ワンマイルのゆるやかなつながり
溶けるファッションの境界
愛着仕様の自転車「みどり号」を相棒に、私の生活範囲は結構広めかもしれません。
ある晴れた日、駐輪場の空き状況を気にしつつ吉祥寺に向かいました。商店街や有名店が多く立地する駅周辺を走りながら目についたのは、紳士服専門店の「パジャマスーツ」ののぼり。「パジャマ以上、おしゃれ着未満-」がコンセプトのようです。
コロナ前から、ビジネスシーンでもファッションのカジュアル化は進んでいて、「ビジカジ」などと言われていましたが、コロナによって、カジュアルを飛び越えて、「パジャマ」にまで寄せていく流れがきているようです。
背景にはもちろん、リモートワークの定着や行動様式の変化があります。自宅時間が増える中で「リラックスできる部屋着」に慣れた私たちは、ビジネスシーンにも「カッチリした窮屈さ」より「着心地」を重視する流れになっているようです。
ワンマイル・ウェアという新ジャンル
調べてみると、アパレル各社は.ースがあらかじめ設置されていたり、駅周辺にも多様なコワーキングスペースが登場しています。
私たちの「ワンマイル」での過ごし方は、散歩やお買い物だけではなく、仕事をしたり、人とコミュニケーションをとるなど、多様化しているように思います。
「ワンマイル」という物理的な感覚も、人によって、場面によって、自由に変化していきそうです。「ワンマイル」の中にゆるやかなつながりが生まれ、新しい居場所になっていくのかもしれません。
たとえば、「ワンマイル」の中に、あえておしゃれをして出かける場ができて、そこにはあえて「ワンマイル・ウェア」でなく「おしゃれ着」で出かけるメリハリが楽しめるような、ゆるやかなつながり・・・。
ちなみに、私の「ワンマイル」の体感は「1.5~2マイル」くらい。自転車が「ワンマイル」を広げてくれているようです。
余談ですが・・・。
「ワンマイル」というと、ビジネスで使われる「ラスト・ワンマイル」を連想するかもしれません。近年、主に物流業界でつかわれますが、物理的な距離というよりも、「顧客にモノやサービスが到達する最後の接点」を指して使われます。
ネット通販が普及した一方、商品受け渡しの効率化という課題が生まれ、宅配ボックスの設置やコンビニでの店頭受け取り、配達ドローンの実証実験など様々な取り組みがされています。
企業の視点から顧客を見て使われる「ラスト・ワンマイル」ではなく、生活者を起点として生まれるやわらかな「ワンマイル生活圏」には、これまでと違った新しい可能性が秘められているかもしれません。
*ご参考