2015/11/6~12 A病院(1)
一睡もできず、そのままA病院に入院。
きっとなんとかなるの気持ちをすべて削ぎ落とす夜を越えた後は必死だった。
精神的な底にいても発作はきっかけを様々に続き、うんちをいきんでもアラームがなった。心電図を凝視していた。あやしい波形を見逃したくなかった。
柵のある小さな乳幼児用のベッドで一緒に添い寝をしながらの睡眠は断続的で、ずっと目が冴えて眠れない時もあれば、急に限界がきて倒れるように眠るときもあった。
なかなか不整脈の発作が治らないので、夕方から鎮静剤で点ちゃんを24時間寝かす提案をされる。薬を鼻からチューブで入れ、寝ている間に増量した内服薬のワソランを体内で安定させて発作が起こらないことを目指しましょう。
鎮静の力で眠りながら鼻から胃へチューブを通される点ちゃんは痛々しくて見るのが辛かった。次々と自分のこどもの身に起こっていることを理性で理解しようとしても目の前の姿が受け入れがたい。
でも点ちゃんは鎮静剤で朦朧となりながらも、自由な左手で鼻のチューブを胃から引き抜いてしまった。続く発作で弱った身体が、腕に力を込めてズルズルとチューブを引っ張り出し、汗を滲ませながら不快感をあらわにする。鎮静剤による不穏(鎮静剤副作用:鎮静が効かず暴れるなどする)と言われたが、私には副作用にも生命力にも勝る点ちゃんの強い意志の力にも感じられた。
嫌なものは嫌。自分で決める。
まだ1歳半でも点ちゃんは生まれた時からそういう子だった。
相談の結果、鎮静剤も鼻のチューブも中止になった。
鼻のチューブだけじゃない、点滴、心電図、サチュレーション、点ちゃんは何本もの管とケーブルに繋がれていた。点ちゃんの命を守るとても大切でとても不自由なケーブルがベットの柵を超えて何本も垂れ下がる。
そんな中急に、心電図がホルター心電図に変わった。今までの心電図は病室内で心拍数や波形が見れたのに、携帯できるほど小さなホルター心電図には表示がなく、処置室のモニターに電波を飛ばして医師看護師しかそれが確認できない仕組みになっていた。私も心電図が見たい。
するとS先生は「心電図でなく本人さんを見て下さい。お母さんの勘を磨いて下さい。勘はあなどれないですよ。」と言われた。
びっくりした。お医者さんが、母親の勘などという科学的根拠のないものを肯定されたから。
アラーム音から解放されて、深夜授乳したまま寝落ちしてしまいうっすら目が覚めた先に、注射器を掲げるS先生が見えた。
「なかなか手強いですね」と笑っていた。