【生活保護の扶養照会って、何するの?】
東京都より、生活保護の扶養照会についてのおふれが出ました。
精神科の支援は生活保護に大変お世話になるので、いろいろ感じることがあります。
扶養照会とは
例で説明します^^
<例>Pさん 40代
○生活保護申請までの経緯
業務中の事故で歩けなくなり身体障害者の認定を受けました。
シゴトが続けられません。
貯金も底をつき生活保護申請をしました。
○申請してから
役所職員が経緯を聴取します。
Pさんの家族の詳細を聞き取り、役所職員が家族に「Pさんがこんな事情で生活保護申請してますけど、家族さんでお金の援助できないんですか?」と、尋ねます。
これが「扶養照会」
(実際の文言や書類はちゃんと公的な表現ですよー)
1万でも2万でも、家族の援助を依頼します。
なぜなら、生活保護は命の最終砦。
支援元が何もなく、二進も三進もいかない人を助ける制度ですから、とことん収入源を確認して公的支援をしなければならない人であるか確めます。
実際に見聞きしたいくつかの例
ぱれぱれは、精神科で患者さんの支援に当たっている中で、扶養照会のこんな例に出会ったことがあります。
●70代年金生活の母へ扶養照会があり、わずかでも援助をしてほしいと、生活保護担当者から再三請われた例。
一人暮らしがやっとの年金額なので、母は対応に困惑していました。
●30代のきょうだいへ扶養照会があった例
長らく疎遠であり、互いの近況を全く把握していませんでした。
きょうだい自身も実子の学費や家のローンなどを組んだあとで余裕はないとのこと。
●50代親へ扶養照会があった(はずの)例
子は20代、精神科の入院を機に生活保護申請、受理されました。
実は、親はかなりの高所得者。
それでも、生活保護が決まったんですね。
これはどんな扶養照会をしたのでしょう…現場スタッフと首を傾げたものです。
血縁者であれば、余裕があるなら扶養せよとも思いますし、自分の生活で精一杯であるキモチも理解できますね。
扶養って難しいなと感じますが…もしかすると「血縁者だから援助せよ」という考え方自体に無理があるかもしれません。
日本の民法
民法は、血縁者に責任という負荷をかける仕組みになっています。
●親や子、孫を加護せよ
●血縁者ならびに婚姻関係者が互いの責任を負えよ
民法ができた当時、家庭内であからさまなヒエラルキーがあったからとか。
120年ほど前、
・父親の座るところは常に上座
・長男だけ食事の品数が多い、お椀が違う
など、家庭内差別が盛んであったようですよね。
なぜなら長男が家督を継ぐ文化だったから。
その状況を憂いた日本国が「血縁者は皆同じ」という想いを込めて、「家族」は平等に互いの責任を負えよ…という民法が生まれたようです。
ということをふまえると…
扶養照会を強制することも、保留することも、どちらにも疑問を感じます。
生活保護の扶養照会保留
へのひっかかり
上の通り、家族が高所得にも関わらず援助しない理由が感情論的には理解できないですし、民法の精神を重んじれば家族の支援を確認するのは自然な話。
一方で、疎遠なきょうだいにまで執拗に負荷をかけ、120年も前の民法に沿って家族に負担を負わせることが疑問にも感じます。
生活保護は富の再分配。
冒頭のような動きもある中、本当に必要とする人に必要な支援が回るためには何をすれば良いのか、国の偉い人たちには考えてもらいたいなと思うのでした。
生活保護の説明はこちらでも行っています^^
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ぱれぱれ