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『シビル•ウォー アメリカ最後の日』を観る
間違いなくアカデミー賞の何かにはノミネートされるだろう。今年のトランプ大統領の暗殺未遂事件の件も含めて、映画のテーマ性がタイムリーだった。米国内で内戦が起きたら、おそらくこうなるのだろうと予想できる。ショット一つ一つの映し方がリアルでドキュメンタリーを観ている気分になった。しかし今後起きかねない状況としても映像を受け入れないといけない、その複雑さが頭を悩ました。
この映画を賞賛すること自体も危険な思想に繋がりかねない。確かに劇中、内戦の事情が分からなかったり、右翼と左翼を明確にしない控えめな描き方をしていた。だが観る視点を改めないといけないと強く自分に言い聞かせた。トランプを支持していないが、大統領暗殺を鼓舞する内容であったことは間違いない。2016年以後、米国の差別化を進めたトランプ大統領が国民 (白人以外) の怒りをかって作り出してしまった映画作品なのかもしれない。2020年代の米国に溜まった膿が一気に映画内で出されたような印象だった。
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銃撃シーンのリアルさは正直怖かった。撃たれた時の出血、それを撮影するジャーナリズムの危険性、撮影されたフィルムカメラの写真の連鎖は、映画をよりリアリスティックにしていた。サミーが撃たれてから、火花の中を車が走るシークエンスは涙が出そうになった。A24らしい間の取り方、沈黙のシーンはアート性満載だった。これは頭を整理してからもう一度鑑賞したい作品かもしれない。
終盤のワシントンのシーンは、サウンドトラックが無いからこそ、映像に没入できた。エンディングクレジットで映された大統領暗殺後の写真も何か制作陣の怒りを感じた。反政府軍のジェシー・プレモンスの演技は恐ろしさを超えていた。本当にこういう思想の人はいるのかとさえ思わされた。無差別に人種の違う者、思想が違う者を殺す姿には胸が痛んだ。戦争や内戦はこのように生まれ、いくら平和を望んでもこのような人がいる限り、世界平和なんて実現しないのだろう。悔しいが、それが現実なのだ。
作品の米国社会に対するある種の警告は、映画の鑑賞者である我々が噛み締めないといけない。非常に考えさせられた。