枕営業をし、子種を増やして、信者を獲得するべきです」
神様「僕は君のことはポークビッツにしたいと思ってる。だけど、信者は信者なりの誠実さないしは沈黙の黄金比がある。それを崩すわけにはいかないけど、それも一つの誠実さなのかもな」
天使「手応えいただけますか?」
神様「君は、僕を買ってくれるかい?」
天使「買う?いくらですか」
神様「君が死ぬまで決めなくていい。たとえば50万入金して、50万返金してもいい。ただ、君は日本円と言わずとも僕に手間暇をかけないといけない」
天使「それだ。その具体的な方策を決めてなかった」
神様「君は僕に何を賭けるか?」
天使「そんなの。創作の引用元としてしか活用の仕方がないですね」
神様「君は僕のことを書いてくれるかい?」
天使「書きますとも」
神様「いい心地だ。君に手ごたえをあげよう」
そうして神様は天使を一袋のウインナーにして、丸のみするのでした。