EVERYTHING FLOWS #05 by illustrator はるやまひろし
絵を描くことを音楽で言う『レコーディング』と称するイラストレーター・はるやまひろしによる、日々のドローイングイラストの記録(REC)を毎週紹介していきます。ライブハウスに貼りだされているチラシのようなイメージで、音楽やバンド、あらゆるサウンドからインスパイアされた、妄想爆発のアートワークが日々描かれていきます。テキストと合わせてお楽しみください。
2021.05.15(SAT)
ARTIST:THE PAINS OF BEING PURE AT HEART
ALBUM:THE PAINS OF BEING PURE AT HEART
『THE PAINS OF BEING PURE AT HEART』とバンド名について思ったことーー
『THE PAINS OF BEING PURE AT HEART』(*略=ペインズ)は、キップ・バーマン(G/Vo)(*略=キップ)を中心に NY で結成された。2009年にでデビュー。2019年に解散。
バンド名、やっぱり長いな。
本作はそのデビューアルバム。
彼等が登場した時、長くてちょっと照れてしまうようなバンド名に反応せざるをえなかった。ペイン(訳:痛み)なだけにイタイ気もしたバンド名に、やっちまったな。と思った。
ただ、聴いてみるとメロディーが良くて、勢いがあって、キラキラ輝きを放っていた。バンド名にぴったり沿ったアルバムで、適当じゃなくて思い入れがあってつけたバンド名なんだって理解できた。
どこか垢抜けきらない学生風の男女といった構成のアーティスト写真もバンド名や音楽と一体感があった。バンドの名前と共に、この輝き感やメロディーはデビューアルバム特有の繊細で危ういなものだよなと思っていたから、結果アルバム4枚通して駆け抜けていったのは頼もしかった。
3rd アルバムで仲良しに見えたバンドメンバーが、メインのキップ1人以外変わった時はびっくりしたな。メンバーが替わった後もいいアルバムを作っていたので、キップ特有のソングライティング術があって続いてくのかなとも思う片方で『THE PAINS OF BEING PURE AT HEART』という、脆さも肯定しているようなバンド名はどこか頭を過ぎっていた気がする。
バンドの名前って、名義でもあるし、ブランドでもあるし、ポエムだったり、アティチュードだったりする。どんなバンド名であれファンの人は名前に特別な愛着をもっていると思う。 ペインズの場合、ポエムでありアティチュードだったと思う。
そして、音楽と名前が合っているだけに、そうじゃない日も来るんだろうなと、一番よく聞いた3rd アルバムを聞きながらチラチラ思い浮かんだことを覚えている。その時に続けるのかなと。
そして、もう一枚アルバムを出して解散してしまった。
ただのバンド名ともいえるけど、されどバンド名を感じるバンドだったな。
*
勝手にサントラーー
文章を書きながら、ペインズって映画『500日のサマー』に通じる甘酸っぱさがあるよなと思って Wiki で調べていたら『500日のサマー』は2009年1月9日にサンダンス映画祭、『THE PAINS OF BEING PUREAT HEART』は2009年2月3日に発表されている。NY という舞台も共通していて、2009年頃の NY インディの時代の空気感なのかな。リアルタイムすぎてサントラにはもちろん入ってないけど頭の中のサントラでは見事にマッチしている。
最近 YouTube で勝手に(?)映画やドラマと音楽をマッチアップさせて MV になっているのをよく見るけど、誰かが頭の中のサントラを実現しているんだね。おもしろい。
個人的なおすすめとしては、『NEW ORDERのBIZARRE LOVE TRIANGLE』という曲と、ウォン・カーワイ監督の映画『恋する惑星』のマッチアップ。この映像が好きで結果、恋する惑星の DVD 購入した。女優のフェイ・ウォンが『NEW ORDER』の曲に合わせて踊っているかのようだ。舞台の香港もいいな(これからどうなってしまうんだろう … 心配だ)。
まだ YouTube に残っていたら観てほしい。
はるやまひろし
静岡県生まれ、千葉県育ち。
好きな音楽のアートワークとTシャツに憧れてイラストレーターの活動をはじめる。シンガーソングライター気分で絵を日々レコーディング中。
https://www.instagram.com/hiroshi_haruyama
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