シャツ・ジャケット
シャツ・ジャケットってなんぞや、もしや私が妄想した新ジャンルかもしれんと書きながら疑ったが、ちゃんとジャンルとして存在した。シャツとジャケットの、あいのこ。
このまえ書いたジャングル・ファティーグなどは、シャツ・ジャケットと言ってよいと思う。トロピカル気候の戦場では、もともとシャツの扱いだった。
街着としてのシャツ・ジャケット、特に女性用のものは、じつにさまざまな顔をしている。
シャツと同じくらいの薄さかもしくは微妙に厚い、リネンのようなある程度ハリのある生地で、裾は直線でカットされたものが多い。
袖口はシャツのようにボタン留め仕様になっているものもあれば、七分袖とか五分袖でまっすぐカットされたもの、半袖、裾広がりなもの、裾にスリットが入ったものなんかもある。パンツの裾のように、袖口を折り返してダブルに仕上げたものも。
襟は、いわゆるシャツそのままのもの、開襟シャツふうのもの、スタンドカラーのもの、ジャケットのようなラペルデザインのもの、ショールカラー風のもの、ノーカラーのもの。
ボタンは比翼ボタンのもの、ダブルボタン合わせのもの、身頃内側で留める隠しボタンのもの、ライダース・ジャケットみたいにジッパーで開閉するもの、民族衣装のように、大きく重なる前身頃を紐で結んで留めるもの。
なんだ、シャツ・ジャケットには定義があるようで、まったくないじゃないか。思った以上に無節操な衣服だな。
私にとっては、ジャケットらしいかっちりした見た目で、かつシャツくらい軽くて洗濯などの手入れが楽だという点だけが外せない。
アイロンをかけなくてもよい、シワ加工素材だったりするともう最高。なぜなら、余暇の旅先で急にきちんとした格好をしなければならない場合(ちゃんとしたレストランの予約が意外に取れちゃった、とか)もあるので、軽くて嵩張らないかつシワが気にならないシャツ・ジャケットを、スーツケースに忍ばせておくと安心なのだ。
この夏に理想的なシャツ・ジャケットを入手したので、さっそく次回の旅に連れて行こうと考えている。当地での出番はないかもしれないけれど、こういう些細な「もしもの準備」が、旅の楽しみでもある。