羽織りデザインのコート
買ったのはずいぶん前だけれど、今でも見るたび触るたびにしみじみ良さを噛み締めるコート。
この冬はけっこうたくさん着た。コートを着た時のバランスに合うように、ヒールの高いブーツを久しぶりにがんばって履いたりもした。
冬の晴れた朝の霜のような、澄んだ明るいグレーの生地。
バージンウール70%に、アンゴラ、ナイロン、ポリウレタンの絶妙な混合で、触るたびにうっとりする柔らかさ、軽さ、しかも適度に張りもある。単に柔らかいだけでフニャフニャのシルエット、シワシワになるアウターは悲しいよね。
肩からなだらかに袖口まで落ちるカーブ。
前身頃の裾までぬるんと続いている襟。
ショート丈と言うには長めで、太腿にかかるくらい。
ミニマルでふくよかな後ろ姿が、これまた素晴らしい。着物の帯の膨らみを意識したとしか思えないパターンなのだ、なので私は羽織りコートと呼ぶ。
極太ゲージのタートルネックのニットや、コウモリ袖のトップの上にも着られるのはこのコートだけ。とにかくアウターに迷ったらこれを選べばいい。本当に重宝している。
スーツの上にはもちろん、シルクサテン地の長いスリップドレスにも決まる。男性用シャツ地で仕立てたロングドレスに羽織ったらカッコいいだろうな...
少しくずして着るにも、ふくらはぎ丈のスカートか、上等な生地のワイドパンツなんかが合う。スキニーなパンツや中途半端に短いスカートでは、このコートの良さを生かせない。そういえばこのコートにデニムを合わせたことがない、なんかそういう気分にならない。
買った当時はどうやって着ていたのかと言うと、薄いグレーのカシミヤ半袖ニットに黒のレザーのマキシ丈タイトスカートに、赤みブラウンでちょいウエスタン風デザインのショートブーツ。または、グリーン系のノルディックニット(半袖)に焦げ茶ウールのロングスカートに茶色のショートブーツ。気に入って繰り返していたコーディネートなのではっきり覚えている。