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ハワイアンシャツ

冬の間はすっかりその存在を忘れている。

衣替えで夏物衣類を出すときに、「あ!そうだそうだ、こんないいのを持ってたんだ!」と思わず目が輝くのが、ハワイアンシャツ。

人生で初めて買ったハワイアン風デザインのシャツは、エミリオ・プッチのメンズ商品だった。ワイルドシルクの控えめに艶やかな織地に、グリーンが基調のおおらかなモチーフで、かのブランドがプッチ一族の家族経営だった時代の品。

サイズが大きいことを理由には諦められず、肩詰め脇詰め裾詰めの大掛かりなリペアに出して着ることにした。ちなみに修理費は当時のシャツ定価の15%ほど。いま考えるとしみじみ恐ろしいな、若気の至りってやつだ。カットした部分の生地はすべて戻してもらって、小さなバッグを作るのに使った。

その後ながらく、ハワイアンシャツへの興味は影を潜めていた。2年ほど前の夏、ヴィンテージの少年用ハワイアンシャツと出会ったのをきっかけに、とつぜん情熱に火がついた。

シャツとカットソーは天然素材製が好きなのだが、ハワイアンシャツについては例外で、レーヨン大歓迎。そしてモチーフさえ気に入れば、サイズが多少合わなくても買ってしまうのは、昔から変わらず。

何も考えずデニムやチノパンツに合わせれば完璧、グルカショーツやカーゴパンツでとことんボーイッシュに着るのもいいし、白デニム地のミディ丈タイトスカートや、1950年代風の長めのコットン地フレアスカートとも相性抜群。

白や朱赤のセンタープレスのストレートパンツと合わせて、1970年代のTVドラマのチンピラ役みたいに着るのも大好きだ。

靴は白のローテクスニーカーかエスパドリーユか、ビルケンシュトックのサンダル、またはシンプルに安物のビーチサンダルでもいい。素足に色褪せてくたびれたモカシンを履くのもいいな。

バッグは黄金のクラッチバッグでとことん怪しく行くか、私の作っているグラムロックショッパーを巾着結びでしれっと持つのもいい。コンビニのビニール袋とかでもいい。クラフト紙の紙袋は即座に警官に尋問されそうなのでやめておこうかな。

着るだけで無性に元気になる服って少ないけれど、ハワイアンシャツはその筋のトップ。なんなら見て撫でるだけ、アイロン掛けするだけで元気になるね。

ところで私の夫は身幅の割に肩幅が小さく、Tシャツよりも柄物シャツを着た時の方が断然カッコいいことを最近になって発見した。

夫のサイズのハワイアンシャツを勝手に買ってきては着せてみて「カッコいい!カッコいい!」と数ヶ月褒め続けたら本人もその気になり、今や夫婦で競うようにハワイアンシャツを集めている。なんなら今年の彼の誕生日プレゼントには、ヴィンテージハワイアンシャツ5枚を用意してある。

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