Youtube作法 -飛び交う鳩と雑言-
先日、ゲーム実況者チームの2BRO.がラジオの配信を行った。8月分のラジオが末日までに行われると思っていたが、ずれ込んで9月1日の放送となった。
2BRO. Radio 【vol.157】2022年 9月1日放送
https://youtu.be/CKcR_Z71DGU
このラジオの36分からしばらくの間。兄者さん・弟者さん・おついちさんの三人がYoutube配信時のチャット欄やコメントについて、はっきりと言及するシーンがある。
攻略についての「面白くない(兄者さん談)」チャットメッセージや、動画につけられるコメント、自分達のスタンス、「こう見てくれたらいい」(ゲームプレイ中の自分達が苦しむ様子を、ニヤニヤしながら見てて欲しい的な話)、ネタバレはちょっと……など、珍しく明確に言及していたので印象的だった。
自分もよく2BRO.の動画や生配信は観に行くしコメントもさせてもらっているのだけど、ネタバレなどはしないし(自分がプレイしないようなゲームを多くやっているのもあってネタバレしようがない、のもある)、他者が見て不快になるような言葉を出すのは禁忌としている。
けれど、まあ……夏休み期間だったりはお子供さんの視聴者が増えるのもあるし、暖かい季節はどうしてか言動がアヤシい人間がリアルにもネットにも3割増しで出没するようで、わざと他人が嫌がるようなことをしたり、注目されたくて延々とコメントを連投する……なども目に付くようになってしまう。
もちろん、公序良俗に反するコメントをゼロにすることは不可能であるのは、2BRO.ならずとも自覚するところだと思う。
最近は、Youtubeの方の機能で"コメントができるのはチャンネル登録者のみ"だったり、"チャンネル登録して〇〇分の人のみ"という機能があるらしく活用されてもいるが……。
「Youtubeのコメント」については、過日、実況者チーム「三人称」も動画を出している。
放送時のコメントについて感じたこと【三人称】
https://youtu.be/Q_B8vD1parM
こちらは主に、コラボ先への伝書鳩的な行為をやめてほしい、という方向性に焦点を当てているのかな。
実況者Aと実況者Bとでコラボ生配信をすることになったとして、Aのプレイしている様子や発言を、実況者Bのチャット欄で伝えること。これを『伝書鳩』『鳩』と呼んでいるらしく、「こういうのは良くないよ、嫌なことなんだよ」と優しく諭してくれている。
2BRO.と三人称とは目に見えてコラボ回数も多く長く、ファンもその多くが共通だったりして、どちらかがプレイしているゲームがオンラインマルチ対応だったりすると「〇〇さんと一緒にやって!」「〇〇さんもやってるよ!」というコメントが散見されるようになっていた。
この2者の実況者チームは明らかに仲が良いのでギリギリ許されていたが、本来ならこれも嫌がられる行為なのだ。
実況者が話題に出さない他の実況者の名前は、出さないほうが良い。
時期を同じくして……かどうか、三人称のこの動画が上がる頃から、今度は目に見えて「三人称」と「2BRO.」のコラボが減った。
おそらく互いを気遣っているのだろうと思う。加えて、三人称の1人「ドンピシャ」さんが、FPSゲームの大会参加が増えたり、そのゲーム関連での他実況者との交流が増えたりで、危機管理としてコラボを減らしている、というのも、当たらずも遠からずではないかなと自分は思っている。
2BRO.(特に弟者さん)に至ってはゲーム実況のみでチャンネル登録者307万人を超える大手。炎上対策なのか視聴者への気遣いなのかはわからないが、荒らされる隙を作らないように振る舞っているな、というのがよくわかる瞬間が時折ある。
「切り抜き動画」の作成も許可されておらず、厳しく管理されているように思える。
自分がYoutubeで実況を観るようになって、6〜7年くらいが経つ。先に触れた「2BRO.」と「三人称」くらいしか観ないが、むしろそれで十分で、彼らのプレイのテンションや落ち着き具合、プレイの技術の巧みさなどが本当にちょうどいい。
2BRO.といえば弟者さん・兄者さんの声のカッコ良さなんかは改めて語る必要もないだろう。睡眠導入に色々な動画を使わせてもらったりもしている。
で、Youtuneのコメント欄・チャット欄を流し見していると「指示厨」といわれる「ああしろこうしろ」と指図するのが大好きなユーザーがよくみられる。
言い換えると「アドバイスおじさん」か。
「こうした方が効率が良いのに」など、一言多かったりもする。観ている側からしても余計なお世話だ。
さて。
先日、Vtuberの『アクシア・クローネ』氏が無期限活動休止に入るという話題をチラ見した。
誹謗中傷、嫌がらせなどの法的対処をするため、それと、本人のメンタルケアのために休むのだとか。
そのVtuberが去り際にアップロードした、「こういうコメントをされて本当に嫌だった、気持ちが悪かった」「反吐が出る」と訴えかけている動画を見た。
ああ、これほどまでに素直に怒りを現出させているなんて。これは相当、精神的にヘビーだったろうな。素直にそう思った。
アクシアさんは、自分に対して「かわいい」とコメントをされることを嫌っていた。カッコいいと言ってくれ、と訴えていた。
煌びやかな見た目のVtuberであるからか、また、顔つきも男前というよりは美人の部類なのもあり、「かわいい」と言われるのは避けられないことだったろう。けれど、本人が"きちんと"嫌がっているのだからやめることこそが正義だ。それでも止まなかったらしい(後述)。
また、氏について「彼女かのようなコメント」「保護者、母親のようなコメント」も絶えなかったらしく、「気持ち悪い」と斬り捨てていた。アクシア氏がこういったコメントについてやめてくれと訴えても「反抗期だ」などとしてマトモに取り合ってもらえなかったらしく、これだけでもお腹いっぱい、非常に気持ちの悪い現象だなと心底感じた。
嫌がっているのに、「反抗期だ」と冗談で躱され続けてしまう。マトモに取り合ってもらえずに、嫌がらせが続く。
これ、実社会で例えばセクハラだと訴えても冗談で有耶無耶にされる、のと同じことではないか。
──今までなんとなくVtuberは好かないな、と思っていたけれども、Vtuberそのものだけではなくて、主にそれを取り巻く"界隈"と"気持ち悪い連中"が好かないのだ。と、答えが出た。
三人称のドンピシャさんについても、しばらく前に一時休止したことがあった。2週間くらいだろうか。
Youtubeのコメント(だけではないだろうが)でメンタルブレイク、でも復帰して、島をTwitchに移して今も活動を続けている。
推測でしかないが、Youtube利用者のモラルのなさに辟易したのかもしれない。Twitchはゲームに理解のあるユーザーが集まっている印象も手伝って、Youtubeよりも平和な雰囲気を感じる。
顔出しで配信をすることもたまにある三人称。彼らの外見に対して、平気で言及する人間もYoutuneコメントではよく見る。「〇〇さん太った?」「顔色悪くね?」「痩せた?」「丸くなった?」……現実の場であっても、こうした声がけというのは嫌われる原因になるし、何より失礼だ。
外見がどうなろうとお前にはなんの関係もないだろうに。見るたびにそう思う。たまに「それは失礼だ」と思わずツッコんでしまう。けれど、スルーこそ正義なのでなるべく無言で見守っている。
スルーこそ正義……というのもなかなか業腹だ。しかし、「それはいけないことだぞ」というコメントで溢れ返させるのもまた違うし、配信者には迷惑になる。悔しいがスルーこそ正義なのだ。
画面の向こうには生きた人間がいる。
これを理解できてないクソニンゲンが少なくない。
画面に写ってない、声だけしか聞こえてこない配信者も、Vtuberも、顔出し配信している実況者も、同じ人間のはずなのだけれど。
ある人とこれについて話し合った。すると「三次元の人間が二次元化してきているんじゃないか」と言ってくれた。
たいへん腑に落ちた。
画面の向こうに人間がいる、というのを理解しない人間が増えているのかもしれない。
この時世も手伝って、インターネットがインフラの一部になっている今の時代、PCモニターやスマートフォンの画面から見える声、言葉、顔……生身の人間と接すること(時間・機会)が減った結果、生身の人間が「キャラクター」として認識されてきている……?
アクシア・クローネ氏は「彼女づらするな、母親づらをするな、気持ちが悪い。反吐が出る。」とバッサリ斬り捨てた。
それに反論するように、「でもVtuberはそういう層に夢を売ってナンボだろ」というコメントが付いたりしていた。
なるほど……彼らは平気な顔をして、画面の向こうの(ある意味素人の)人間からその"夢"を買っているつもりになって、"消費している"のだ。"買ってやっている"、"消費してやっている"と言いのける輩もいるかもしれない。
実世界における「アイドル」の扱いと同じだ。地獄である。
ゲーム配信者も、どこかアイドル化している節は感じられる。「かわいい」というコメントは尽きないし、誕生日の配信では高額スーパーチャット(投げ銭)が飛び交い、気に入らないことがあれば相手を貶めるコメントを平気で書き捨てる。
匿名だから、ネットだから、バーチャルだから──と、もしかしたら、実社会では"普通"のニンゲンでも、"タガ"が外れてモラルを欠いたクソニンゲンになっている可能性は否めない。
推しを正しく推して、負担をかけないためにも、倫理の欠如だけは起こさないようにしたい。
少なくとも、今後、生きている人間に対して「推し」ということは避けていこうと思わされた日だった。
眠い中で書き殴っているので、おかしい文章になっているけどご容赦ください。